稲葉浩志ものまねで話題の南波雅俊アナ、並々ならぬ“B'z愛”を語る 直接会って伝えたいのは「いつも、本当にごめんなさい!」

南波雅俊アナ、溢れ出る“B'z愛”語る

毎晩家でB'zの稲葉さんみたいなライブを2時間

ーーわかります。では、南波さんは初めてB’zに触れる人に対して、B’zの魅力をどのように伝えますか?

南波: B'zの魅力って本当に時代によって違うんですけど、「ほかのバンドにはない、稲葉さんの最強の声」をまずオススメします。唯一無二のあの最強の声、稲葉さん的表現でいうと“VOICE”。そこが僕のB'zが好きなところだし、まずは稲葉さんの声を聴いてくれと言いたいですね。あとは、僕がハマったのと同じように、一度ライブを観てほしくて。「一緒にライブに行きましょう、行けばわかる!」という感じですかね(笑)。

ーーでは、B’zのライブの魅力はどういったところでしょう?

南波:ライブはやっぱり、CD以上の稲葉さんの声とパフォーマンス。研ぎ澄まされた稲葉さんの圧倒的な声が響き渡ることで、会場に一体感が生まれるんです。生で聴く松本さんの力強さと、重厚さと、切なさが絡み合うサウンドもめちゃくちゃ良いです。ギターソロを聴きながら泣いたこともあります(笑)。

 あと、B'zのライブは演出がめちゃくちゃ尖っていて(笑)。よくテレビでも放送されますけど、『BIG MACHINE』(2003年)のツアーでは曲中にモトクロスバイクのスタントショーが展開されたりと、普通じゃないんですよ。東京ドームで生で見ていて「何が起きてるんだ」と圧倒されていたことを思い出します。『EPIC NIGHT』(『B'z LIVE-GYM 2015 -EPIC NIGHT-』)でのレーシングカーを落として壊す演出も、ちょっと想像を超えてくるものでしたし、伝説的な演出だと「LOVE PHANTOM」で稲葉さんがダイブする(『B'z LIVE-GYM Pleasure '95 -BUZZ!!-』)。また、ただ激しく派手なことだけじゃなくて、劇というかショートコントというかコミカルなこともやりますし、想像以上に、時には想像の斜め上から楽しませてくれるところも魅力ですよね。

ーー単なるロックバンドだけにとどまらない、観に来た人をしっかりもてなすエンターテイナーですよね。

南波:確かに。「B'zのLIVE-GYMに“ようこそ!”」(※稲葉が最初のMCで叫ぶ、お馴染みの一言)ですものね。おもてなしの精神は確かにあると思います。

ーー「Brotherhood」の歌詞の話もありましたが、作詞家としての稲葉さんはどうですか? いろいろ聴いたり歌ったりしてきた中で、稲葉さんが描く表現は南波さんにはどう映りますか?

南波:稲葉さんの歌詞は独特ですよね。僕はどちらかというとソロの歌詞が好きで、素の稲葉浩志さんがダイレクトに表されているんです。先日もとあるインタビューで「B'zは鎧だ」と言っていましたけど、B'zのアルバム曲でもたまに出てくるちょっと女々しくて弱い男性像(※1)。特に、若かりし頃の稲葉さんの歌詞には多かった表現なんですが、あんなにカッコいいロックアーティストの大御所ですけど、もともとは岡山県北部の津山から出てきた青年であって、等身大の弱さがところどころに出てくる歌詞は特に好きです。「俺たちの感情と変わらない瞬間があるんだ」っていうことを思わせてくれるからこそ、ついていきたくなるというか、共感できるというのはあるかなと思います。

 2000年代以降は、励ます系の歌詞も内容が多くなっていますが、そこには裏付けがあると思っていて。僕はアルバム『ACTION』(2007年)収録曲の「パーフェクトライフ」っていう曲が好きでよく聴いているんですけど、完璧に見える人も裏では青筋立てて苦しんで頑張っている、という歌詞なんです。ご本人は「そこまでストイックじゃないですよ」と謙遜しますけど、今の年齢まであの声や体型を維持できるということは、相当なストイックさがあるでしょうし、そういった経験が歌詞にはしっかり裏付けされているんじゃないかなと。「これだけやっている人が言ってくれるんだから、俺もやらなきゃ」と思えるような、稲葉さんだからこそ書ける内容だなと思います。

