Number_i、ミニアルバム『No.O -ring-』全曲解説 メンバー全員で制作手がけた出発の一枚

Number_i『No.O -ring-』全曲解説

 Number_iが、5月27日にグループ初となるミニアルバム『No.O -ring-』をリリースした。

 “Number”の略である“No.”に、“リング”=輪を意味する“O”。“O”には数字の“0”=ゼロの意味もあり、フルアルバムではない“0枚目”、ここを出発点としてファンとの絆を深めていくという想いが込められているという。

 枯山水をモチーフにしたCDジャケット、リード曲の「BON」などにも顕著だが、今作からは徹底的に“日本”へのこだわりが見られる。かねてから海外での活動も目標としてきた彼らだが、ただ世界に行くのではない、“日本を背負って”世界に行くことが大事なのだろう。そして、おそらく――それは3人がずっと以前から抱いてきた夢だったはずだ。

 新たなスタートを切った平野紫耀、神宮寺勇太、岸優太。これがゲームなら全部リセットされてしまうが、私たちが生きる世界はそうではない。何があっても、これまでの記憶、繋がった絆、培ったものは消えない。本当の意味では“0”ではなく、彼らは今も、あの頃からの夢の続きを歩んでいるのだと思う。

 全8曲が収録された『No.O -ring-』。本稿では、各音楽配信サービスでも聴くことができる7曲についてそれぞれ紐解いていく。

BON

Number_i - BON (Official Music Video)

 本作品のリード曲。プロデュースした平野によれば、“盆栽”を自分たちに見立て、育っていく過程やファンとの関わりを歌った曲だという。歌詞の〈風林火山〉や〈神座〉、お囃子や〈あゝ夕焼け盆踊り/踊る1億人〉でのヨナ抜き音階のメロディなど、随所に和の要素が散りばめられているのが特徴。3人の個性あふれるボーカルと展開の激しさに、ジャンルや既成概念にとらわれない、斬新な作品を生み出したいという意欲が感じられる。“日本を背負って世界に行く”と先述したが、そこには”自分たちにしかできない作品を持って行く”という条件も含まれるのだろう。間違いなく、グループとしての史上最高(GOAT)を更新した一曲だ。

OK Complex

 本作品では、メンバーがそれぞれ担当を分けて楽曲制作に携わっている。「OK Complex」と「No-Yes」、「Banana (Take It Lazy)」の3曲は岸によるプロデュース曲。「OK Complex」を聴いた時に、3人はまだこんなに声色の引き出しを持っていたのかと驚いた。日本語でよく使われる“劣等感”の他に、“複雑”という意味がある“Complex”。歌詞では〈見せたいようで隠し通してる〉とあるように、相手から見えている自分と本来の自分との葛藤のような、複雑な感情が歌われているように思う。3人の低音ボイスとジャージークラブのリズムが、心の内側にある感情を爆発させるように自然と気分を高めてくれる。

SQUARE_ONE

 「SQUARE_ONE」と「夢の続き」、通常盤CDのみに収録されているボーナストラック「花びらが舞う日に」は神宮寺によるプロデュース。「SQUARE_ONE」の作詞・作曲・編曲は、ラッパー/トラックメイカーのPUNPEEが手掛けている。もともとPUNPEEのファンであった神宮寺がオファーしたことにより実現したのだという。聴き心地の好いリズムの一方で、〈てっぺんはキリがないから/be your own top/(君のトップ)連れてくよ〉といった、強いメッセージも歌われている。〈黒帯エンターテイナー〉〈太子、諭吉ときて 紫耀でしょ〉〈たまにゃ 岸くん奢りなさい〉といった、過去のメンバーの発言やエピソードが盛り込まれた遊び心も。

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