寺西拓人、Snow Man、BE:FIRST……“新たな層”を取り込めたのはなぜ? 30代で大橋和也にハマった主婦ライターに聞く

BE:FIRST、Snow Man…アイドルにハマったことがなかった人を“沼らせた”要因

Snow Man【ジャニーズJr.ライブ&ドキュメントDVD「素顔4」発売記念】スペシャルインタビュー!
[THE FIRST 本編] #18-2 / 最終合宿 (練習&最終審査前夜)

「私の周りに最近Snow Manを好きになった友達とBE:FIRSTを好きになった友達がいるのですが、その子たちもこれまでアイドルにハマったことはないという人でした。Snow Manは、結成してからデビューするまでの道のりが長く、増員をするという大きな決断を経て、デビューを掴み取ったという物語があります。BE:FIRSTも、それぞれが別のところにいた者同士がオーディションに参加して、その過程で色々なことを経験して、BE:FIRSTとしてデビューしました。もちろん他のグループにもさまざまな歩みと歴史があったと思うのですが、その道のりに触れることで、ぐっと共感できるのかもしれません」

 これまでの“推し活”というのは、好きなアイドル/アーティストが歌番組で歌っている姿や、テレビで喋っている姿をチェックすることが主だった。アイドル/アーティスト本人たちにしても、デビューするまでの期間は自身のキャラクターを発信する場も限られていただろう。ファンになってから出演していた過去のテレビ番組や雑誌をチェックしたり、実際にコンサートに赴いて彼らの人間性を深く知ることはできるが、そうやって行動に移せるのは、まだ興味の薄い人々にとっては少しハードルが高い。しかし、「今はネット上で色々な情報にアクセスすることができて、“ちょっと気になるな”程度だった私自身、もっと彼ら自身のことを知ることができるようになりました。今はtimeleszに限らず、オーディション番組形式でメンバーを決定することもあったりして、そういうような人が好きになるきっかけが存在するのも大きいように感じます」と神田氏は分析する。

 インターネット上にコンテンツがあることでたくさんの情報を得ることができ、興味を持ったアイドル/アーティストについて“調べる”といった作業ができるようになったことが、要因として大きそうだ。そういった人々には、「好奇心旺盛な人が多いのかもしれない」と語る神田氏。「これまでアイドルにハマったことはないというだけで、例えば特定のスポーツだったり、何か他のものに打ち込んできた経験がある人も多いと思います。何かについて調べるのが好きで、好きなものについて語り合いたい……そういう“推し活”の才能が色々なところで養われて、集まってきているというか。だからこそ、調べがいがあって、深い沼を持っているアイドル/アーティストには、他者をハマらせていく傾向があるのだと思います」。

寺西拓人、同世代以上のファンの心を掴む“親近感”

 人間性やキャラクターでより深く彼らを知ることができるのはSnow ManやBE:FIRSTに限った話ではない。冒頭にも記載した通りtimeleszの新メンバーとなった寺西もその1人だ。同じくtimeleszの新メンバーとなった原嘉孝も含め、STARTO ENTERTAINMENT俳優部からの候補生は、オーディション4次審査から参加。合流が発表された際、最初に行われたのは、1次審査から参加していた候補生たちが練習していた4次審査の全員ダンスの課題曲をそれぞれがソロで発表するというものだった。

[084]【timelesz project】《004/寺西 拓人 TAKUTO TERANISHI》【6次(ファイナル)審査】#タイプロ #timelesz_project #オーディション

「まずパフォーマンス能力の高さに驚かされるのですが、エピソードがだんだん進んでいくと、彼の人間性が分かるような番組構成になっていましたよね。歌もダンスもうまいけれど、彼なりに葛藤があって、悩み苦しむ様子を目にして、オーディションにかける熱い想いを知っていくうちに、その人柄に引き込まれていくのだと思います。それに、苦労の部分だけじゃなくて、候補生同士のトークシーンでは寺西くんが自分の好きな貝について話ている時に無邪気な表情を浮かべたりして(笑)。そういう完璧ではない部分も親近感を与えているのだと感じました」

 “親近感”というのは、この世代のファンを掴むのに必要な要素であるように感じる。年齢を重ねているからこそ感じられる親近感もあるのだろうか。

 「社会に出て痛い目を見たり、子ども時代に思い描いていた通りの大人にはなれなかったり。そういった葛藤が一定数蓄積されたのが30代から40代という年齢なんだと思います。自分自身が苦悩や挫折を経験しているからこそ、同じような経験をしたアイドル/アーティストに共感し、そこから成功することがどれだけ大変なことなのかを想像できる。共感を覚えて、“自分と似ている”というように感じる。そういう人を応援することで、自分自身の人生が彩られているように感じるのかもしれません」と神田氏は話す。

 そして、そういった“推し”の存在は、ファンの生活の原動力になっているという。「先日、70代の母と一緒にSixTONESの公演に行った際に、母が『みんな何時間もかけて好きなアイドルに会いに行って、一緒に楽しんで、すごく元気があっていいね』と驚いていました。でも、そのエネルギーって、たぶん“推し”からもらっていると思うんです。例えば、好きなアイドル/アーティストの動画を夜中までチェックしていて寝不足になっても、不思議と後悔がなくて、むしろその眠気も充実していると感じられたり(笑)」――だからこそ、「“いい推し方”をしたい」とファンはそれぞれが考えるのだろう。神田氏は、「“推しは推せる時に推せ”とも言いますし、刹那的な推し活であったとしても、全力を尽くしたその時間に得たエネルギーが自分の人生に新しいの実りをもたらしてくれると思います。そういう部分も含めて、“推しに出会えた”ということは、私にとってとてもプラスになっていると感じています」と笑顔で話す。

 アイドル、アーティスト、その一人ひとりにこれまでの人生があり、ドラマがある。これまでの苦労や困難を隠すという美学もあるかもしれないが、そこをあえて曝け出すのも強さがないとできないことだ。人間性に共感し、好きになってもらうというのは、新しいファン層を取り込むのに、今必要不可欠な要素なのかもしれない。“推し活”がブームになって長いが、きっとまだ見ぬ魅力がたくさんあるはずだ。そんな人たちをもっと巻き込み、さらに大きなムーブメントを作り上げるポテンシャルが、日本のボーイズグループシーンにはあるのではないだろうか。そうして積み上げたものが、彼らをまだ誰も見たことのないステージに押し上げるはずだ。

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