『ラブライブ!』色褪せないアイドルアニメとしての功績 後輩グループにも継承されるμ'sの意志

 また、「スクールアイドル=グループによる活動」という従来のシリーズの概念を覆し、メンバー全員がソロアイドルとして活動しているのが『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』。アニメでは、同じ同好会の仲間であり、ときにはライバルとして切磋琢磨し合う関係性、そしてメンバー個々のパーソナルな部分により迫ったストーリーが描かれ、ライブではキャラクターごとに個性豊かなパフォーマンスを楽しむことができるのも特徴だ(もちろん全員で歌唱する楽曲やユニット曲も存在する)。

 そして『ラブライブ!スーパースター!!』では、スクールアイドルユニット・Liella!のメンバーたちが物語の進行に合わせて進級し、後輩メンバーの加入によって人数も最初は5人組だったのが、9人組、11人組と推移していく、今までのシリーズにはなかった要素が加わっている。さらにアプリゲーム「Link!Like!ラブライブ!」を中心に展開されている『ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』では、現実の時間経過と連動したゲームシステム、3Dモデルによるリアルタイムのバーチャルライブや生配信といった要素が採用されており、より臨場感をもってスクールアイドルたちの物語に触れることができる。

 そのようにμ'sが打ち出した「みんなで叶える物語」「ライブにおけるキャストとキャラクターの同期性」といった部分を踏まえつつ、各シリーズごとに新たな挑戦をしながら進化しているのが『ラブライブ!』シリーズなのだ。

 ちなみに『ラブライブ!』シリーズのキャストにはμ'sの活躍に刺激を受けていたというメンバーも多く、Aqoursの伊波杏樹や鈴木愛奈はAqoursとして活動する以前からラブライバーだったことで知られるし、Liella!の伊達さゆりや鈴原希実も『ラブライブ!』好きが高じて『ラブライブ!スーパースター!!』の一般公募オーディションを受けた経緯がある。また、『ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』のキャストである楡井希実、花宮初奈、月音こなもμ'sに憧れを抱いてオーディションを受けたと公言しているほか、『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の優木せつ菜役を楠木ともりから引き継いだ林鼓子も『ラブライブ!』ファンとして知られ、Run Girls, Run!時代に「Snow halation」をカバーしたことがあるほか、愛称の「はやまる」はμ'sの矢澤にこ役の声優・徳井青空の愛称「そらまる」から取られたものだ(徳井のファンである父親が命名したという)。

 いずれにせよ、TVアニメ『ラブライブ!』とμ'sが当時巻き起こした、社会現象とも言うべきムーブメントは、『ラブライブ!』シリーズの枠を超えて広がりを生んだ。『Tokyo 7th シスターズ』『Re:ステージ!』『IDOLY PRIDE』のように、ゲーム/アニメ/リアルライブなどのメディアミックス展開を行うアイドル作品が増加し、『ラブライブ!』を手がけた木皿陽平も『SELECTION PROJECT』『シャインポスト』といった作品で音楽プロデューサーを担当。今や声優がアイドルとしてステージに立つのは珍しいことではなくなった。その先駆者として、μ'sという存在はいつまでも色褪せることなく輝き続けることだろう。

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