乃木坂46、“バスラ”の持続可能なあり方 AKB48『選抜総選挙』『リクエストアワー』の変化から考える

 3月7日~10日の4日間にわたって、さいたまスーパーアリーナにて毎年の恒例イベント『12th YEAR BIRTHDAY LIVE』(以下、バスラ)を開催した乃木坂46。2012年2月に1stシングル『ぐるぐるカーテン』でデビューしたグループの12年間の歴史を辿る今回のバスラは、これまでとは異なるレギュレーションで行われた。まさに12年の集大成とも言えるステージでもあり、未来に向かって走り出す大きな転換点となっていたように思う。

 
 
 
 
 
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 同時に『DAY4:2021-2024』の最後のMCでキャプテンの梅澤美波は「全日違うセットリスト、正直過酷でした。でもこれが乃木坂46の伝統で、試練なんだと思います」といった言葉も残しており、メンバーにとってバスラは大きな負荷ともなっていた。13年目に突入していく中で、グループの伝統であるバスラのあり方を考えるべきタイミングにきているのではないだろうか。

 バスラが始まったのは2013年2月22日。そこから2020年2月21日〜24日にナゴヤドームで開催された『8th YEAR BIRTHDAY LIVE』に至るまで全曲披露という形を取ってきた(2018年開催『6th YEAR BIRTHDAY LIVE』を除く)。それが全国ツアーとは異なるバスラの独自性を担保していたわけだが、2020年を境にその形が変化しつつあった。2021年の『9th YEAR BIRTHDAY LIVE』では初の無観客生配信で行われ、メンバー全員が出演した公演と期別ライブの計5デイズ公演として開催されるという異例の形となった。2022年の『10th YEAR BIRTHDAY LIVE』は過去最大規模である日産スタジアムでの2デイズ公演となったが、西野七瀬や生田絵梨花、白石麻衣といったOGがサプライズ登場し、新たなバスラの形を示した。2023年の『11th YEAR BIRTHDAY LIVE』では再び5デイズでの開催となったが、DAY1が全体ライブ、DAY2〜DAY4が期別ライブ、DAY5が秋元真夏卒業コンサートという、バスラが果たしてきた“グループの歴史を辿る”という意味合いは少々薄れていた。

 今回のバスラは「DAY1:2011-2014」、「DAY2:2015-2017」、「DAY3:2018-2020」、「DAY4:2021-2024」という4つの年代で区切り、乃木坂46の歴史を辿れる構成となっていた。注目したいのは草創期のメンバーである1期生・2期生が全員卒業したことにより、DAY1で披露される楽曲のオリジナルメンバーが不在であったことだ。これまでは1期生、2期生のメンバーが在籍していたため、卒業メンバーを補完する形で後輩が代役を務めてきたが、今回は初めて3〜5期生だけで楽曲を披露した。その意味で今回のバスラはグループの未来を明確に描き出したと言っていいのではないだろうか。

 さらに全曲ではないものの、年代ごとにリリースされたシングル/アルバムから厳選された楽曲を披露し、4日間で123曲という大ボリュームのライブに。『8th YEAR BIRTHDAY LIVE』で200曲を披露していたとはいえ、持続的なバスラのあり方を考えた時、特に新たに加入するメンバーへの負担はネックとなってくる。

 伝統は大切に敬意をもって後世へ受け継がれていくべきだとは思うが、グループ活動に支障が出るようでは本末転倒だ。そこで、AKB48の伝統として長く開催されてきた『選抜総選挙』と『リクエストアワー』の事例を踏まえて、持続可能なバスラを考えてみたい。

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