PSYCHIC FEVER、タイでの経験&7人の音楽愛を活かした挑戦的な試み 初の単独ツアーへの意気込みも明かす

PSYCHIC FEVER、挑戦的な試み

 LDHが運営するダンススクール・EXPG STUDIOの精鋭が全国から集まり結成された7マイクグループ、PSYCHIC FEVER。昨年8月から活動拠点をタイに移し、約半年間に渡る武者修行を行ってきた彼らが、5月17日に1st EP『PSYCHIC FILE I』をリリースした。今作には、タイの音楽業界を牽引するF.HEROが監修した「To The Top feat. DVI」や、MV公開から3週間で400万回再生を突破したリード曲「BAKU BAKU」を含む、全7曲を収録。6月スタートのツアー『PSYCHIC FEVER LIVE TOUR 2023 "P.C.F"』でも目玉となるだろう、“実験的な楽曲”が揃っている。リアルサウンドでは、EPのリリース日に解禁された新曲を中心に、制作エピソードやライブの構想について語ってもらった。(斉藤碧)

PSYCHIC FEVER from EXILE TRIBE - To The Top feat. DVI [Official MV]

離れ離れだったファンを想いながら7人での作詞にも挑戦

――1st EP『PSYCHIC FILE I』が完成しましたが、改めて出揃った楽曲を見て、どんな1枚になったと感じていますか?

剣:昨年、デビューのタイミングでリリースしたアルバム『P.C.F』は自己紹介的な要素が強かったんですけど、今回の初EP『PSYCHIC FILE I』は、メンバー自ら作詞を手掛けた曲や新たな編成で届ける楽曲など、僕たちの音楽愛から生まれた実験的な楽曲を集めた作品になりましたね。僕らは2022年9月から約半年間、タイで武者修行を行ってきたんですが、そこでお世話になったF.HEROさんに監修していただいた「To The Top feat. DVI」をはじめ、タイでの経験を通して感じた想いや、そこで得たものも曲に込められていますし。6月からは初の単独ライブツアー『PSYCHIC FEVER LIVE TOUR 2023 "P.C.F"』もスタートするので、その意気込みが感じてもらえる挑戦的な楽曲が揃ったなと思っています。

――ではまず、EPのラストを飾るミディアムナンバー「ForEVER」(3月に先行配信)と、4曲目「Nice & Slow」のお話から。この2曲はメンバーの皆さんも作詞に参加したそうですね。

WEESA:どちらも日本に帰ってからレコーディングしたんですが、歌詞はタイにいる時に書いたもので。タイにいる間、ファンの皆さんからいただいたメッセージを受け取って感じたことや、僕たちから皆さんへの想いを詞に書かせていただきました。最初はメンバーそれぞれ、自分が任されたパートに対して、思い思いに歌詞を書いていたんですけど、途中からは、現役ラッパーのELIONEさんと話し合いながら歌詞をフィックスしていって。そのやりとりを何回も何回も繰り返して、ようやく今の歌詞が完成しましたね。トラックもプロデューサーの方々と相談しながら、メンバー自ら選曲させていただきました。

――「ForEVER」(Words:KOKORO, WEESA, TSURUGI, RYOGA, REN, JIMMY, RYUSHIN, ELIONE/Music:AVENUE 52, SQVARE, SOFTSERVEBOY)を7人で作詞してみて、大変だったことはなんですか?

半田龍臣(以下、半田):この曲は“応援してくださる方からのメッセージにお返事をする”というのが大きなテーマだったんですけど、メンバーそれぞれ個性も違えば、いただくメッセージも違うので、いざ各自が書いた歌詞を並べてみたら、本当にバラバラのことを書いていて……。最初に歌詞を見た時は、上手く繋がらない部分がたくさんあって、どうなるかと思いました(笑)。でも、ELIONEさんが僕たちの伝えたい想いを汲み取りながら、素敵な1曲に仕上げてくださいました。

渡邉廉(以下、渡邉):僕は作詞の経験がなかったので、リリックをメロディに乗せた時に「なんか違うな、言いづらいな」っていうのが多々ありましたね。どうしてもこの言葉を言いたい! みたいな葛藤もあって、そのバランスを取るのが難しかったです。僕のパートはどストレートな歌詞が多いんですけど、歌う時もどストレートに。〈寂しくないって言えば嘘つきになっちゃうよね〉のところは寂しい気持ちを乗せながら、〈僕らは1人じゃない〉のところは「一生離れない!」っていう決意を込めて歌わせていただきました。

PSYCHIC FEVER - 'ForEVER' Recording Movie

――〈離れてみなきゃ分からないね〉と歌っているJIMMYさんは、タイに渡ったことでどんな気づきを得たのでしょうか?

JIMMY:タイにいる間もSNSでは皆さんと繋がっていましたけど、会えないとコミュニケーションを取るのがこんなに難しいんだって感じましたね。タイでライブをしている間も、日本でライブができないっていうもどかしさは常にありました。それに、僕らはコロナ禍でメジャーデビューしたこともあり、ライブに来てくれた方が声が出せないという意味でもファンの方とずっと距離があるような気がして。ここ数年で、いろんな“当たり前”が当たり前ではなかったことを身を以て知りました。でも、過去を振り返っても仕方ないし、前を向いていくしかない。だったら、僕らが「ForEVER」を歌い続けることで、いつも当たり前にあると思っていた存在の大切さに気づかせることができたらいいなと。失ってから気づくんじゃなくて、この曲が「この日常ってすごく幸せなことだな」とか「この人がいるのは、ありがたいことなんだな」と思えるきっかけになったらいいなと思っています。

