乃木坂46、欅坂46、AKB48、NGT48の歌詞で使われてきた〈青空〉の意味は? 「僕が見たかった青空」に繋がる“青空曲”

 6月15日に誕生したアイドルグループ「僕が見たかった青空」がこの夏デビューする。結成日にはメンバー23名が発表となり、その初々しい表情や爽やかな衣装がお披露目となった。

 「乃木坂46の公式ライバル」と謳っていることもあり、世間からの注目度も高いこのグループ。しかし一方で、その特徴的なグループ名にも注目が集まっている。これまで秋元康がプロデュースを手掛けてきたアイドルグループの名前には「AKB48」や「乃木坂46」などのように、数字が多く用いられてきたため、今回のグループ名には意表を突かれた人も多かったはずだ。特に「青空」というワードは、秋元が曲名や歌詞に多用してきた言葉でもあり、その都度、多種多様な意味を持たせてきた。

 そこで本稿では、秋元康プロデュースのアイドルグループにおいて、「青空」という言葉がどのような意味で使われてきたかをまとめてみたい。なお本稿では、文章を簡略化するために、「青空」がタイトルに用いられている楽曲を「青空曲」と呼ぶことにする。

「青春」や「平和」を象徴してきた「青空」

乃木坂46 『何度目の青空か?』Short Ver.

 秋元康が手掛けた青空曲の中で、最もヒットしたのは乃木坂46の「何度目の青空か?」(2014年)だろう。この曲において青空は、青春のメタファーのような扱われ方をする。誰もが手にしているが、気付づかないまま戻ってこないもの。当たり前に存在しているが、多くの人がその存在を忘れてしまっているもの。そうした青春の儚い一瞬の時間を青空と表現している。しかし、青空は見上げればすぐ見つかるものでもある。だから、青空は時には見るべきものであり、忘れてはいけないものとして、この曲では聴き手にその存在を思い起こさせるように歌われる。

<期間限定>NGT48『世界はどこまで青空なのか?』MUSIC VIDEO Full / NGT48[公式]

 数ある青空曲の中でも、青空という言葉が非常に特徴的な使われ方をしたのがNGT48の「世界はどこまで青空なのか?」(2017年)だ。この曲において青空は、序盤はほとんど本来の意味通りの使われ方をするが、終盤では「愛」や「平和」といった意味を帯び、世界への祈りようなメッセージとともに締め括られる。この曲では、青空が続くことは、イコール、争いのない平和な世の中が続くこと。世界に平和が続いてほしいと願う気持ちを、無限に続く青空の景色に重ねているのだ。他の青空曲と比べても例のない特殊な使い方をした作品である。

「過去」や「思い出」を重ねることも

 青空に登場人物の「過去」や「思い出」を重ねることもある。AKB48のブレイク前夜の初期作品「青空のそばにいて」(2006年作品)は、少々解釈の難しい歌詞だが、青空は冒頭で君と出会った場所、あるいは一緒に見上げたものとして歌われる。つまりこの曲における青空とは、君と僕が昔過ごした時間や記憶の象徴として使われている。人は成長し変わっていくが、青空はいつまで経ってもあの頃のまま、君もそんな風にいつまでも変わらないでいてほしいということなのだろう。

 この曲と近いのが、欅坂46のユニット曲「青空が違う」(2016年)である。遠距離恋愛のカップルを描いたこの歌は、夢を追って上京した彼の家まで主人公が突然駆けつけ、そこで感じた想像とのギャップが様々な表現で綴られる。この曲で青空は「昔の君」や「過去の2人の関係」など、いくつかの意味が重ねられ、変わってしまった今の状況を見て少々切ないニュアンスを伴って使われる。「過去」を重ねるタイプの青空曲は、こうしたある種のノスタルジックな趣がある。

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