清水翔太、赤裸々な言葉で歌った“今言いたいこと” ネガティブな葛藤の先で見出した自分らしい表現スタイル
「眠れずに苦しんだからこそ書けた曲がある」
――サウンドに関しても聞かせてください。今回もほとんどの曲でトラックメイクを手がけていますが、制作を通して、どんなサウンドをイメージしていたんでしょうか?
清水:基本はノリだけで作ってるんですよ。あまり研究とかもしないし、感覚でやってるというか。もちろんいろんな曲を聴いてるし、「カッコいいな」と思って取り入れることはあるんですけど、そこまで分析しているわけではなくて。そのせいで「こうしておけばよかった」って作り終わってから後悔することもあるんですけど(笑)。ただ、今回はかなりじっくり作れたんですよ。なので曲によってはしっかりアレンジを凝っていて。例えば「SUMMER」もそうですね。
――キックのアレンジ、コーラスワークも含めて、すごく個性的な音像ですよね。
清水:それも時間があったからできたことだと思います。「SUMMER」は曲ができた時期がかなり早かったんですよ。「Memories」以降はスムーズに曲が書けたし、アレンジを詰める時間があって。デモをずっと聴きながら過ごしていたし、より客観的に聴くことによって、「ここにこういう音があったら気持ちいいな」とか、どんどんアイデアを加えられたんですよね。今まではそういう時間がなかったから、その瞬間の100%でやるしかなくて、後から「こうしたほうがよかったな」というのが多少なりとも出てきたんだけど、今回はそれがほぼないですね。トラックに関しては、納得できるものが多いと思っています。
――素晴らしいじゃないですか。
清水:早めに曲を作ることの大切さを痛感してます(笑)。制作のスケジュールは毎回、そんなに変わらないんですよ。あとは自分がいつ曲を書くか、なので。
――タイトル曲「Insomnia」の作曲はToshiさんとの共作ですね。Toshiさんはどんな方なんでしょう?
清水:Toshiは17〜18年の付き合いになる、音楽をやっている友達です。以前から「才能あるな」と思ってたんだけど、何年間かロサンゼルスに行ってたんですよね。その後、日本に戻ってきて、今はトラックメイカーとして活動していて。ただ、僕としては単純に「友達だから」みたいな理由で一緒にやるのはイヤだったんです。「本当に納得できるものを作れて、“これだったら一緒にやれる”と思わない限りやらないよ」「人の助けを借りなくても、自分で仕事ができるように頑張って」というのは本人にも伝えていて。それがたぶん5〜6年前かな。それ以降もちょくちょくトラックを聴かせてくれて、「いいんじゃない」って言ってたんだけど、今回は本当にすごくいいものを作ってくれました。この曲は結構ギリギリに作ったんですけど、僕はトラックを作ってないんですよね。本人としても「今までで一番自信がある」と言ってたんですけど、確かにビートもカッコいいし、キャッチーさもあって、「ぜひこのトラックで曲を作りたい」と連絡しました。
――「Insomnia」という曲名をアルバムのタイトルにしたのはどうしてなんですか?
清水:アルバムのタイトルは、この曲を作る前に決めてたんですよ。Toshiのトラックを聴いた瞬間に、この歌詞の雰囲気が浮かんできて。「一番自信がある曲をアルバムのタイトルにする」という流れってあるじゃないですか。今回は逆で『Insomnia』というタイトルを決めて、後から曲を作ったんですよね。
ーー“不眠症”がこのアルバムを象徴するワードだった?
清水:実際、僕ってなかなか眠れないんですよ。不眠症は別にポジティブなものではないし、できれば治ってほしいんだけど、振り返ってみると「寝なかったから書けた曲って、たくさんあるな」と思って。もちろんストレスもめちゃくちゃあるんだけど、眠れないことで出会ったものがいっぱいある。そう考えると、ある程度は(不眠症を)ポジティブに考えることもできるのかなと。僕の場合は不眠症ですけど、「これが治ったらいいのに」という“症状”みたいなものを抱えている人も多いと思うんですよ。今回のアルバムに対してポジティブな意味合いやメッセージをつけられるとしたら、「ネガティブなことも見方を変えれば、役に立つ日が来るかもしれない」ということかなって。
――コンプレックスや悩みも、捉え方次第でポジティブに変換できる。そのことも含めて『Insomnia』は清水さんを表しているワードなんですね。
清水:矛盾も感じてますけどね。眠れないのはイヤだし、本当に苦しんでいるんだけど、クリエイティブにとっては必要悪みたいなところもあって。結局、こうやってアルバムができているんだから、苦しんだ分の元は取れているのかなと思いますけどね。イヤですけど(笑)。
――前作『HOPE』のリリース時に「これが第3章の始まり」と言ってましたが、『Insomnia』はどう捉えていますか?
清水:もう(第〇章と言うのは)やめます(笑)。最初に言ったように、温かいことを伝えたい時期と、言いたいことを言いまくる時期が交互に来るんですよね。これからもそうだと思います。10枚目にしてようやくそのことに気づきました。
■リリース情報
清水翔太『Insomnia』
・完全生産限定盤:¥7,700(tax in)CD+限定Tシャツ
・通常盤:¥3,520(tax in)CD only
CD購入
https://shotashimizu.lnk.to/Insomnia
Streaming/Download
https://shotashimizu.lnk.to/Xf2MSn
<収録内容>
1. Loser
2. Life Style
3. Fallin
4. Baby I love you so
5. Moonlight
6. 東京ライフ
7. SUMMER
8. More than friends
9. Insomnia
10. Nights
11. Memories
12. 君がいない、僕らの日常
■ツアー情報
『SHOTA SHIMIZU LIVE TOUR 2023 “Insomnia” supported by Taica』
6月30日(金)【千葉】市原市市民会館 大ホール(公開ゲネプロ)
7月7日(金)【神奈川】神奈川県民ホール 大ホール
7月15日(土)【静岡】静岡市民文化会館 大ホール
7月28日(金)【大阪】大阪フェスティバルホール
7月29日(土)【大阪】大阪フェスティバルホール
8月6日(日)【石川】北陸電力会館 本多の森ホール
8月9日(水)【愛知】日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
8月27日(日)【宮城】仙台サンプラザホール
9月2日(土)【兵庫】神戸国際会館 こくさいホール
9月10日(日)【福岡】福岡サンパレス
9月11日(月)【福岡】福岡サンパレス
【席種・料金】
指定席 ¥8,500(税込)
着席指定席 ¥8,500(税込)
※神奈川県民ホール・静岡市民文化会館のみ