春瀬 烈、全クリエイティブを手がける新たな才能の出現 「リップシンク」から始まる快進撃の予感

春瀬 烈、SSWに新たな才能出現

 音楽とアニメーションが一体となった表現方法で人気を集めるアーティストが増えている。そんななか、今注目したいのが、シンガーソングライターの春瀬 烈だ。

 春瀬 烈は、バンドやボカロP・ロテとしての活動を経て、2021年より活動を開始したシンガーソングライター。作詞作曲からMVのアニメーションやジャケットデザインに至るまで、すべて自身で制作するというマルチな才能を持っている。YouTubeチャンネルに投稿されているMVの多くが自身による制作で、そのクオリティの高さや独特の世界観が話題を呼んでいる。

『YOSORO』
『秕』
『風は凛として』
『月のろし』
『MAGNET』
『雨葬』
『花浮世』
『香り言』
『はらるら』
『common』
『リップシンク』
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 なかでも、今年2月にリリースした新曲「リップシンク」は快作だ。赤い髪の女性がこちらをじっと見つめるイラストのMV、リズミカルだがどこか気だるい雰囲気も醸し出すサウンド、心に巣食う〈病〉を落ちない汚れに喩えた文学的な歌詞――この鮮烈な印象が、視聴した瞬間に飛び込んできて、まさに曲で歌われる〈服に溢したワイン〉のように、脳にこびりついて離れない。

 歌のキャラクター像も印象的だ。主人公の〈あたし〉は、〈年甲斐なく生まれた意味探した〉というフレーズからも、すでに大人として扱われる年齢だと想像できる。少なくともワインが飲める年齢ではあるだろう。

 その〈あたし〉は〈あなた以外まるで意味ない/なんて言えるほど馬鹿じゃない〉ともあるように、いかにも思春期の若者が陥りそうな恋愛感情を否定しながら、それでも〈あなた〉のいない喪失感に蝕まれている。年齢的にも精神的にも成熟しているにも関わらず、〈子供にかえって〉泣きじゃくりたい。〈あたし〉はそうした純朴な感情も持ち合わせた存在として描かれる。

 全編にわたって鳴り響く印象的なワウギターの音色は、本音とプライドのあいだでせめぎ合う、そんな〈あたし〉の心の揺らぎのようでもあるし、レイドバックしたリズムにはどこか虚ろなニュアンスが滲み出ている。

春瀬 烈「リップシンク」MV

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