GLIM SPANKY、音楽ファンの“仲間”と作り上げた空間 幅広い選曲で沸かせた『Into The Time Hole』ツアーファイナル公演

GLIM SPANKY、人見記念講堂公演レポ

亀本寛貴
亀本寛貴

 ヘヴィなブルーズロック「Breaking Down Blues」、亀本のトーキングモジュレーターが強烈な印象を放つ「時代のヒーロー」と畳み掛け、アコギやメロトロンをフィーチャーしたサイケデリックナンバー「Looking For The Magic」では、曲のエンディングでThe Beatlesの「Dear Prudence」を引用しながら徐々に高みへと昇り詰めていく。60年代ロックのDNAを受け継ぎつつも、同時代のUK/USオルタナティブと共振したモダンなサウンドプロダクションを、J-POPのフォーマットに落とし込む。そんな、極めて難しいテーマに果敢に挑む二人の姿に胸が熱くなるばかりだ。

 「いろんなGLIM SPANKYが好きな人がいると思うんです。最近の音源が好きな人もいれば、初期の音源が好きな人もいて。今回のツアーも最新アルバムを楽しんでもらいつつ、いろんな時代の僕らを知ってもらおうと思ってセットリストを組んでいます」と亀本。「我々はこれからも最新アルバムを作り続けていくわけですが、ライブに来ればみなさんの好きなGLIM SPANKYに必ず会えると思いますので、これからもぜひ遊びにきてほしいです」と、自分たちと自分たちの音楽、そしてファンに対するリスペクトのこもった亀本の言葉に、オーディエンスは温かい拍手で応えた。

 松尾が大学時代に作ったという、ヘヴィサイケな「Velvet Theater」、入り組んだコード進行とメロディが新境地ともいえる「レイトショーへと」と続け、さらに「怒りをくれよ」「ワイルド・サイドを行け」「愚か者たち」と、テレビや映画のタイアップに抜擢された有名曲を畳み掛ける。現時点での最新曲「不幸アレ」を経て、ブラインドサッカー日本代表公式ソング「NEXT ONE」のシンガロングで再び会場が一つになったあと、「Sugar/Plum/Fairy」「形ないもの」を披露し本編は終了。鳴り止まぬアンコールに応え、「ウイスキーが、お好きでしょ」他、4曲を演奏しこの日のステージに幕を下ろした。

 アンコールで松尾は、まだ無名だった頃のエピソードを明かしながら、歌うとそのときの気持ちにいつでも戻れるという楽曲「大人になったら」を、ライブでは必ず演奏していると話してくれた。どれだけキャリアを重ね、どれだけ有名になり会場が大きくなろうとも、自分たちのファンを「仲間」と呼び、等身大であり続けるGLIM SPANKY。彼らが老若男女、幅広い世代に愛され続けている理由がよくわかる一夜だった。

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