ONE OK ROCK、Ado、iri、平手友梨奈、水曜日のカンパネラ、平井大……注目新譜6作をレビュー

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はONE OK ROCK「+Matter」、Ado「Episode X」、平手友梨奈「ALL I WANT」、iri「Faster than me」、水曜日のカンパネラ「動く点P」、平井大「Christmas Wish」の6作品をピックアップした。(編集部)

ONE OK ROCK「+Matter」

 来年2月に控えているニューアルバム『DETOX』からの先行配信。バンドサウンドときらめくシンセが溶け合ったロックナンバーで、美しいサビのリフレインが印象的。遮るものが何もない空や見渡す限りの平原など、とにかくスケールのでかい大陸のイメージが押し寄せる。起伏ある展開や詰め込み気味の歌詞を好むJ-ROCKとは根本が違う。本当にアメリカがホームであり、そのことに力みや気負いもなくなってきたのが今なのだろう。作詞作曲にはTaka以外の複数名も関わっており、タイラー・カーターやピート・ナッピなど、以前から親交のあるプロデューサー陣に混ざって昔からのONE OK ROCKのファンとして知られているPaleduskのDAI DAI(Gt)の名前が。これはアツい。(石井)

ONE OK ROCK: +Matter [OFFICIAL MUSIC VIDEO]

Ado「Episode X」

【Ado】Episode X

 2021年放送のドラマ『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』第7シリーズ(テレビ朝日系)主題歌の「阿修羅ちゃん」に続き、映画『劇場版ドクターX』の主題歌をAdoが担当。「Episode X」の作詞作曲を手がけるのは、ボカロPそしてYOASOBIのコンポーザーとして才能を世界に示し続けているAyaseだ。一瞬のブレス、アコギのストロークと〈希望は時折 残酷だった〉というフレーズから始まるこの曲は、攻撃的なエレクトロ系のトラックを軸に、クラシカルなピアノや弦の響きを取り入れたアッパーチューン。起伏に富んだメロディとときにトリッキーな譜割りを完璧な精度で歌いこなすAdoのボーカルは流石の一言だ。不確定な未来に対する不満を振り晴らすように疾走し、〈うっせぇわ〉というワードをぶち込みつつ〈そう 私に失敗はない〉というキメ台詞に着地する構成も見事。(森)

iri「Faster than me」

【特別映像】横浜流星主演ドラマ『わかっていても the shapes of love 』佐野玲於、鳴海唯出演!主題歌はiri|12/9(月)よる9時から!

 ドラマ『わかっていても the shapes of love』(ABEMA)主題歌となる新曲。同時にこれは、ラップも得意なシンガーソングライターというiriのイメージを更新する大事な一曲になりそうだ。作詞作曲を小袋成彬が手がけた楽曲は鳥肌が立つほどエレガント。iriの歌唱もずいぶん大人びており、気怠い低音域や掠れ気味のファルセットがなんとも色っぽい。とにかく音数の少ない曲で、伴奏のある時間と無伴奏の時間はほとんど同じくらい。ここまで支柱となるものがない場合、歌い手は体内でリズムをキープするしかなく、〈分かれ道ほどあなたのそばにいたいから〉の譜割りなどは簡単にはマネできないレベル。シンプルに聴かせる、ものすごく難易度の高い曲だ。(石井)

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