MAN WITH A MISSION、連作アルバムツアーで伝えたエンターテインメントの必要性 シンガロングも響いた有明アリーナ公演

MWAMが伝えたエンタメの必要性

「70億人ガ別ノコトヲ願ッテモ神様ハ聞イテクレナイケド、皆ガ同ジコトヲ願エバ聞イテクレルンジャナイカ」

 新型コロナウイルス、ロシアのウクライナ侵攻、弾道ミサイル──世界で起きている出来事に触れながら、Jean-Ken Johnny(Gt /Vo/Raps)はこのように語っていた。その言葉が、強く印象に残っている。バンド史上初となった2枚の連作アルバムを携え、6月より開催されたMAN WITH A MISSIONの全国ツアー『Break and Cross the Walls Tour 2022』。今回のツアーは彼らにとって、今の時代におけるエンターテインメントの必要性を考え抜いて作られたものだったのではないだろうか。

 ツアーファイナルの11月6日、東京・有明アリーナ公演。場内が暗転し「Between fiction and friction II」のイントロが鳴り響くと、盛大なクラップが会場に沸き起こった。ストリングス隊やサポートキーボートを加え、彩りの増した演奏は初っ端から観客をぐいぐいと惹き付けていく。2曲目の「Dive」では、Tokyo Tanaka(Vo)の煽りに応えて観客の手が一斉に挙がり、早くも会場とステージは一つになっていた。なお、本公演は業界団体が定めたガイドラインに従い、1曲あたり25%程度の声出しOKというルールで開催。Jean-Ken Johnnyは「25%ニ文句ヲ言ッテイル人ヲ見ルケド、君ハフルコーラスヲ歌ウツモリナノカ?」と笑いを誘いつつ、「色々ナ意見ガアル中、ルールニ則ッテ開催シテイルノデ、周リニ気ヲ遣イナガラモメイッパイ楽シンデクダサイ!」と観客に呼びかける。

MAN WITH A MISSIONライブ評(サブ)

 続く「All You Need」は、ステージ後方と左右にあるスクリーンを使った演出が圧巻だった。カラフルなネオン街のような映像が現れ、まるでメンバーが街の中に浮かびながら演奏しているようにも見える。ステージと繋がるように設けられたスクリーンのおかげで、ステージが拡張されたように思えるのだ。他にも、「Blaze」では青い炎、「Dark Crow」では黒い鳥が映し出され、映像と音楽が合わさりながら楽曲の世界観を色濃く表現していた。一方、アコースティックバージョンで披露された「blue soul」や「小さきものたち」では、シンプルにメンバーの演奏姿のみを映すことで、ステージが狭く感じ近い距離で歌われているような気さえしてくる。この使い分けは見事だと感じた。ちなみに、中盤ではYouTubeの人気チャンネルである「THE FIRST TAKE」のパロディ映像が流れ、会場が笑いに包まれる一幕も。演奏面以外の部分にもこだわって作られたライブであることが伝わってきた。

 本ツアーは各地2日ずつの公演となっており、それぞれ1日目は『Break and Cross the Walls Ⅰ』、2日目は『Break and Cross the Walls Ⅱ』の収録曲が中心という異なるセットリストで行われた。追加公演2日目にあたるこの日は、『Break and Cross the Walls Ⅱ』からの楽曲をメインに「Get Off of My Way」や「Emotions」といった過去曲も披露。後半、ライブ定番曲の「Raise your flag」が投下されると、「今ガ25%使ウ時ダゾ!」の言葉を合図に観客のシンガロングが響き渡る。この瞬間、ライブのある日常が戻ってきているのだと感じた人も多くいたのではないだろうか。

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