公私に渡る強固なパートナー関係が生み出す音楽の力 MisiiN、活動指針に“be the you”を掲げる上での覚悟
ナゴは「対人」として、私は「対自分」として音楽を捉えている(Misii)
ーーお寺のライブもそうですが、お二人は音楽以外の文脈でもご活躍されていますよね。演劇だったり、映画だったり。あるいは語学も。MisiiNのYouTubeチャンネルに上がっている動画の多くが英語対応されてますし、様々な意味で多次元的な活動をされているように感じます。
Misii:英語の字幕は私が頑張ってます(笑)。
nagoho:まだはっきりと言語化できているわけではないんですけど、色んな人と話したいんですよね。演劇時代もそうだったんですけど、演劇に絞ってしまうと、演劇を観たい人にしか出会えないじゃないですか。そこを広げることによって、何か本当の意味で世界中に“be the you”を届けていけるのかなと思っていて。この間ふたりで話してたのが、「We Are the World」ぐらいナチュラルに自分たちの思いや曲を広げたいよねってことで(笑)。地道な方法ではあるんですけど、思いや考えってある程度は言葉で繋ぐことができるのかなと。
ーー最終的にピースフルな物語に辿り着くのがMisiiNの特徴のひとつですよね。「the you」(喧嘩しているときに使われる「あんた!」的なニュアンス)や「革命歌」など、パワフルなワードセンスの中に優しさがあるというか。
Misii:私たちの言語感覚がそこにあるからだと思います。
nagoho:うん、なんかもう、人生は「戦い」だと思っているんです。優しく寄り添うこともできると思うんですけど、 自分たちが強い意志を持って変わらないと、自分たちの思いやメッセージってなかなか伝わらないんですよね。優しさだけでは、本質的には誰も救えないというか。
ーーすごく映画的な表現だとも思います。MisiiNのアートワークを考えても、現時点ではすべての作品でお二人の写真が使われていますよね。楽曲の中ではお二人がそれぞれの人物を演じるフィクションのようにも見えるし、YouTubeに定期的に上がる動画はノンフィクションのドキュメンタリーのようにも見えます。
nagoho:面白いですね(笑)。実際、映画はずっと撮りたいと思っています。今は動画の更新ペースを少し落としてしまっているんですが、MisiiNは音楽だけではなくて、自分たちの人間性や生き様も打ち出していきたくて。
Misii:だからあえて私たちの生々しい部分も見せていこうと。MisiiNは情報量が多いので、応援してくださるファンの皆も、リリースする情報に追いつくのが大変じゃないかなと(笑)。毎日何かしらの告知があって、客観的に見て騒がしい状態なんじゃないかっていう。
nagoho:本当に出したい情報が出てきたときにそれが薄まってしまうんじゃないかっていう危惧があって、それが動画の更新頻度をセーブしている理由です。
Misii:まずは私たちの音楽をちゃんと届けたいよね。
ーー歌詞についてもお聞きしたいです。アルバムやEP問わず、どの作品でも「夜」がキーワードになっているように感じます。
Misii:『be the you』に入っている「夜は」に関しては、ある夜の出来事をもとにした曲なので、夜以外にはあり得ないんです。同じ“夜”でもモチーフとして具体的な場合と、そうでないケースがありますね。私の感覚では、そもそも“Night”というワードが音楽として昇華しやすいんです。言葉として歌いやすいというか。
nagoho:私は「“be the you”できない時間が夜だから」っていう理由が大きいですね。「安心して寝てくれっ」って思いながら、それを歌にしている感覚があります。
ーーnagohoさんは利他的な祈りが表現のベースにあるような気がします。SNSでもそういった思いを積極的に言葉にしていますよね。
nagoho:そうですね。それは間違いないと思います。祈りを届けたい人が身近にすでにいますし、恐らく潜在的にもたくさんいるだろうと考えて作品を作っている感覚があります。まだ出会えてない人たちにも、「1日でも早く届いてくれっ」っていう感じで。
Misii:そこが私とは少し違うところですね。私の場合は、まず自分と向き合いたい。ナゴは「対人」として、私は「対自分」として音楽を捉えているところがあると思います。だからそもそも“be the you”っていう強めのフレーズは、自分自身に向けたものでもあるんですよね。私は元々、自分に甘いので(笑)。
nagoho:年始に書き初めもしたからね(笑)。目標を立てる意図で、それを今年の元旦に動画として公開したんですよ。
nagoho:6月の初めには、そのときの目標をどれぐらい達成できているかを振り返る動画(「突然のご報告」)も公開しました。「YouTubeの登録者数1000人」や「インスタのフォロワー2000人」、それから全国ツアーに向けてクラファンを実施しているので、その目標金額の達成など、具体的な指標を設定していました。結構近いところまでは行けているので、どうにか良い感じに着地したいですね。