PSYCHIC FEVER & F.HEROが語る、タイ音楽シーンの可能性 『TO THE TOP feat. DVI』が切り拓く未来

PSYCHIC FEVER & F.HEROインタビュー

 PSYCHIC FEVER from EXILE TRIBEが、2月5日にタイの新鋭ボーイズグループ・DVIとコラボレーションした新曲『TO THE TOP feat. DVI』をリリースした。

 PSYCHIC FEVERは2022年8月から2023年2月まで、BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBEとともにグローバルに活躍するアーティストを目指して、タイを拠点に活動してきた。「武者修行」と称して、LDH JAPANとパートナーシップ契約を結んでいるHIGH CLOUD ENTERTAINMENTの代表でありラッパーのF.HEROのもとで様々な経験を積み、昨年末の12月10日~11日にかけて開催された東南アジア最大級のタイの音楽フェスティバル『Big Mountain Music Festival 12』では、熱気溢れるパフォーマンスを披露するなど、大きな成果を挙げてきた。新曲『TO THE TOP feat. DVI』のリリースは、その集大成となる。

BALLISTIK BOYZ & PSYCHIC FEVER、タイで熱気溢れるパフォーマンス 東南アジア最大級の音楽フェスに残した爪痕

BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE、PSYCHIC FEVER from EXILE TRIBEの2…

 リアルサウンドでは今回、『Big Mountain Music Festival 12』への出演直前の12月10日に現地でメンバーたちに行ったインタビューをお届けする。また、現地ではF.HEROにも話を聞くことができたので、両グループについてどんな期待を抱いているのかも語ってもらった。異国の地で経験を積み、アーティストとして一皮剥けた彼らが、新曲『TO THE TOP feat. DVI』に込めた想いを感じてほしい。(編集部)

PSYCHIC FEVER from EXILE TRIBE - To The Top feat. DVI [Official MV]

この人数だからこそ可能なパフォーマンスがある

――タイに活動拠点を移して4カ月、どんな生活を送っていますか。

小波津志(以下、小波津):タイの文化にだいぶ馴染んできたと思います。メンバーそれぞれにお気に入りの料理もできて、僕は「カオパッド」というチャーハンのようなメニューにハマっています。今朝も食べてきました。

半田龍臣(以下、半田):僕はタイに来たら「象に乗りたい」と思っていたのですが、「サファリワールド」という動物園での撮影で叶いました。嬉しいです。

WEESA:タイの方々は挨拶する時に手を合わせる風習があって、それがすごく良いなと感じています。年中暑かったり、渋滞が多かったり、日本とは異なる環境ですが、毎日新しい発見があって面白いです。

――PSYCHIC FEVERは今回、タイの4NOLOGUE所属の6人組ボーイズグループ・DVI(読み:ディヴァイ)とコラボレーションしています。メンバーと会ってみて、どんな印象を持ちましたか?

中西椋雅(以下、中西):メンバーは僕たちと同世代ということもあり、初対面からフレンドリーに接してくれました。言葉の壁もありますが、それよりもフィーリングで「いい曲ができるかも」というのが第一印象ですね。

――パフォーマンスはどのようにすり合わせていきましたか?

中西:コレオグラファーの方に振付けをお願いしつつ、お互いに提案をしていきました。苦戦する部分もありましたが、LDHらしい力強さもありつつ、僕らが知らないタイ独特のリズムや魅せ方をうまく組み合わせた、あまり見たことのない印象の作品に仕上がったと思います。言葉にするのが難しいですが、これまではひたすらループの上で踊るようなダンスが多かったんです。でもこの楽曲は「止まる」タイミングが独特でした。タイの方の好きなノリ方もユニークで、それをいいフィーリングに落とし込めたと思いますし、今後のパフォーマンスにも活かしていけそうです。

剣:DVIのみなさんはまだデビューしていませんが、僕らもデビューしたばかりで「これから高みを目指す」という立場なので、境遇が似ているところがあります。DVIと一緒に踊った映像を観るたびに「こんな動きをしていたのか」と気付きがありますし、エナジーのぶつかりあいを感じます。

――スタジオセッションの映像を観ましたが、13人という大所帯で踊っているのが衝撃的でした。あの人数だからこそできる複雑さがあって、とても興味深かったです。

渡邉廉:この人数でパフォーマンスするのは初です。想像したこともなかったので、実際にやってみて「こうなるんだな」と発見することは多かったです。ただエナジーがあるだけじゃなくて、この人数だからこそ可能なパフォーマンスがあるんだと確信できました。時間はかかってしまいましたが、その分いい作品ができたと感じています。全員マイクを持っているので、そこも今までにないポイントです。両者のファンの方にとっても見応えのある内容になっています。

――タイのNo.1プロデューサーと称されるNINOさんの楽曲自体も新鮮です。90年代のヒップホップ/R&Bのテイストもありつつ、全員で声を合わせるシーンがあったり、聴きどころがたっぷりあると感じました。

JIMMY:今回はイントロから僕のウィスパーが入っています。各メンバーの見せ場があって、僕だったら低音、AメロではWEESAの複雑なメロディがあったりと、今までにない挑戦が詰まっています。合唱の部分は全員でブースに入って、ひとつのマイクで録りました。「この中だったら低音を歌おう」とか「ここは歌い方を変えて音に厚みを持たせよう」とか、楽曲にどうアプローチするべきなのかを考えました。13人の良さを、耳だけでも感じてもらえるように細かいところまで工夫しています。楽曲全体が「To The Top」というタイトルに負けないように、力強く前向きなイメージで、後半のラストサビではビートも変わるなど、最後まで飽きさせない構成になりました。

