AKASAKI、冷静に今を見つめる18歳の感性 “SNSの速さ”を武器に時代を変える存在へ
2024年の日本の音楽シーン、とりわけTikTokを中心としたバイラル領域における最も目覚ましい出来事のひとつが、AKASAKIの「Bunny Girl」のヒットだと思う。AKASAKIは、現在18歳、現役高校生のシンガーソングライターだ。2023年9月からTikTokでオリジナル曲の投稿を始め、今年7月に「Bunny Girl」の一部を初公開して大きなバイラルヒットを巻き起こした。10月に同曲を正式にリリースし、Spotify Japanの急上昇チャート1位をはじめとした数々のチャートを席巻。その後も精力的に新曲のリリースを重ねながら、日本の音楽シーンにおける存在感を着実に確立しつつある。
今回は、今まさに大きな時代のうねりのなかにいるAKASAKIにインタビューを行い(高校から帰宅した直後のオンラインインタビューとなった)、幼少期の音楽との出会いや、「Bunny Girl」の制作秘話、今後の展望などについて語ってもらった。なお、インタビューを行った12月上旬時点では、まだ親の許可が出ていないため、高校を卒業した来年4月以降も音楽活動を続けていくかどうかは未定であるという。ただ、AKASAKIが語る一つひとつの力強い言葉は、これから先の未来へ向けた自信と確信を確かに感じさせてくれるものだった。(松本侃士)
親にスマホを没収されたことで手にしたギター
ーーはじめに、いちばん最初の音楽との出会いについて教えてください。幼少期から振り返ったとき、AKASAKIさんが音楽を好きになったり、意識したりするようになったのは、どのタイミングだったのでしょうか?
AKASAKI:僕の両親が音楽好きなので、幼少期から周りにずっと音楽が流れている環境でした。お父さんは洋楽のハードロック系、お母さんはスピッツなどのJ-POPが好きでしたね。もう本当にずっと家でいろいろな音楽が流れていて。
ーー自分自身で音楽を始めるというのも、自然な流れだったのでしょうか。
AKASAKI:音楽を始めたきっかけは、高校1年生のときに、親にスマホを没収されてしまったことですね。スマホがなくて本当に暇で、そのとき親が家にいなかったので、帰ってくるまでにギターを練習して驚かせてやるかっていう。暇つぶしって言ったら変ですけど、そういう気持ちで家にあった父親のギターを触り始めて、瑛人さんの「香水」のイントロを練習しました。
ーーそのサプライズは、うまくいきましたか?
AKASAKI:はい、すごく褒めてもらいました。
ーーご両親としてもびっくりしたんじゃないですか。急にギターを手にしたと思ったら、すでに弾けるようになっていたというのは。
AKASAKI:本当にそうでした。幼少期から父親が僕にギターを触らせようとしてくれてたらしいんですけど、小さい頃の僕はぜんぜん興味を持たなかったようで。いきなりギターを手にした僕を見て、親はすごくびっくりしながらも、嬉しそうにしていたのを覚えています。
ーーとても大きなターニングポイントとなる出来事だと思いますが、そのままギターを続けようと思ったときの気持ちは覚えてますか?
AKASAKI:はじめは、この先ずっとギターを続けようとは思っていませんでした。ただ、「香水」を両親にすごい褒められて、それが気持ちよかったので、ほかの曲も練習して、友達にも褒められたいっていう、たぶんそういう気持ちがどんどん自然と繋がって、なので、決心というものはあんまりなかった気がします。自然と続けていたって感じです。
ーーその頃はどのような曲を練習していましたか?
AKASAKI:そのときに流行ってた曲を弾いていたので、「ドライフラワー」(優里)とか、「マリーゴールド」(あいみょん)とかですね。
ーーカバーを続けていくなかで、オリジナル曲を作りたいと思ったのは、どのようなきっかけだったんですか?
AKASAKI:特に大きなきっかけというものはないんです。その日は本当に暇だったのか、コードに合わせて鼻歌で歌ってみたときがあって。で、鼻歌で歌ってるメロディが自分にとって聴き心地がよかったので、そこに歌詞を当てはめたら曲ができるんじゃないかっていう。そこから曲作りを始めたっていう感じですね。曲を作り始めた当初は、コードにメロディを当てはめるやり方が多かったんですけど、もう最近は先にメロディが降ってきてっていう流れがほとんどです。
ーー楽曲を作る上で、最低限必要になる知識などは、独学で少しずつ身につけていった感じですか?
AKASAKI:そうですね。勉強していったというより、いろいろな曲をカバーしたりするなかで自然と身に付いていった感じです。
「いろんな人に聴いてもらって褒められたい」という気持ちが強い
ーーご自身にとってルーツになってるアーティスト、または、大きな影響を受けたアーティストはいますか?
AKASAKI:それがちょっと分からなくて。いろんなものを吸収して、(そのなかから)自分の好きなものを表現してるのかなっていうか。
ーーちなみに、歌詞についてはどうでしょう?
AKASAKI:メロディに対して当てはまる母音を大事にするというか、自分が聴いて心地いいっていうのを重視してるので。たとえば、「弾きこもり」に〈真面目ぶった音楽に 嫌気が差してんだ〉という歌詞があったりしますけど、実際そんなことは思っていなくて。メロディが良くて、そこに言葉がうまくはまれば歌詞になる、みたいな感じですかね。
ーー曲作りを始めた頃、ご家族やご友人に作った曲を共有したりしていたんですか?
AKASAKI:全く言っていなくて、自分の部屋でこそこそやってました。ただ、部屋で数曲作ってるうちに、「やっぱりオリジナル曲を公開したい」「音楽でやっていきたいな」と思って、そのときに、まだ曲を作っていることも明かしていないなか、親に音楽の道に進みたいって言いました。でも、ギターを始めて間もなかったし、親は僕が曲を作ってるなんて知らないし、すごく反対されたんです。「まずは俺の曲を聴いてよ!」って感じで歌って、そこで初めて聴かせました。
ーーその時もご両親は驚いたんじゃないですか。
AKASAKI:すごく驚いてましたね。
ーーご自身が作った曲を最初にアップするプラットフォームとしてTikTokを選んだ理由について教えてください。
AKASAKI:最近のバイラルといえば、TikTokかなって。もう単純にそれだけで。動画投稿自体にはあまり慣れてなかったんですけど、でもTikTokをやらないと波に乗れないとは思っていたので、すんなり始めました。
@akasaki_0727
ーー幼少期からいろいろなポップスを聴いたり、いろいろなヒットソングをカバーしてきたAKASAKIさんのなかには、きっと、作ったものをより多くの人に届けたいという気持ちがあるのではと思うのですが、いかがでしょうか。
AKASAKI:本当にそのとおりで、結局は「いろんな人に聴いてもらって褒められたい」という気持ちが強いです。