PSYCHIC FEVER「BAKU BAKU」MV撮影現場に密着 s**t kingz shojiらと作り上げたコンセプチュアルな映像世界
LDHが運営するダンススクール EXPG STUDIOの精鋭が全国から集まり結成された7人組グループ PSYCHIC FEVER。昨年7月13日にアルバム『P.C.F』でメジャーデビューを果たした彼らが、今年5月17日に1st EP『PSYCHIC FILE I』をリリースする。そして4月10日、最新EPのリード曲「BAKU BAKU」の先行配信をスタートさせた。同曲は、アーティスト性を見せつけようと努力する反面、緊張や胸の高鳴りで心臓が“バクバク”しているところにもフォーカスした、メンバーの等身大の気持ちを表現した楽曲であり、疾走感溢れるシンセポップの上で、メッセージ性の強い振付が展開していくダンスチューン。4月10日に公開されたMVは、公開から2週間足らずで230万回再生を突破し、その勢いを加速させている。
リアルサウンドでは、そんな「BAKU BAKU」のMV現場に潜入。7人のメンバーや、振付を担当したshoji(s**t kingz)にもコメントをもらいながら、楽曲の魅力を探った。
2023年1月某日、都内スタジオ。今回のMVは「洗練されたステージ」と「その裏にある自分たちを作り上げてきた過去」による二面性がテーマとなっており、ソロカットを撮影した前日に続き、この日は7人でのダンスシーンを撮影するという。昼過ぎに取材スタッフが現場に到着すると、CG合成撮影に特化した大型のスタジオ内に、1番サビ・3番サビのダンスシーンを撮影するためのステージセットと、カメラマンが撮影時に乗る大型のクレーンが鎮座していた。光を反射するほど綺麗に磨かれた六角形のステージである。それ以外は全面グリーンバックで、天井に設置されたキューブ状のライトが柔らかな光を放つ中、メンバーの代理を務めるダンサーたちがカメラチェックのために立ち位置を確認していた。そこに、ヘアメイクを終えたメンバーたちが続々と登場。てっきりお疲れモードで現れるかと思いきや、「お久しぶりです。密着よろしくお願いします!」とにこやかに声をかけてくれたのは、ラップ担当の中西椋雅。同じくラップ担当の半田龍臣やボーカル担当のWEESAも、謙虚な姿勢で挨拶をしながら現れると、“BAKU BAKU”というよりは“WAKU WAKU”が感じられる笑顔で振付の確認を始めた。
スタジオの隅で待機していた7人は、中江啓太監督から「1サビを撮影して、照明を換えた後、3サビを撮影していきます」と撮影シーンの説明を受け、いざステージへ。ボーカルの小波津志が「お疲れ様です。PSYCHIC FEVERです。昨日も撮影、ありがとうございました! 本日CGのシーンを撮影するということで、僕たちも楽しみにしていました。この楽曲が世界に広がる楽曲になれるように、全力で取り組んでいきますので、どうぞよろしくお願いします!」と威勢よく挨拶すると、撮影チームから大きな拍手が上がり、現場に温かな空気が流れる。監督、カメラマン、照明、プロデューサーといったスタッフ陣の紹介では、ファンサービスを求めるように、全力で手を振りながら「監督~!」とはしゃぐメンバーたち。ちなみに、誰かが発言するたびに、一際大きな拍手を送っていたムードメーカーは、振付担当のshojiだった。
その後、1番サビの音源を流しながらダンスシーンの場当たり(位置取りの確認)がスタート。サビの振付は、ラップ担当の剣曰く「〈Face in the mirror〉という歌詞があるように、鏡に映った自分の内側を表現している曲なので、胸元ではなく、手を後ろに回して背中で“BAKU BAKU”する振付になっています」とのこと。振付を制作したshojiによると、メンバーたちが6カ月に及ぶタイでの武者修行を通して感じた「ここからグループとして上昇していけるのか」「しっかり評価してもらえるのか」といった不安や、ステージ裏で抱えている緊張と、ステージ上での堂々としたパフォーマンス姿のギャップをイメージして制作したのだという。“勝負曲”と言うべき楽曲だけに、メンバー全員で踊る一発目はピリッとした空気も漂っていた。だが、監督からカットがかかると、すかさずshojiが「すでにカッコいい~!(拍手)」と声をかけ、メンバーたちのモチベーションを上げる。シリアスに突き詰めるのではなく、その場にあった表情や雰囲気を作っていくことも、MV撮影の大事なポイントなのだろう。
続いて始まったカメラチェックでは、カメラマンが大型クレーンに乗り込み、メンバーの傍にグイーンと寄ったり、引いたりしながら、大サビをパフォーマンスする7人の姿を撮影。サビを歌唱する小波津を中心に、メンバーたちが弾けるように踊るシーンだ。その様子を見守っていたshojiが、フォーメーションの位置取りに関する修正を指示すると、メンバーもモニターを覗き込み、撮影した映像を確認しながら細かく調整を重ねていく。何度も繰り返されるリテイクに、ファージャケットが華やかなラップ担当・JIMMYだけでなく、全員が汗ダクに。開放されたスタジオの扉からは1月の冷たい空気が吹き込み、待機している取材スタッフはダウンが手放せない状態だったが、さらにクーラーをかけてギンギンに冷えた中でも、メンバーの額には汗が滴っていた。一方で撮影の合間には、マルチプレイヤーの渡邉廉が、手持ち扇風機でクールダウンしながらメンバーと談笑する姿も。その表情はじつに楽しそうで、信頼し合う仲間と努力を重ね、輝かしいステージを創り上げる――まさに「BAKU BAKU」の世界が、そこにはあった。