しぐれうい、犬山たまきらも参加で話題 VTuber/Vアーティストによる音声合成ソフトが続々登場する理由は?

 VTuberやVアーティストの個性的な声は、音声合成ソフトで目立つ要因のひとつだ。加えて、これほど多くの音声合成ソフトを生んでいる理由は、つまるところ、VTuberと音声合成ソフトの文化的親和性にあるだろう。VTuberやVアーティストが歌う楽曲はボカロ曲が中心で、彼らのオリジナル曲もボカロPが制作することが多い。一方で、VTuberやVアーティストは音声合成ソフトでボカロシーンに新しいトレンドを生み出す。もはや双方のシーンの発展の点でも互いが目を離すことのできない存在で、この緊密した関係性こそが、VTuberやVアーティストの音声合成ソフトがボカロシーンで真っ先に話題をさらう要因だと思う。

 Live2Dモデルや3Dモデルといったハイテク技術で作られるVTuberやVアーティストのデジタルキャラクターと、深層学習等の最新のAI技術を用いた音声合成ソフトとの技術的相性が抜群にいいことも言える。特に、インターネット上の仮想空間を指すメタバース、次世代の分散型インターネットの時代の概念であるWeb3などの最先端領域にも鋭くアンテナを張っているKAMITSUBAKI STUDIOの音楽的同位体プロジェクトはその象徴である。

【音楽的同位体可不】キュートなカノジョ / 花譜 feat. 可不(KAFU)

 また、VTuberやVアーティストシーンにおいて、デジタルキャラクターのビジュアルは間違いなく重要な要素であり、音声合成ソフトのビジュアルとシンクロすることで、花譜と可不の「キュートなカノジョ」のような融和性のある作品を創造することも可能。それぞれのビジュアルが今後どのように絡み合い、シナジー効果を生むのか、SFチックなデジタルの特性が表現の多様性を無限に広げるのも大きなポイントだ。

 ネット発のボカロ、VTuberやVアーティスト、音声合成ソフトといった同じ系譜の存在がデジタル領域で繋がり、サイクルが勢いづいていく。AIが人の仕事を奪うーーそれどころか、人がAIをうまく活用している。さらなるテクノロジーの進化の先に、シーンを加速させるカタリストが生まれることを楽しみにしている。

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