Chilli Beans. “盟友”Vaundyと繰り広げた圧巻のステージ 新進気鋭の同世代アーティストを招いた対バンツアー最終公演
再び転換を経て、本命のチリビのパートへ。「See C Love」から幕を開け、冒頭から次々とカラフルなロックチューンが畳み掛けられていく。Lily(Gt/Vo)による骨太なギターリフとMaikaによるメロディアスなベースプレイが有機的に絡み合いながら豊かなバンドアンサンブルを紡いでいき、そしてその上に熱さとクールさを兼ね備えたMotoの歌声が重なっていく。メンバー同士のマイクリレーやコーラスワークも鮮やかで、大躍進の2022年を経たチリビのライブバンドとしての大きな成長を序盤から見せつけてくれた。
「School」では、随所で光るMotoのファルセットがキュートなアクセントとなっていて、カラフルなバンドサウンドと相まって晴れやかなフィーリングをフロア全体に伝えていった。また、最新EP収録の新曲「border line」では、Motoが温かなギターアルペジオに包み込まれるようにして、清廉な歌心を届けていく。そのしなやかな歌声が心地よく、何より心の深淵に触れるようなファルセットが美しい。チリビの今後のさらなる音楽性の広がりが楽しみになるような、素晴らしいパフォーマンスだった。
後半の幕開けは、代表曲「アンドロン」。アウトロにおいて、音源よりもグッと前面に出たギターのアルペシオが、この曲のエモーションを何段階も増幅させていく。続く「Vacance」においても、音源よりもバンドサウンドのアタック感が鋭く際立っており、フィジカルに直接訴えかけるパフォーマンスに圧倒された。また、「マイボーイ」はまるでチリビのポップサイドの極致のような楽曲ではあるが、同時に歌詞の内容も含め、彼女たちのパワフルなアティチュードをストレートに伝えている。総じて、チリビが誇るロックバンドとしてのポテンシャルを改めて思い知るブロックだった。
本編最後のMCパートでMaikaは、今回共演したVaundyとかつて一緒に音楽塾の狭い部屋にこもりながら曲を作っていたことを振り返る。「リハーサル中、ウルッときた」と明かし、こうして同窓生とZeppで対バンできることの喜びを語った。また、この日初めてチリビのライブに来た観客に向けて、「『Dancing Room』を通して、いろんな人と繋がれて幸せです」と万感の想いを語った。
その言葉を受けて、いよいよライブはクライマックスへ。「Tremolo」では、メンバー3人がドラムの前に集合して横一列に並んで演奏する一幕があった。でロックバンドとして演奏する楽しさを全力で謳歌する姿が眩しい。「シェキララ」で、Motoはステージに横たわりながら全ての力を出し尽くすかのような渾身の歌声を届け、その熾烈な熱量を引き継ぐ形で披露した「HAPPY END」で、圧巻のクライマックスを迎えた。
アンコールで披露されたのは、Vaundyとの共作曲でもある代表曲「lemonade」。この曲のサビで、LilyとMaikaは軽やかに左右にステップを踏み、Motoは幸福感に満ちたフロアと向き合いながら一人ひとりの観客と親密なコミュニケーションを重ねていく。最後は飛び跳ねながら、「皆さん、一緒に踊ってください」とフロアに呼びかけ、この日一番の一体感が会場全体に生まれた。その光景を見て喜びの表情を浮かべるメンバーたちの表情がいつまでも忘れられない。
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