『ラブライブ!』シリーズ発 Liella!、初のシングルチャート首位 ボーカルが高めるメンバーの解像度

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参照:https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2024-01-22/

 意表を突いてくるスウィングジャズ歌謡。2024年1月22日付(1月16日発表)のオリコン週間シングルランキングで1位を獲得したLiella!の『シェキラ☆☆☆』には少なからず驚きました。

【試聴動画】『ラブライブ!スーパースター!! Liella! 5th LoveLive! ~Twinkle Triangle~』テーマソング「シェキラ☆☆☆」

 Liella!は、2023年12月13日に放送された『2023 FNS歌謡祭 第2夜』(フジテレビ系)にも出演していた11人組グループ。そもそもはテレビアニメや漫画などのメディアミックス作品『ラブライブ!スーパースター!!』に登場するアイドルグループの名前であり、その声を担当している声優グループの名前でもあります。『シェキラ☆☆☆』は彼女たちの初の首位獲得作品となりました。

 そのタイトルナンバーである「シェキラ☆☆☆」は、イントロからホーンセクションが鳴り響き、そこにメンバーの〈Shake it up! Dance!〉という甘い声が乗ります。ホーンセクションが止まり、エレキギターのカッティングが響いてからAメロへ。歌のバックではジャジーなピアノが奏でられ、リズムにはスウィング感もあります。

 時計の針の音を挟んで、Bメロからサビへと展開すると、ポップなメロディが歌われた後に再び〈Shake it up! Dance!〉と繰り返されるパートへと循環していきます。2番のAメロでリズムセクションが止まる瞬間も、この楽曲のジャジーさをさらに強調するかのようです。間奏でソロを弾くのは、一般的なJ-POPならギターですが、「シェキラ☆☆☆」の場合はピアノです。

 作編曲は、男女7人組ダンス&ボーカルグループであるGENICの小池竜暉がHoffnungとともに担当していて驚きました。全体的にコード進行もジャズ色が強いものであり、そこでホーンセクションを鳴らすことで、さながらスウィングジャズとして響きます。

 また、声優ユニットというとコケティッシュな歌声をイメージしてしまうのですが、Liella!に関してはそうした要素がないことも新鮮でした。『ラブライブ!スーパースター!!』という作品の世界観を演じてはいるのでしょうが、その溌溂としながら陰影をも描きだすボーカルには強い肉体性があるのです。そうした歌声が、Liella!が作品上のグループであると同時に、現実世界でも活躍するグループでもあるという構造を雄弁に物語っています。2023年3月には、3万人を収容するベルーナドーム公演を2デイズも行っているわけですから。

 ランティスからリリースされた「シェキラ☆☆☆」は、メディアミックス作品として高い完成度を誇りながら、同時にメンバーの現実世界での解像度もより高くするかのような楽曲です。

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