にしな、天真爛漫なパフォーマンスが演出したカオティックな夜 歓声と歌声が交差する最新ツアー最終公演を観て

にしな、最新ツアー最終公演レポ

 7月27日、にしな がワンマンライブハウスツアー『クランベリージャムをかけて』のファイナル公演をZepp DiverCity(TOKYO)にて開催した。

 本ツアーは、にしな にとって初めてのライブハウスツアー。北海道、福岡、大阪、愛知、宮城と巡りながら、その美しくも力強い歌声を全国へ届けてきた。そして今夜、ついにフィナーレを迎えた。

 開演待ちのBGMは、愛らしくもどこか不穏なオルゴールのメロディ。ステージには、一人掛けのソファやラック、ラグマット、フロアランプ、観葉植物など様々なインテリアが置かれており、まるで誰かの部屋へ遊びに来たかのような錯覚に陥る。部屋の中心には、「247」の文字が赤く光っていた。

 開演時刻を少し過ぎた頃、フッと会場の明かりが消えると、ぎゅうぎゅうにフロアを埋め尽くす観客が大きな歓声を上げる。その様々な声音から、老若男女さまざまな人々が集まっていることがうかがえた。待ちわびた観客の元へ現れたのは、ルーズなシルエットのシャツを着た にしな。ステージに置かれていた真っ白なドアの前へ立つと、ピンク色のペンキをおもむろに手に取る。“With Cranberry Jam”。にしな が大胆な手つきで、ツアータイトルを改めて提示すると、それを合図にライブは幕を開けた。

 1曲目は、「ランデブー」。浮遊感漂う独特の歌声で、瞬時に観客の心を掴み、にしな の世界へと誘う。歌いながらソファに勢いよく腰を下ろしたり、クッションを放り投げたりと、自由気ままに動く姿は、天真爛漫な少女のよう。続く「東京マーブル」ではバブルマシーンを取り出し、フロアに煌めくシャボン玉を吹きかける にしな。観客は、そんな彼女に翻弄されつつもハンドクラップで盛り上がった。

 真っ赤なライトがステージを照らし出す中、アコースティックギターを構えると「真白」へ。繊細さと芯の通った真っすぐさの両方をあわせ持つ唯一無二の歌声を、切なく響かせる。高ぶった感情は、続く「夜間飛行」で優しくなだめられる。青いライトの中、まるで夜の海を漂うように不規則に身体を揺らしながら歌い上げる にしな。なんとも形容しがたいエモーショナルな雰囲気に会場は包まれていた。「夜になって」が始まると、会場の空気は一気にシリアスなムードに変わる。深い愛の形を綴った歌詞を、にしな はステージの中央に立ち尽くしたまま一気に歌い上げた。

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