ワンオクやマンウィズにも影響を与えたFall Out Boy、3年ぶりのアルバムを紐解く
皆さんがFall Out Boy(以下、FOB)という名前を聞いてイメージするのは、どんな音なのだろう。もしかしたら世代によって、思い浮かべるサウンドは異なるのかもしれない……それくらい、テン年代の彼らはゼロ年代から大きく飛躍し、Panic! At The Disco、Paramoreといった海外勢のみならず、ONE OK ROCKやMAN WITH A MISSIONなど日本のロックバンドにも大きな影響を与えているのだから。
2000年代半ばにシーンに登場して以降、特にアルバム『From Under The Cork Tree』(2005年)でのブレイクを機に、FOBは海外のみならず日本でも常に高い人気を獲得してきた。いわゆるポップパンクやエモの流れにあるそのキャッチーな楽曲は、パンクキッズのみならず一般層まで巻き込み、『Infinity On High』(2007年)では初の全米1位を獲得。その後もパンクという枠に捉われることなく、良質の楽曲とエネルギッシュなライブでファンを増やし続けた。事実、ここ日本でも彼らをフェイバリットに挙げるパンクバンドや、FOBから影響を受けたと公言する若手バンドも少なくない。
しかし、FOBは2009年に突然の無期限活動休止を発表し、多くのロックファンを驚かせる。そこから4年後の2013年4月、彼らは『Folie à Deux』(2008年)から約4年半ぶりとなる新作『Save Rock And Roll』で待望の活動再開。全米No.1を獲得した同作では過去を振り返ることなく、その時代ならではのテイストを取り入れたサウンドを提供し、バンドはまだまだアップデートできることを証明してみせた。かと思えば、同年秋には書き下ろしのハードコアナンバー8曲を収めたEP『PAX AM Days』を突如リリースして往年のファンを喜ばせ、翌2014年には大ヒット映画『ベイマックス』に新曲「Immortals」を提供。2015年春の来日時には朝の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)に生出演し、同曲を披露したことも記憶に新しい。そして、同曲を含むアルバム『American Beauty / American Psycho』(2015年)も2作連続で全米1位を記録。サンプリングやダンスミュージックの要素を積極的に導入した現在進行形サウンドでゼロ年代とは異なるファン層を新たに獲得し、バンドは現在第二の黄金期を迎えている。
FOBは2013年の再始動以降は特に来日公演が多く、『PUNKSPRING』(2017年春に終了)や『SUMMER SONIC』といった大型フェスにも出演していることから、邦楽ロックファンにもおなじみの存在かもしれない。特に近年は、ONE OK ROCKの全国アリーナツアーにゲスト出演したり(参照:ONE OK ROCK、アリーナツアー前半戦ゲストにFall Out Boy、Don Broco、SiM、WANIMAら)、MAN WITH A MISSIONの楽曲「Dead End in Tokyo」をFOBのパトリック・スタンプ(Vo,/Gt)がプロデュースしたり(参照:MAN WITH A MISSION、パトリック・スタンプ手がけた新曲リリース決定 対バンツアーも開催に)と、日本のロックファンの間でも話題に事欠かない存在だ。さらに直近では、FOBの最新曲「Champion」のリミックストラックにBTS (防弾少年団) のRMが参加したことが、国内外で大きな話題となったばかり。この4月には初の日本武道館公演を含む1年ぶりのジャパンツアーも控えており、今後さらなる注目が集まることだろう。