小波津:一番好きなポイントはラストのグルーヴィになるところ。僕のハイノートで一番高くなってからグンと落ちるんですけど、そこがフレッシュかつセクシーなポイントです。ダンスと歌がマッチしているところもお気に入りですし、全員がマイクを持つところも注目ですね。

中西:今回はラップよりも、メロウでボーカル寄りなフック前のBメロを担当させてもらいました。日本の楽曲ではラップのみでしたが、タイに来て新たな挑戦ができたと思います。ワンフレーズに色々な想いがこもっているので、「いつもと違うけどいいな」と感じてもらえたら嬉しいです。

WEESA:英語とタイ語で歌っているので、日本の皆さんにとっても新しいと思います。タイや世界から応援してくれる方にもアピールできるような、グローバルアーティストを目指す旅に連れていけるような曲になりました。

剣:世界的に活動されているプロデューサー/ビートメイカーのNINOさんのビートは、まさに世界規格です。NINOさんは幅広い音楽への造詣がありますし、もともと映像クリエイターだったということもあり、映像やパフォーマンスから音楽が浮かんでくるんだと思います。僕たちの色々な引き出しを開けてもらっているような感覚です。彼のビートで歌えるということ自体がすごいことなので、このコラボレーションでぜひそのクオリティを感じてほしいです。

渡邉:この曲はどの年齢層の方にも刺さる気がします。歌詞も前向きでハッピーですし、振付けもキャッチーでポップ。英語で歌っているのも僕たちにとって新しいですし、これから他の言語の楽曲も増えると良いなと思いました。可能性が広がったのを感じています。

――タイでは色々な現場でライブをしてきたと伺っています。感想を教えてください。

JIMMY:2022年7月にデビューアルバムの『P.C.F』をリリースして、2カ月も経ってないタイミングでタイに来ました。アルバムの曲は日本語だし、まだライブで披露できていない状態での挑戦で不安でしたが、タイでの初パフォーマンスでお客さんが「Choose One」のキャッチーな部分を一緒に歌ってくれて、すごく温かいなと感じました。音楽が言語を超える瞬間を見たというか、楽しい気持ちは国境を越えて伝わるんだという確信がありました。『Big Mountain Music Festival』に出演することは大きな目標でしたが、ひとつひとつの現場のバイブスもすごく大切だし、それを踏まえて「今の自分たちに表現できることは何だろう?」と考えるきっかけにもなりました。

僕たちの実力をパフォーマンスで証明したい

――タイのポップソング、いわゆるT-POPは日本でも注目されつつあります。J-POPの影響も大きいため、親和性も高いと思います。T-POPの特徴やその可能性をどうみていますか?

小波津:T-POPのカバー曲を何曲か録らせていただいているのですが、たとえばラブソングなど若いリスナーに向けたものが多いなという印象です。WEESAと一緒にF.HEROさんの楽曲「Sad Movie」のカバーに挑戦したところ、メロウなのですがラテン系のノリもあって、J-POPとはまた異なる展開も確立されているように思いました。メロディや歌い回しなども独特で、「このメロディがタイっぽい」などの感覚も掴めてきました。

中西:F.HEROさんのライブを観たときに、楽曲の特徴を捉えつつBPMを上げたり、ダンスミュージックにアレンジするなどして、自然とテンションが上がるように届けているのが印象的でした。僕たちも自分の楽曲をいつも通りやるのではなく、例えば「Spread The Wings」や「Spark It Up」でまず盛り上げるのが、タイのお客さんの心を掴むのには大事なのかなと思っています。タイのアーティストのライブパフォーマンスを観ていると、「何かを伝えたい」という想いを強く感じます。そういうところをしっかり学んでいきたいです。

龍臣:T-POPが耳に残る理由を考えていたのですが、タイの伝統楽器を使っているのもポイントかもしれません。初めて聴くような楽器の音も印象的でした。PSYCHIC FEVERの楽曲にもエッセンスとして入れられると面白いのかなと考えています。

剣:日本に四季があるのに対して、タイは1年中暖かいのでサマーソングというか、体が揺れる様な楽曲が多いです。聴くだけでなく踊りたくなる。僕たちにも踊りやすい曲がありますが、それを超えたダンスチューンがT-POPには多い。タイに来て4カ月が経ちましたが、多くのお店で音楽がかかっていて、みんなが気持ちよく踊っていたりするんです。ダンスがここまで自然な形で浸透しているのは、日本とは違うところかもしれません。

渡邉:J-POPや西欧のサウンドを取り入れつつも、自分たちの国の良さとか伝統を大切にしているところがタイの素晴らしいところだと思います。世界を目指す上で流行を取り入れるのは大事ですが、一方で「自分はタイ人なんだ」という国を象徴するものも提示している。そこは僕たち日本人も学んでいきたいところです。

JIMMY:もともとヒップホップが好きなので、タイのヒップホップは聴いていたのですが、いざ現地で流れている歌謡曲のコード進行やトップラインを聴くと、松田聖子さんの曲など日本の懐かしい曲にそっくりで心が温かくなりました。伝統楽器を取り入れたサウンドやタイ語ならではのフロウだったり、それをリスナーとして肌で感じられるのが興味深いです。ラッパーとしても「日本語ラップでは表現できないな」と勉強できる部分もあります。

WEESA:タイの楽曲は幅が広いですね。流行をいち早く上手にキャッチする人が多いですし、色々な国の人とコラボしていたり、最先端の楽曲も聴けて面白いです。掘れば掘るほど多様な楽曲が出てきます。

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