町あかり、独自のイメージを具現化したディスコなEP ユニークな制作背景を語る

町あかり、ディスコなEPの制作背景

自分の中にイメージとしてあるディスコを、たぐり寄せて作った

ーー3曲目の「黒帯フィーバー」は、サウンドを聴いてBee Geesの「ステイン・アライブ」を彷彿としました。

町:よく分かりましたね(笑)。でも、私のデモが、もともそういう雰囲気を持っていて「合うんじゃないか」と。細かく言うと、ベースがダブルベースになっていて、シンセ・ベースとチョッパーの5弦ベースを重ねている。私的には、そこがすごく格好良くて好きなポイントです。今作では、私の頭にあるイメージをどう具現化するかというところで、たくさん助けていただきました。

ーーそれにしても、柔道をモチーフにしたのは面白いですね。

町:歌詞に出てくる彼はダンスが上手くて、ディスコ界における黒帯みたいな(笑)。それもスキルだけではなく心も大事で、それは柔道とも通じるなと思って。強いとか技が上手いとか体がでかいとか、それだけではダメでメンタルも大事だという。柔道に限らず何においてもそうだと思うんですけど、きっとディスコもそうなんじゃないかと。

ーー歌詞に〈If DISCO were an Olympic sport, he would win the gold medal〉と出てきますけど、今年はオリンピックがありますしぴったりですね。

町:あ、今年なんですね。気づきませんでした。何も考えずにこの歌詞を書いていたのは、我ながら奇跡です(笑)。柔道の試合中継でぜひ使ってほしいです。

ーー個人的には、サビで〈フィーバー〉と歌っているところは、水谷豊さんが先生役で出たドラマ『熱中時代』(日本テレビ系)の主題歌「ぼくの先生はフィーバー」(原田 潤)を思い出しました。

町:フィーバーは流行った言葉だし、先ほど出た「ステイン・アライブ」も映画『サタデー・ナイト・フィーバー』の主題歌で、ディスコを象徴する言葉だから使いたいと思っていて。『熱中時代』の主題歌のことは有名なので知っていましたけど、そこまでは意識していなかったです。

ーーこのMVは?

町:この曲は作っていないです。全曲作ったほうが良かったですか(笑)? でも、確かに映像が浮かぶ楽曲ですから、皆さんの頭の中で映像をイメージしていただけたらうれしいです。

ーー柔道着を着た町さんが、巨漢の柔道家と戦うシーンが浮かびました(笑)。

町:分かります(笑)。

ーー最後の曲「楽園流しの刑」ですが、これも楽しいですね。歌詞から感じたのは、全てが満たされすぎてしまうこともある種の苦しみである、ということでした。

町:はい。そういう感じです。これもタイトルから考えたのですが、普通は「島流しの刑」ですけど、島以外にどこに流されたら面白いかと思って考えました。本来、楽園ならみんな自ら行きたいと思うでしょうけど、それって本当に幸せなのかなって。例えば楽しみにしていたゲームがすぐクリアできちゃったら、それは果たして幸せなのか? みたいな。きっと何度もゲームオーバーになって、それでも頑張ってクリアするから面白いのだと思うんです。人生という意味においても、あがくからこその人生なんじゃないかと。だからと言って、何でもがむしゃらにやればいいと言っているわけではなくて、「ああ~しんどいな」と言っている瞬間も“人生のスパイス”だと思ったら、その瞬間も楽しくなるんじゃないか、そういう提案みたいな曲ですね。

ーー今は何でも携帯ですぐ調べられるけれど、本屋さんや図書館に行って調べるとか、そういうひと手間とか過程があったほうがいいと。

町:それもまた楽しいですよね。本屋さんに行く途中で、何か新しい出会いがあるかもしれないし。まあかく言う私も、すぐ携帯で調べちゃう派です。携帯を持っているので、それを手放そうとまでは思いませんけど。

ーー途中でサンバホイッスルみたいなのが鳴る展開があったのも面白いです。

町:そうそう。そこは「踊るぜ!っていうコーナーです(笑)。

ーーサウンド面では「ソウルトレインのテーマ」(MFSB feat. The Three Degrees)がモチーフみたいな?

町:それはハズレです(笑)。でも、ストリングが入っていたりするので、そういう爽やかさはありますね。こういうディスコも入れたいなと思って作りました。

ーーこの1枚を作るにあたっては、ディスコのいろんな曲を聴いたり調べたりしたのですか?

町:自分の中にイメージとしてあるディスコを、たぐり寄せて作った感じです。聴いても「これくらいのテンポの曲を作ろう」とか「マイナー調の曲にしたい」とか、そういうきっかけにはなりますけど、「この曲のような曲を作ろう」みたいに考えることは無いです。

ーーだとすると普段のインプットが大事だと思うのですが、曲のネタとまではいかなくても、自分自身の栄養分として取り入れているものはありますか?

