ガールズグループはなぜ日本から“宇宙”へ? f5ve、XGら「平成への憧れ」のその先へ
ガールクラッシュ、エレガント、レトロ、サイバーパンク、ナチュラル…… アジアのガールズグループは近年、こうしたコンセプトの確立によってグループ色の確立とさらなる差別化を図っている。一方、最近よく目に留まるのが、日本発のガールズグループの「宇宙コンセプト」だ。
直近でも、メンバーがエイリアンとなり地球人を捕獲するというテーマで制作された、f5veの最新曲「UFO」が記憶に新しい。MVでは、電光石火のスピードで地球に降り立った彼女たちがアンドロイドアイドルを使ってUFOキャッチャーのクレーンゲームを操り、暴走したアームが騒ぎを聞いて駆けつけた地球人たちを次々に捕獲していく。タイトルの「UFO」は宇宙人が乗っているUFOだけでなく、UFOキャッチャーの意味もかかっているそうで、大騒ぎの街を背景に素知らぬ顔で踊り続ける“エイリアン”たちの姿は非常にユニークかついい意味で不気味でもあり、日本らしい制服姿やUFOキャッチャーそのもののポップさとの相互作用でうまく中和された映像に仕上がっている。こうしたどんなコンセプトにも適応できる斬新なアーティスト性も、彼女たちの人気の理由である。
常軌を逸する奇抜なビジュアルと独創的な世界観で全世界を魅了するXGが、ミニマムかつタイトな「Tippy Toes」やカジュアルな「MASCARA」のシンプルさを脱し、宇宙感を本格的にクリエイティブに取り入れ始めたのは「SHOOTING STAR」(2023年1月リリース)の頃からだろうか。「HESONOO」や「GRL GVNG」のMVでも眠る彼女たちの耳に宇宙から囁くような声が届いたり、巨大な宇宙船に乗って登場したりしていたことに加え、今夏にリリースされた「SOMETHING AIN’T RIGHT」のMVでも「宇宙人の本能を隠して日常の中で生きていくXG」が描かれていた。そもそもXGは“銀河”を連想させる『X-GALAXY』というプロジェクトから誕生し、自らを「宇宙人」、彼女たちの定例ミーティングを「宇宙会議」と呼んでいるほど、“宇宙”という概念に根づいたグループだ。公式SNSでも「一緒に宇宙行くぞ〜〜〜」と本人たちから度々発信されており、一般的に他アーティストが目指す「世界」が彼女たちにとっては「宇宙」なのだと納得してしまうほど当たり前に頻出するワードである。本気で宇宙を目指すXGが、そう遠くない未来に本当に宇宙に進出する姿も想像できてしまうのだ。