JEONGHAN X WONWOOが開いた新たな表現の扉 1stシングルアルバム『THIS MAN』で魅せる音楽&物語の融合
SEVENTEEN発の新たなユニット・JEONGHAN X WONWOOの1stシングルアルバム『THIS MAN』が、6月17日にリリースされた。
今回の作品を発表するにあたってJEONGHANは次のように語っている。
「SEVENTEENでは見せられなかった、僕とWONWOOだけのケミストリーを見てほしいです」
たしかに彼が言う通り、収められた楽曲からは、SEVENTEENが数々のオリジナルナンバーでアピールしてきた魅力はそれほど強くは感じられない。今作の繰り返し聴くと伝えたいものの輪郭が見えてくるような仕上がりも過去になかった手法であり、そこに新鮮さを覚えたリスナーも少なくないだろう。
『THIS MAN』は3つの楽曲でひとつのテーマを表現。さらにリリースと同じ時期にオフィシャルSNSとYouTubeチャンネルで公開されたオーディオブックによって、物語の全容を明らかにしている。大体の話の流れは以下の通りだ。
大切なものを失った青白い顔の男が現実の喪失感から逃れようと夢の世界へ飛び込む。その世界は何も失われてはおらず、男はそこで最も楽しかった一日をひたすら繰り返す。だが、時間が経つにつれて夢の世界で再現した大切な存在=“A”の顔が曇り、歪んでいく。彼はそれに気づかないようにしようと、白い布をかぶせる。ある日、Aは逃げ出し、男はAを見つけるために他人の夢を漁り始める。そして、夢の世界を現実のものにしようとする。
物語には、上記とは別の男も登場する。自身を“都市の観察者”と呼ぶこの男は、人混みに紛れて生きている。彼の趣味は都会に暮らす人々の夢の中を散歩することで、それぞれの欲望や悲しみ、喜びを知り、楽しんでいるという。しかし、徐々に都市と人々の夢が異常をきたすようになり、男はそれをなんとかしようと夢の世界へ踏み入れ、青白い顔の男と都市の観察者が夢の世界でやりとりをしていくうちに、現実の都市は活気を取り戻していく——。独創的かつユニークな展開であるが、JEONGHAN X WONWOOは『THIS MAN』を通して何を訴えたかったのだろうか。
『THIS MAN』に収められた3曲のうち、夢で出会う大切な存在をテーマにしたものがリードトラックの「Last night (Guitar by Park Juwon)」である。ラテンの香りが漂うエレクトロポップとアコースティックギターの乾いた音色で、うっとりする情景と都会特有のひんやりとした空気を表している点が秀逸だ。
ほかの楽曲も見逃せない。JEONGHANのソロナンバー「Beautiful Monster」は、夢から覚めたくないと願う男の姿を描いたミディアムテンポのR&B。対するWONWOOのソロ曲である「Leftover」のほうは、しっとりとしたバラードで、〈君はどこにいても幸せでいて〉と、包容力のある歌声を響かせる。