町:映画『男はつらいよ』シリーズが大好きなんです。

ーー『男はつらいよ』の、ああいう昭和の世界観に惹かれて? それとも人情ストーリーに惹かれて?

町:最初は世界観が新鮮で「おお~!」と思って観始めたんですけど、毎回出てくるマドンナの存在に惹かれました。お話ごとに違う女性がマドンナとして登場するのですが、マドンナは全員すごく悩んでいて、大変な思いをしていて。それを寅さんおよび“とらや”の人たちに助けてもらいながら、悩みや問題を解決していきます。でもそれは、同時に寅さんとの別れも意味していて、毎回寅さんはフラれてしまうわけですけど、私としては毎回マドンナにすごく共感するんです。「最後に幸せになって良かったな」って。マドンナ目線に立って、人の人生の機微に触れて、「こういう苦労もあるんだな」って思ったり、「確かにな」って共感したりしながら、刺激を受けています。『男はつらいよ』に限らず山田洋次監督の映画が全般的に好きで、そう考えるとやっぱり人情ものが好きなんでしょうね。“いい話”がすごく好きです!

ーー町さんは、これまでも昭和歌謡などをモチーフにやっていたりするので、もっとサブカルでエキセントリックなものを見聞きしているのかと勝手に思っていました。でも、結構王道で安心しました(笑)。

町:王道ですよ(笑)。歌謡曲は好きですけど、ヒット曲が大好きなので、それって結局は王道ですからね。犬とか猫が普通に好きで、変わった爬虫類を飼っているわけでもないし。みんなが好きなものが、普通に好きみたいな。

ーーそんな町さんは、この『地球出禁にしていいよ ~ディスコあかり DISCO Machi Akari』を携えて、インストアイベントやレコ発ツアーも開催します。有観客でライブをやるのは、すごく久しぶりだそうですね。

町:はい。コロナ禍になってから一度もやっていなかったので、4年ぶりくらいです。なので、できることがすごくうれしいですし、すごく楽しみです。ライブハウスで行うレコ発ツアーは『春風到来!ディスコ・あかりレコ発ツアー』と題して、今回の新曲4曲を含め、これまでにリリースした曲からも楽しくてポップな曲をたくさん選んで、全体にディスコというイメージで楽しんでいただけるステージをお届けする予定です。

ーーみんなで楽しく踊るライブみたいな?

町:そうですね。新曲も一緒に歌ったり追っかけで声を出したりできる曲ばかりなので、みんなで体を動かしながら歌って、楽しく“フィーバー”したいです。お近くの方は、ぜひ足を運んでいただけたらうれしいです。

■リリース情報

『地球出禁にしていいよ ~ディスコあかり DISCO Machi Akari』
発売日:2024年4月3日(水)
通常版(CD)
価格:1,980円(税込)
CD収録曲 
1.地球出禁にしていいよ
2.常磐ディスコ港町
3.黒帯フィーバー
4.楽園流しの刑
5.地球出禁にしていいよ ~オリジナル・カラオケ~
6.常磐ディスコ港町 ~オリジナル・カラオケ~
7.黒帯フィーバー ~オリジナル・カラオケ~
8.楽園流しの刑 ~オリジナル・カラオケ~

デラックス限定版(CD+DVD)
価格:2,970円(税込)
DVD収録内容(デラックス限定版のみ)
1.地球出禁にしていいよ ミュージック・ビデオ
2.常磐ディスコ港町 ミュージック・ビデオ
3.町あかり二〇問二〇答 Part.1
4.町あかり二〇問二〇答 Part.2
5.地球出禁にしていいよ MAKING CLIP

■イベント情報
『『地球出禁にしていいよ ~ディスコあかり』発売記念ストアイベント』
4月3日(水)ULTRA SHIBUYA
4月4日(木)diskunion ROCK in TOKYO
4月5日(金)HMV record shop 渋谷
4月6日(土)タワーレコード町田店
4月10日(水)タワーレコード池袋店
4月13日(土)タワーレコード横浜ビブレ店 
4月18日(木)タワーレコード錦糸町パルコ店
4月19日(金)タワーレコード川崎店

『【レコ発ツアー】春風到来!ディスコ・あかりレコ発ツアー<地球出禁にしていいよ>』
4月7日(日) 神奈川・横浜 Music.Lab濱書房
4月26日(金)愛知・名古屋 新栄DAYTRIVE
4月27日(土)大阪ロフトプラスワンウエストWEST
4月28日(日)和歌山オールドタイム
5月10日(金)京都 西院ウーララ
5月11日(土)広島・福山musicfactory
5月26日(日)東京・池袋Space emo
6月29日(土)富山・高岡Good Fellows
6月30日(日)石川・金沢 音SPOT cafe&bar 「Jam」

町あかり オフィシャルサイト
https://mcakr.com/

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