ーーそう言う点は欧米のハードロックバンドとは違っていて、すごく日本的なんですよね。情緒があると言いますか。

南波:まさにそうだと思います。それこそ有名な「ultra soul」もサビを聴けば「頑張るぞ!」って気持ちが湧き上がるけど、歌い出しは〈どれだけがんばりゃいい 誰かのためなの?〉ですからね。アスリートをイメージした部分もあるかと思いますが、人がもがいている感じを、隠さずにちゃんと見せてくれる。情緒がにじみ出てくるのもそうだし、ただにじみ出るだけじゃなくて開いて見せてくれているところもありますしね。そういうところにもすごく共感できます。

ーーそういう点においては、往年の歌謡曲の世界観にも通ずるものがあるような。

南波:確かに、一番新しいアルバム『Highway X』(2022年)でも「COMEBACK-愛しき破片-」はその真骨頂ともいえるサウンドですしね。バンドとしても、ゴリゴリのハードロックと日本の伝統的な歌謡曲がミックスされて、いい意味での“大衆受け”をはらんでいるのは、B’zならではの魅力だと思います。

ーーだからなのか、ライブには幅広い年代の方々がいらっしゃっていますし。35年という歴史を積み重ねてきた結果でもあるとは思いますけど、それだけではなく日本人の琴線に触れるような、幅広い世代を惹きつける魅力があるんでしょうね。

南波:それは本当に思いますね。まさにこの間『en-3.5』に行ったときは、隣の方はおそらく稲葉さんより年上なんじゃないかという世代の男性の方がいらっしゃいましたし、一方で20代くらいの方もいて、本当に幅広く受け入れられている。日本人の琴線に触れるとおっしゃっていましたけど、日本人のDNAに刻まれている部分をくすぐるような繊細な魅力が、あの派手なハードロックとかけ合わさることで、多くの人を惹きつけているのかなと思います。

ーーそんなB'z稲葉さんのものまねを、南波さんはある時期から始めるわけですよね。

南波:はい(笑)。

ーーきっかけはなんだったんですか?

南波:まさにライブなんですよ。家族と一緒に車に乗って『B'z The Best "Pleasure"』を聴いていた頃、まず「こんな声が出ない。悔しい!」と思い、初めてライブを観て「なんだこれ? めちゃくちゃカッコいい!」と『Brotherhood』のDVDを買って、毎日稲葉さんの真似をして歌い始めた。稲葉浩志という人間の外見もそうだし出している声もそうだし、「こんなカッコいい人がいるの?」と稲葉さんみたいになりたいと思うようになったんです。それこそ、毎晩家でB'zの稲葉さんみたいなライブを、DVDを観ながら2時間くらい続けてましたから。

ーーフルステージじゃないですか(笑)。

南波:そうなんです。僕の部屋は一軒家の2階だったので、雨戸を閉めて歌っていたんですけど、近所の皆さんに聞こえていたとしたら本当に申し訳なく思っています(笑)。で、そんな中学時代を過ごし、高校に入って1年生のとき、野球部の先輩に言われて出た文化祭のカラオケ大会で「今夜月の見える丘に」を歌ったんですけど、そこで優勝してしまったんです(笑)

ーーすごいじゃないですか!

南波:で、そこから毎年出て、3連覇しました(笑)。そんな経緯もあり、大学に入ってからは、部活の人たちと冗談交じりに話すなかで、『爆笑そっくりものまね紅白歌合戦』(フジテレビ系)に「B'zで応募しろよ」「よし、やったります!」みたいなやりとりがあって、応募することになりました。そして、番組に出演した際、ものまね店の店長兼オーナーから「うちでバイトしない?」と声をかけられて、2年ぐらい働きました。

ーー中学生の頃に家の雨戸を閉め切って、毎日フルステージをやっていた経験が、その後のものまねの原点なんですね。

南波:そうなんです、連夜の『LIVE-GYM in 家』が(笑)。

ーーそれが今や……僕も『ラヴィット!』をよく拝見していて、南波さんが登場すると「今日は何を歌うのかな?」と毎回ワクワクするんです。

南波:ははは、朝からうるさくてすみません。まさか『ラヴィット!』でここまで多く起用してもらえるとは思っていませんでしたし、今度は『ラヴィット!ロック2023』という代々木体育館で行われるイベントで、1万人を前にB'zを歌う可能性もあるわけですから、なんかとんでもない方向になりましたよね(笑)。

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