スカパラ、斉藤和義、KIRINJI、GLIM SPANKY、THE CHARM PARK……独創的スタイルをポップスに昇華した最新作

 “歌モノ盤”“インスト盤”の2枚組による東京スカパラダイスオーケストラの30周年記念アルバム、さくらももことのコラボレーションが実現した斉藤和義のニューシングルなどをピックアップ。ルーツミュージックや独創的なスタイルに根差しながら、幅広い層のリスナーが楽しめるポップスへと昇華した5作品を紹介したい。

東京スカパラダイスオーケストラ『ツギハギカラフル』

 東京スカパラダイスオーケストラのデビュー30周年を記念したニューアルバム『ツギハギカラフル』は“歌モノ盤”“インスト盤”の2枚組。歌モノ盤には、「リボン feat.桜井和寿(Mr.Children)」「ちえのわ feat.峯田和伸」「明日以外すべて燃やせ feat.宮本浩次」など、個性、スキル、情熱を併せ持った男性ボーカリストのコラボ曲を収録。さらに新曲として、キヨサク(MONGOL800)、TAKUMA(10-FEET)をフィーチャーした「Jamaica Ska」(1964年にリリースされたByron Lee&The Dragonairesの楽曲のカバー)も。オーセンティックなスカ、ロックステディの名曲を、スカパラの盟友であるキヨサク、TAKUMAとともにカバーしたこのトラックは、ルーツミュージックをポップに昇華してきたスカパラの真骨頂だ。インスト盤に収められた8曲も、思わず口ずさみたくなるキャッチーなメロディが満載。マニアックかつディープなサウンドを誰もが楽しめる音楽(=ポップス)に導く彼らのスタイルは、いまも向上し続けている。

「リボン feat. 桜井和寿(Mr.Children)」Music Video / TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA
斉藤和義『いつもの風景』(通常盤)

 斉藤和義の最新シングル表題曲「いつもの風景」はTVアニメ『ちびまる子ちゃん』新エンディング主題歌。さくらももこが斉藤和義をイメージして生前に書き残した歌詞に、斉藤が曲を付けたこの曲は、ドラムマシンと生ドラム、シンセベースを融合させたトラック、ブルージーなギターフレーズ、朗らかで解放的なメロディが共存するナンバー。〈だいたい同じような毎日だけど/ひとつも同じ日なんてないんだ〉というフレーズは、『ちびまる子ちゃん』のテーマと重なりながら、普遍的なメッセージを含んだポップソングにつながっている。C/Wには、小説『オートリバース』(80年代のアイドル親衛隊の少年たちの姿を描いた青春小説)のコラボ曲として書き下ろされたドリーミーでサイケデリックな「オートリバース~最後の恋~」、ビング・クロスビー、ボブ・ディランから江利チエミまで、数多くのシンガーが歌ってきた「YOU BELONG TO ME」の日本語カバーを収録。

斉藤和義-いつもの風景[TV Ver.]
キリンジ『cherish』(通常盤)

 先行シングル「killer tune kills me feat. YonYon」、先行配信曲「Almond Eyes feat. 鎮座DOPENESS」を含む、KIRINJIの全9曲入りニューアルバム『cherish』。前作『愛をあるだけ、すべて』で採用した生楽器と打ち込みのハイブリッドをさらに進化させ、ふくよかな低音域の音響に象徴される、現行のヒップホップ~R&Bのエッセンスを取り入れたサウンドメイクがとんでもなく気持ちいい。意味とリズムを絶妙なバランスで共存させたメロディライン、承認欲求、タイムマネジメントなど、すべての現代人にまとわりつく状況を背景にしながら、静かな諦念とシニカルな視線を感じさせるリリックなど、ソングライティング自体もさらにアップデートされている。20周年を経て届けられた新たな傑作であり、2019年現在、もっとも尖っていて、もっとも知的でポップスであると断言したい。

KIRINJI – Almond Eyes feat. 鎮座DOPENESS

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