SUKEROQUE、「OYKOT」で幕を開けた2025年のテーマ “ルーツ=ニュージャックスウィング”の斬新な解釈も

和洋折衷のグルーヴィなサウンド、厚みのある中低域からファルセットまでを使いこなすボーカル、そして、都市(および都市郊外)で生きる人々を描いた歌詞。幅広い層のリスナーを魅了するSUKEROQUEが着実に存在感を高めている。
作詞・作曲・編曲を手がけるボーカリスト SHOHEIによるソロプロジェクト、SUKEROQUE。その認知度が上がったきっかけは、2023年の6カ月連続リリース。「蝸牛」「オリーヴの星」(7月)、「COOL CHINESE」(8月)、「utopia utopia」(9月)、「市街地」(10月)、「トランジスタレディオ」(11月)、「蜘蛛の糸」(12月)の7曲によって、多彩にして奥深い音楽性ーー濃密なファンク、レイドバックしたR&B、ミクスチャーロック、ミッドバラードまでーーをアピールした。なかでも高い人気を得ているのが「トランジスタレディオ」。誰もが抱えている孤独をテーマにした歌詞、キラキラと切ないバンドグルーヴ、ウェットな感情と心地よい解放感を共存させたボーカルが一つになったこの曲は、早耳の音楽ファンを魅了。ラジオ番組でも数多くプレイされ、MVが公開されると「名曲超えて神曲。情景が浮かんでくる詞も美しすぎるメロディも透明感と少しの湿り気混じるヴォーカルも」「忘れていた大切な感情を想い出させてくれる」といったコメントが並んだ。
2024年5月にはEP『Blue Cheese Blues』をリリース。先行配信された「中央線とビター」は、80'sテイストを取り入れたトラック、軽快で切ないメロディライン、“2度と戻らないかけがえのない毎日”を描き出すリリックが響き合うポップチューン。『バズリズム02』(日本テレビ系)5月度POWER PLAY楽曲、『FM NACK5』4月度POWER PLAY楽曲にも選ばれるなど、幅広い層にリーチしながらSUKEROQUEのさらなる知名度アップにつながった。
さらに昨年6月8日には渋谷 TOKIO TOKYOで1stワンマンライブ『ROQUEFORT DANCE HALL “ロックフォール ダンスホール”』を開催。極上のダンスチューンからじっくり聴かせるバラード、女性ダンサーを交えたパフォーマンスまで、自らの色彩豊かな音楽性をリアルに体現するステージによって、ライブバンドとしてのポテンシャルの高さを証明してみせた。本公演がソールドアウトしたことも、SUKEROQUEへの注目度の表れだと言っていいだろう。
そして2025年4月2日、今年最初の楽曲が届けられた。タイトルは「OYKOT」(読み:オイコット)。聴き心地よいとともに音楽マニアを唸らせる音楽性、「OYKOT」(“非東京的”を意味する造語)をテーマにした歌詞が一つになった同曲は、SUKEROQUEのルーツに根ざした楽曲だ。サウンドの要になっているのは、1980年代後半から90年代にかけて世界的ムーブメントを巻き起こしたニュージャックスウィングだ。
ダンサブルでグルーヴィなノリと軽快なポップネスを併せ持ったニュージャックスウィングは近年リバイバルの兆候も見えるジャンルだが、「OYKOT」のBPMはかなり抑えめ。SHOHEI自身は「ニュージャックスウィングの重たく弾むビート」(セルフライナーより)と表現しているが、この解釈はかなり斬新だ。懐かしさたっぷりのシンセ、エモーショナルなギターソロも気が利いているが、トラックの軸になっているのはやはりベースライン。エンディングでウワモノのサウンドがなくなりベースが強調されるのも、“この曲の聴きどころはベースだぞ”という本人の意思によるものではないだろうか。