清水美依紗、初のソロツアー『Cherish』で伝えた“愛” バンドセットで歌い届けた東京公演レポ

清水美依紗、“愛”を届けたソロ初ツアー

 清水美依紗が自身初のソロツアー『Cherish』を開催した。“Cherish”には“愛でる”や“大切にする”という意味があり、本ツアーのテーマは“愛”だという。公演中に「自分のライブで皆さんを包み込みたい」と話していた通り、彼女の“愛”が伝わってくるライブだった。本稿では、5月8日の東京・恵比寿ガーデンホール公演の模様をレポートする。

 昨年11月に行われた初のワンマンライブは、彼女がひとりでステージにて歌唱するブロックとバンドメンバーを交えてパフォーマンスする、ふたつのブロックに分かれていた。一方、今回はすべてバンドセット。力強い演奏に乗せて、序盤から「Style」「Sugar」「High Five」とパワフルな歌声を届けていく。突き抜けるようなハイトーン、フェイクを駆使した彼女のボーカルは、バンドサウンドと合わさることでより一層輝いて聴こえる。

 圧倒的な歌唱力を持つ清水美依紗だが、MCでは親しみやすさ全開。「こんばんはー!」と元気よく挨拶をするが、すぐに「やってしまった……」と漏らし、彼女が普段から挨拶に使っている「ナマステ」を含めた掛け合いを観客と行いたかったのだと話す。あらためて流れを説明し、清水が「皆さーん!」と呼びかけると、客席から「ナマステー!」という挨拶が響きわたった。その声を嬉しそうに受け取ると、その後も彼女は呼びかけに答えたり、投げキッスをしたりと、観客と積極的にコミュニケーションを取っていく。会話を楽しみすぎて「何喋ろうか忘れた……」と、もともと予定していたMCの内容が飛んでしまうほど。

 続いて5月7日にリリースされたばかりの新曲「#dont_care」を届けると、「Niji」ではライブグッズのペンライトを振るように呼びかけ、カラフルな光が虹のように会場を彩った。歌唱後も「楽しかった?」「新曲どうだった? かっこいいやろ?」と尋ね、ミュージカルの舞台と比べると、ライブでは客席とステージの距離が近くて嬉しいと話す。ファンと直接触れ合える喜びを感じられるからこそ、彼女はライブ中に積極的にコミュニケーションを取ろうとするのかもしれない。

 そんなミュージカルの話から、今までに彼女が出演した『ビートルジュース』『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』と、いつか出演したい作品だという『ミス・サイゴン』からの曲を盛り込んだ「Musical Medley」へ。さらに、「もう一曲、ミュージカルよりお聴きください」と、『レ・ミゼラブル』から「On My Own」を届けた。実際の舞台経験を活かし、表現力豊かな歌声を響かす清水美依紗。どれも物語のワンシーンが目に浮かぶようにドラマチックだった。

 今回のツアーでは歌ってほしい曲を事前にSNSで募っており、そのなかから選んだ楽曲を、先ほどの「Musical Medley」に組み込んだという。そして、ライブはもうひとつ、リクエストをもとに選曲した「Disney Medley」へ。「So Close」(『魔法にかけられて』)、「Reflection」(『ムーラン』)、「Speechless」(『アラジン』)――ディズニー作品からの名曲たちが、リクエストに応えて英語バージョンで届けられた。

 カバー曲パートのラストを飾ったのは「Bang Bang」(ジェシー・J、アリアナ・グランデ、ニッキー・ミナージュ)。バンドメンバーの紹介も兼ねたソロ回しが、楽曲を華やかに彩っていく。清水もニッキー・ミナージュの高速ラップやジェシー・Jのハイトーンボイスなど、原曲を見事に再現した歌唱で会場を盛り上げた。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる