Albemuth、美しく儚い旅路の終焉 存流と明透それぞれの想いが交差したラストライブを観て

Albemuth、解散ライブレポ

 KAMITSUBAKI STUDIO/SINSEKAI RECORD所属のバーチャルシンガーユニット・Albemuthが、4月9日に初の有観客ワンマンライブ『Albemuth 1st ONE-MAN LIVE「罪と楽園」』をZepp Shinjuku (TOKYO)で開催した。

『Albemuth 1st ONE-MAN LIVE「罪と楽園」』

 Albemuthは、バーチャルシンガーの存流(ARU)と明透(ASU)によるユニット。2022年から活動を開始し、相反する魅力を持つ唯一無二の歌声と、二面性のある楽曲で多くのリスナーを虜にしてきたが、今年1月に突如、存流のアーティスト活動終了、およびAlbemuthの解散を発表。その結果、本公演はAlbemuthにとって、最初で最後の有観客ワンマンライブとなった。

 さまざまな思いを抱えて集まったファンで埋め尽くされた会場には、開演前まではやや緊張感が漂っていたが、暗転すると同時に割れんばかりの大歓声が沸き起こる。待ちわびたファンの前に、魔法のように姿を現す二人。歓声は一層大きくなり、フロアは色とりどりのペンライトの光でいっぱいになった。

『Albemuth 1st ONE-MAN LIVE「罪と楽園」』

 ライブの幕開けは、「幽ノ楽園」。真っ白な衣装に身を包み、神々しさを醸し出す彼女たちは、優美なハーモニーを奏でながら歌い上げ、幻想的な世界へと観客を誘う。二人の強い絆を綴った歌詞も含め、この夜を始めるのに相応しい曲と言えるだろう。ライブ前半は、皓(しろ)の世界をコンセプトとした楽曲で構成されており、二人が初めてデュエットソングとしてリリースした「赤い洗礼」、疾走感溢れる爽やかな「感光」、メルヘンでロマンティックな世界観の「星月夜の調べ」、美しくもどこか陰鬱な空気を纏う壮大なバラードソング「箱庭」など、数々の名曲を、生バンドによる大迫力の演奏に乗せてノンストップで披露した。

 浮遊感と透明感に満ちた不思議な響きを持つ明透の歌声と、高音と低音を自由自在に操る存流の凛とした歌声が混ざり合い、観客を魅了していく。二人は、向かい合って視線を交わし、互いを求めるように何度も手を伸ばす。全ての瞬間が最初で最後となる本公演では、彼女たちの仕草や表情一つ一つに魅了され、その美しさに感動を覚えるのと同時に、胸が締め付けられるような切なさを感じた観客も多いことだろう。

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