s**t kingz、ダンスシーンの歴史に残る初日本武道館公演に潜入取材 リハーサルから徹底レポート

s**t kingz、日本武道館公演に潜入取材

 いざ迎えた本番。ほぼ定刻通りにオープニング映像が流れ始める。『THE s**t』とタイトルがモニターに映し出されると大きな拍手が、ステージ上でバンドが演奏を始めると歓声が、そしてメンバーが姿を現すと割れんばかりの拍手と歓声が鳴り響いていく。まずは「FFP feat. C&K」で会場のテンションを一気に高める。一斉に手が上がり、1曲目とは思えないほどの盛り上がりだ。「On my side feat.issei」でさらにヒートアップすると、「みんなで両手を上げて、騒げ!」というkazukiの言葉で「TRASH TALK feat. Novel Core」へ。メンバーはステージのウィング部分まで広がり、お約束の53(ゴミ)ダンスも飛び出していく。会場の一体感が増したところで、「日本武道館! めちゃくちゃ踊るs**t kingzが見たいか!」とshoji。「シッキン史上最も激しい楽曲を持ってきました。みんなはそのまま体を揺らしながら楽しんでくれ!」と、「Get on the floor feat.MaL, ACHARU & DREAD MC」でバチバチのダンスを披露していく。その気迫と気合が伝わったかのように、暗転した後も拍手と歓声が鳴り止まないでいた。

 照明が点くと、満面の笑みを見せる4人の姿が。1人ずつ“らしい”自己紹介をすると、「早速次の曲にいきたいと思う! だが次はなんと、ソロだー!」とNOPPO。ソロの順番はルーレットで決定するとのこと。当たったshojiは「俺だー!」と声を上げ、「ソロ1発目は一番元気な男、私がやらせていただこうかなと。どんな踊りを踊りたいかなって思った時に、いつまでもステージの上で暴れ回っていたいな、と思いまして。これからも笑顔の下に獣を隠して、大暴れしていきたいと思います。一緒に楽しんでくれますか!」と曲振り。「Just Like That feat.Sam is Ohm」で宣言通り、キレキレのダンスで大暴れすると、客席からのクラップも鳴り止むことはなかった。

 続いては雰囲気がガラリとかわり、「Haze feat.Shin Sakiura × ぷにぷに電機」。スモークの中、椅子を持って現れた4人は、椅子にもたれかかるように座ってスタンバイ。薄い照明が彼らを照らし、幻想的な世界が広がっていく。

 思わず見入ってしまう美しいパフォーマンスを終えると、Oguriだけがステージに残る。「s**t kingzを始めて、15年が経ちました。個人的にはダンスを始めて20年。人生の半分以上ダンスと一緒に過ごしてきました。そんな自分にとってダンスとはどんなものなのか、改めて振り返ってみたいと思います」と語り、バンドセッションに合わせてソロパフォーマンスを始めていく。「ダンスを始めたのは高校1年生の時。最初に習ったダンスはロックダンスでした」という言葉でベースが、「大学生になって世界が一気に広がりました」でキーボードが、「s**t kingzを組んだのも大学生の時」でギターが、「調子に乗ってたまに勇気を出してバトルとか出たりすると、もちろんボロ負け」でドラムが鳴り、それぞれの音に合わせて様々なダンスを見せていくOguri。「そんなこんなで必死に踊ってたけど、何にせよ僕はダンスが大好きだ!」を合図にバンドがセッションを始めると、その音をキャッチして踊りながらダンスへの思いや抱いていた葛藤、がむしゃらに踊り続けていくという決意を語っていく。これぞ真のエンターテイナーというべき姿だろう。その流れのまま4人で披露されたのは、「Bright feat.渡辺大知」、「心躍らせて feat.上野大樹」。全身だけでなく表情まで余すところなく使って踊る4人のパフォーマンスはドラマを見ているかのよう。楽曲が終わるとスタンディングオベーションのような大きな拍手が贈られた。

 ステージに残ったのは、kazuki。「次は僕のソロパフォーマンスになります。今日この会場には本当にたくさんの方に来ていただいていて。ダンスを通して皆さんに何を伝えたいのかを考え、イメージしながら楽曲とパフォーマンスを作りました」と語って始まったのは、「未来紙 feat.のんぴー」。感謝の思いがこもった歌に合わせたkazukiのダンスは、感情が可視化されているかのようだ。どんな思いで15年を過ごし、今どんな思いでステージに立っているかが伝わってくる。

 心が揺さぶられていると、雰囲気が一転。浅はかな連続ダンスドラマ=“浅ドラ”『ぼくらのYeah!!』から飛び出した“せが家”が過去行なわれてきたs**t kingzの舞台公演を振り返るコーナーがスタート。一気に会場は笑いに包まれていった。続いては、NOPPOのソロパフォーマンス「Too much to choose feat.FiJA」。これまでの明るい雰囲気がガラリと変わり、まるで深海に潜ったような気分になってくる。柔らかで繊細かつどこか神々しいパフォーマンスを終えたNOPPOは、「次の曲は皆さんと一緒に僕たちの曲の世界観を作りたいと思っています。なので立ち上がってスマホライトを点けていただけたら嬉しいです」とアナウンス。すると客席が光で埋め尽くされ、満天の星空のような景色が広がる。思わず客席からも感嘆の声が漏れると、「Live like you're dancing feat.ZIN」へ。カメラがオンステージし、客席をバックにして踊るメンバーたちの姿がモニターに映されると、その映像の美しさに驚かされた。

 s**t kingzからの思わぬプレゼントを受け取った気分になっていると、メンバーたちの「すごい! めちゃくちゃキレイ!」という声に意識を引き戻される。kazukiは「日本武道館でこんな素敵なことをみんなとできるなんて。ありがとうございます」、「中にはスマホを持っていない方がいらっしゃったかもしれないですけど、あなた自身が輝いていました」とコメント。さらに「昨日から(このコメントを)言おうって決めてました」と笑いを誘った。ここで、ダンサー史上初の日本武道館公演の前日、メンバーは何をしていたかを話すMCでひと息ついたところで後半戦がスタートする。

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