――どのパートも、作詞をしたメンバーの性格がよく表れていますよね。でも、個人的に一番わかりやすかったのは、〈日本から飛び出しちゃって 世界へ〉でした。〈ちゃって〉って表現するのは絶対剣さんだと思って(笑)。

剣:(笑)。タイに行っている間、僕らが日本にいないことを寂しがってる方も多かったと思うんですけど、「飛び出しちゃって」とか「行っちゃったりしちゃって~?」みたいなノリで言うと、気が楽になるんじゃないかなって思ったんですよ。でも、みんなが感動的な詞を書いてくれたからこそ、そういう僕らしい遊び心のある言葉が映えるので、みんなのおかげかなと。なおかつ、最年長ならではのノリや勢いも感じてもらえるパートなんじゃないかなと思います。

WEESA:逆に僕はポジティブな気持ちだけじゃなくて、〈良い時 悪い時もStory〉とか〈空っぽの街で見つけたMy place〉とか、少しネガティブさもある素直な心情を歌詞に組み込みましたね。特にこだわったのは、歌い出しの〈雨に打たれたあの日も/人生で一番の晴れ舞台〉。僕らは去年、大雨の中でデビューイベントをやったんですけど、この歌詞は当時、(中西)椋雅くんが実際に言っていた言葉なんです。あれから約1年、いろんなことを経験してきましたけど、「ForEVER」を聴けば、いつでも初心に戻れるように。ここの部分は、当時の気持ちを思い出しながらレコーディングさせていただきました。

WEESA、小波津志

――そして、一人ひとりの個性が鮮やかに散りばめられているからこそ、サビに来る度に〈ずっと心の中 一緒にいるForEVER〉と誓う(小波津)志さんの歌声が、ストレートに胸に響きました。

小波津志(以下、小波津):サビの歌詞は、僕が最初に作詞したものから少しニュアンスを変えてあるんですけど、内容的には僕の言いたいことがそのまま書いてあって。みんなで歌い繋いで、時には世界に飛び出しちゃったりもするけど、絶対に戻ってくる場所として、このフレーズを置きたかったんです。そうすることで、「どんなに離れていても、僕たちは一緒だよ。戻ってくるよ」っていうメッセージになったらいいなと思いました。なので、レコーディングも、最初に歌詞を書いた時の感情を思い返しながら丁寧に歌いましたし、ライブでは、目の前にいる方一人ひとりに向けて歌えたらと思っています。

――「Nice & Slow」(Words:KOKORO, WEESA, TSURUGI, RYOGA, REN, JIMMY, RYUSHIN, ELIONE/Music:Gabriel Brandes, Alex Karlsson, Fabian Torsson)からは、ファンの方と歩幅を合わせてゆったりと歩いている姿が浮かびましたが、こちらのテーマは?

小波津:根底には、どちらも“ファンの方へのメッセージ”があるんですけど。手紙のような感覚で書いた「ForEVER」に対して、「Nice & Slow」は“SNS”がテーマで、「24時間ずっと一緒だよね」っていうポジティブな歌ですね。曲調もアップテンポですし、僕らも楽しくレコーディングしたので、聴いているだけでも笑顔になってもらえるんじゃないかなと思います。

――サビのハマりが良いので、「Nice & Slow」がテーマだったのかと思っていましたが、違うんですね。

JIMMY、中西椋雅

中西椋雅(以下、中西):「Nice & Slow」というタイトルは、僕が書いた〈Nice & Slow〉という歌詞が、そのままタイトルになっちゃっただけです。

半田:なっちゃったんだ(笑)。

中西:ありがたいですけどね。このデモを聴いた時に、「ForEVER」のようなエモい感じよりも、「今を楽しもう。周りを気にせず、自分たちのペースで進んでいこうよ」っていう想いのほうが強いなと感じて、〈Nice & Slow〉という言葉を遣いました。アッシャーさんやCrystal Kayさんにも「Nice & Slow」という曲があって、幼い頃から聴いてきたので、それが自然と歌詞に出てきたのかなって思いますね。しかも、この曲はサビの歌詞を7人全員が書いていて、その中から一番良かったワードを切り抜いて今の形になったので。そういう意味でも、「ForEVER」とは違う表現になっていますし、それを全員で歌っているので、より思い入れの強い楽曲になりました。

――また、タイで作詞をした楽曲だけでなく、タイでレコーディングをした曲もあるそうで。WEESAさん、日本とタイのレコーディングの違いを教えていただけますか?

WEESA:やっぱり、一番違うのはマイクじゃないですかね……?

JIMMY:めちゃくちゃ不安そう(笑)。

――音マニアの椋雅さん、ヘルプ!

中西:他の新曲も、デモ用の仮歌は、タイにいる時に自分たちで宅録したんですけど。それこそ「To The Top feat. DVI」と「BAKU BAKU」は、完全にタイでレコーディングしたので、マイクも違うし、エンジニアさんも違う時があったし……日本で録音した音源とは違った質感になっていると思いますね。どちらかというと、ハイ(高音)の質感が違うのかな? なんていうか、タイで録った歌は、声の乗り具合があっさりしてるんですよ。電圧が違うのも一因だと思うんですけど、さっぱりしていて聴きやすい仕上がりなんです。

渡邉:マニアックすぎる(笑)。

中西:あははは。でも、その違いこそが、僕らがいろんな国で楽曲を制作できるようになった証だと思うので。聴いてくださった方にも「なんか、ちょっと違うかも?」って思ってもらえたら、めちゃくちゃ嬉しいです。

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