YOASOBI、千葉雄喜、XG、緑黄色社会、なとり×キタニタツヤ、SEVENTEEN……注目新譜6作をレビュー
New Releases In Focus
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はYOASOBI「New me」、千葉雄喜「誰だ?」、XG「HOWLING」、緑黄色社会「馬鹿の一つ覚え」、なとり×キタニタツヤ「上書きしちゃった」、SEVENTEEN「消費期限」の6作品をピックアップした。(編集部)
YOASOBI「New me」
初の東京ドーム公演でも披露された新曲「New Me」は、YOASOBIの原点である小説投稿サイト・monogatary.comと、老舗文芸誌『文藝』(河出書房新社)がコラボした小説コンテストの大賞受賞作品『白山通り炎上の件』(有手窓 著)を原作に制作されたポップチューン。会社でもプライベートでも自分を出せず、息苦しさと生きづらさを抱えた女性がなぜか裏社会の抗争に巻き込まれるという小説のストーリーとリンクしながら、不機嫌な日常を少しずつ脱し、〈どんな明日が来ようと/私は私を生きると/そう決めたの〉という決意に至るまでを軽やかなサウンドとともに描いている。朗らかな明るさを感じさせるikuraのボーカル、そしてAyaseの色彩豊かなトラックメイクも心地よい。(森)
千葉雄喜「誰だ?」
「チーム友達」で日本のヒップホップを新たなフェーズに持ち込み(と筆者は考えています)、ミーガン・ザ・スタリオン「Mamushi (feat. Yuki Chiba)」の〈お金 稼ぐ 俺らはスター〉というパンチラインで世界的な知名度を奪い取った千葉雄喜の新曲「誰だ?」は、膨らみ続けるこちらの期待をまたしても斜め上から更新してしまうナンバーだ。〈俺たちはひとつ 地元か外国〉と今の千葉にしか書けないリリックを重ねながら、「俺は俺で、おまえはおまえだ」という普遍的なメッセージが真っ直ぐに突き刺さり、ザックリと心を揺さぶられてしまう。小学生にもわかる言葉で物事の核心を突きまくる「誰だ?」は、千葉のクリエイティビティがとんでもない確変状態にあることを改めて告げている。自分が15歳だったら、この曲を聴いて絶対にラッパーになったと思う。(森)
XG「HOWLING」
2ndミニアルバム『AWE』から勝負の一曲。イントロではジャズっぽいウッドベースの響きと狼の遠吠えが重なり、野生の牙を向くゴリゴリのヒップホップが聴けるのかと思いきや、あまりに幻想的な名曲なので驚いた。まずは最初のラップパート。リズムにぴたりとアクセントを合わせていくマイクリレーの揃い方に惚れ惚れする。続くメロディパートでは、それまで点だった個々のビートが円になってほどけていき、7人がユニゾンで遠吠えを表現するバースでは、すべてが美しい球体となって浮かび上がっていくようなイメージが湧き上がる。壮大すぎる自然を見ると黙り込んでしまう。そんな感覚によく似た、どこまでも深い溜息が出てしまった。すごい。(石井)