GLIM SPANKY、音楽ファンの“仲間”と作り上げた空間 幅広い選曲で沸かせた『Into The Time Hole』ツアーファイナル公演

GLIM SPANKY、人見記念講堂公演レポ

 2022年8月に通算6枚目のアルバム『Into The Time Hole』をリリースしたGLIM SPANKYが、それを携え全国10都市をまわる『Into The Time Hole Tour 2022』を開催。12月21日に東京・昭和女子大学 人見記念講堂にてツアーファイナルを行なった。

 青いライトに照らされサポートメンバーのかどしゅんたろう(Dr)、栗原大(Ba)、ゴメスこと中込陽大(Key)がステージに登場。遅れて松尾レミ(Vo/Gt)と亀本寛貴(Gt)が現れると、会場からは大きな拍手が巻き起こる。するとステージ背後にサイケデリックな字体で書かれたツアータイトルが、高い天井まで届くほど巨大なロゴとなって浮かび上がった。

 「こんばんは、GLIM SPANKYです!」松尾がそう叫び、目眩がするようなストロボライトと共に鳴り響いたのは、「シグナルはいらない」のイントロ。骨太でケレン味たっぷりの亀本のギターリフが会場のボルテージを一気に上げていく。続く「ドレスを切り裂いて」は血糊のような、真っ赤なライトに照らされる中で披露。ポルタメントを効かせた松尾のブルージーなボーカルがスリリングだ。ここで赤いリッケンバッカーを背負った松尾が亀本ともに、お馴染みのイントロをかき鳴らすと客席からはどよめきにも似た歓声が。初期GLIM SPANKYのアンセムナンバー、「褒めろよ」を全員でシンガロングし、この日のライブに最初のピークが訪れた。

 「改めましてこんばんは、GLIM SPANKYです!」と松尾。「今日は東京2DAYSの2日目。このツアーに生活の全てを賭けてきたから、終わってしまうのは寂しいというか、文化祭が終わってしまうような不思議な気持ちに今からなっています。とにかく今日は思いっきり、めちゃくちゃ楽しい夜にしたいと思っているので楽しみましょう」と挨拶した。

 ステージ奥に設置されたミラーボールが周りだし、幾つもの光の筋が回転するサイケデリックな演出の中で演奏されたのは「HEY MY GIRL FRIEND!!」。続いてレニー・クラヴィッツやOasis経由で中期The Beatlesにオマージュを捧げたような、オーガニックなバンドアンサンブルが映える「It’s A Sunny Day」、さらに眩いライトに包まれながらフォークロックの名曲「美しい棘」と、GLIM SPANKYのルーツを思わせる楽曲を立て続けに披露してみせた。

松尾レミ
松尾レミ

 「私たち、18歳の時に長野県から東京に出てきて、主に下北沢のライブハウスに出ていたけど、こんなに下北沢から近いのに三軒茶屋でライブをしたことって今まで一度もなかったんですよね。だから昨日がGLIM SPANKYにとって初の三茶ライブになりました」と松尾が話すと亀本が、「三茶ってちょっと経済水準が高くて、行っちゃいけない場所だと学生の頃は思ってました。なんか崇高なイメージがありましたね」と彼らしい持論を展開し、会場の笑いを誘っていた。「今回のツアーは10カ所11公演だったんですけど、全部の公演が楽しかったんですよ。こうやってGLIM SPANKYの音楽を軸に、音楽ファンの仲間が集まって一緒に楽しんでくれてさ。そりゃ楽しいに決まっているよ。外は寒いけど、今日も最高のライブにしていくつもりなので、みなさんよろしくお願いします!」と松尾。インタビューでもライブでも、自分たちのファンのことを彼女はよく「仲間」と表現しているが、この日のライブもステージと客席との垣根を感じさせない、まさに「音楽仲間の集い」のような空気が終始流れていた。

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