globeの楽曲がデビュー10000日を迎えてもみずみずしさを保つのはなぜか? 深く知らない人にも届けたい“神5”を紹介
〈どこまでも~〉
たった5音のメロディ、たった5文字の歌詞なのに、X、Y、Z、あるいはゆとり……どの世代でも「ああ、聴いたことある」となるはずだ。ただし、アーティスト名や曲名が出てこない方がいるかもしれない。
globe「DEPARTURES」。
これで「そうそう」と思い出した方、ここで「へぇ」と初めて知った方など、いろいろだろう。そこで本稿は、〈どこまでも~〉だけしか知らない方にglobeの“神5”を紹介する。
今さらだが、globeはプロデューサー・小室哲哉(以下、TK)、ボーカル・KEIKO、ラップ・MARC(マーク・パンサー)の三人組ユニット。デビュー曲は「Feel Like dance」(1995年)。ぜひ「Feel Like dance MV」で検索してもらいたい。
出てくるのはglobeの初ライブパフォーマンス。驚くべきはKEIKOだ。6万人のオーディエンスの前で見事に歌い切っているではないか。あれが生まれて初めてのライブだなんて信じられない。あとで聞いた話だと、臨時に設置されたステージ裏の出演者楽屋に、自分も入っていいのか、入ってはいけないのかすらわからず、出番前は外に立っていたらしい。まさに右も左もわからなかった。その彼女が飛び出したステージがMVとして残っている。もちろんTKプロデュースによるものだが、こんなドキュメンタリーは二度と撮れない。KEIKOの希望と不安、解放と緊張が曲に輝きを与えている。
KEIKOの声はブルース!?「Precious Memories」
当時の日本記録400万枚以上のセールスを記録している1stアルバム『globe』(1996年)の収録曲。globeデビュー当時、KEIKOの声にブルースを感じると言っていたTK。ブルースとはジャズやロックのルーツミュージック。そんなKEIKOの声を活かすために作詞・作曲・編曲されたのがこれ。働き始めた女性が学生時代の恋人を思っている歌だ。生涯青春もそれなりに美しいが、青春がすぎ去ったと自覚したとき、その美しさを初めて知るのだと気づかせてくれる楽曲。ブルースを日本語にする場合、哀歌や憂歌と書かれることが多い。TKはそれを承知したうえで、憂いを書いたのではないだろうか。
心に鳥肌 せつなさ極限「I'm still alone」
アルバム『Love again』(1998年)の収録曲。「日本一せつない曲は?」と問われたら、即これを推す。叙事詩と叙情詩に分けたら後者だ。心情が中心。つまりシチュエーションは、ほぼ歌われていないから、聴く人によりどのようにでも捉えることができる。ただし、せつないのは老若男女共通。かつてKEIKOは言った、自分はせつなさ愛好家、人も音楽も映画も自分だけのせつなさ指数で判断していると。あの頃は、サッカー・イタリア代表のデル・ピエロがせつなくて好きって言ってたっけ。同時にTKのメロディは常にせつなさをまとっている。涙がこぼれる1mm手前の、清らかなせつなさがここにある。