Hakubiが追い続けるロックバンドとしての夢 ホールの空間に深く強く響いたこの日の言葉

Hakubi『Eye to Eye』東京公演レポ

 片桐(Vo/Gt)、マツイ ユウキ(Dr)、ヤスカワ アル(Ba)による京都発スリーピースバンド・Hakubiが4月30日、ワンマンツアー『Eye to Eye』の東京公演を開催した。会場のLINE CUBE SHIBUYAは格式高いコンサートホールで、ライブハウスを中心に活動してきたHakubiにとっては音響や演出の面でも新鮮なライブとなった。

 開演するとすぐさま観客が立ち上がった。ステージに現れたHakubiのメンバーたちは、大歓声に包まれながら「Rewrite」を勢いよく披露。今年3月にリリースした2ndアルバム『Eye』の1曲目でもあるこの曲は、疾走感のあるサウンドの中で全体に渡り繰り返される〈終わらない話をしよう〉の言葉が印象的。ライブの始まりを告げるのに相応しい一曲と言えるだろう。

 その後「ハジマリ」「夢の続き」と立て続けに歌い上げ、会場の空気をぐいぐいと温めていった。〈僕らはまだ終わっていないよ〉のフレーズが響き渡れば、ファンが大きく拳を突き上げてそれに応える。「天才にも秀才にもなれなかった僕は」での〈夢とか希望とかクサいよなもうやめないか/なんて諦めたふりして〉のフレーズがオーディエンスを突き刺せば、自然と手拍子も起きた。Hakubiはロックバンドドリームを追い続けている。だからこそ私たちは、このバンドに魅了されているのだろう。序盤からすでにただならぬ熱量を感じた。

 曲を終えると一転、チューニングの音が聞こえるほどの静寂に会場が包まれた。空気を一旦冷まし、おもむろに片桐が「来てくれて本当にありがとうございます」と告げた。ホール会場は緊張感がある。ライブハウスと比べて人と人との間に距離があり、壁や座席が音を吸収する。Hakubiは昨年に恵比寿ガーデンホールで初のホール公演を開催しているが、この日はその時よりも規模が大きく、より一層緊迫した雰囲気が漂っていた。

 次に披露したのは「ゆれて」。そこから「あいたがい」「32等星の夜」と、どこか人間関係に関する複雑な感情を表現した楽曲が続いた。Hakubiの歌詞は人の内面に対する問いかけを含んだ表現が多く、片桐の力強い歌声も相まって、聴く者に深く考えさせるようなメッセージ性を強く持っている。そんな楽曲にもホールの緊張感が一役買っていた。この日のHakubiの言葉は、観客の胸に深く強く響いていたように思う。

 ここでスクリーンが降り、映像が映し出された。街の景色だが残像が多く、ぼやっとした抽象的な映像である。披露したのは「サイレンと東京」。片桐は息混じりのボーカルで〈ああ さよなら〉と歌う。これまでの叫ぶような歌唱とは異なり、心に染み渡っていくような歌い方だ。次の「Twilight」では光の演出が秀逸だった。鮮やかなレーザー光線が会場に放射され、光を浴びるような空間に一変。まさにホール公演ならではと言うべき演出である。また、「サイレンと東京」は近年大胆に電子的なアプローチを取り入れたシンガーソングライターのTHE CHARM PARK、「Twilight」は様々な音楽をバックボーンに持つ音楽制作チームのEvergreen Leland Studioがそれぞれ編曲に参加しており、Hakubiの音楽性に多彩な魅力を与えた2曲でもある。こうしたHakubiの新しい一面が、音の面でも演出の面でも表れていた。

 ここでMCタイムへ。マツイを中心に、たまにヤスカワと片桐が切り込んでいくバランスで、会場の空気を軽妙なトークで和ませる。声出しが解禁になったこともあり、ヤスカワがずっとやりたかったというコール&レスポンスなどで観客を楽しませた。

 再度アクセルを踏むようにして「辿る」を披露。Hakubiらしい疾走感と焦燥感のある演奏が会場の温度を急上昇させる。次の「Eye」では、まるで瞳のような大きな輪っか状の構造物が天井から降り、それに設置された照明が強く光り出した。息をつく暇もなく「どこにも行けない僕たちは」へ雪崩れ込む。このあたりのコンビネーション抜群の演奏技術も見逃せない。

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