MAN WITH A MISSIONはロックを進化させ続ける 木村拓哉からmiletまで、アーティストに求められる理由
MAN WITH A MISSION(以下、MWAM)は、2010年に突如として日本のロックシーンに現れて以降、重厚なミクスチャーロックを轟かせながら、今もなお日本のロックシーンを席巻し続けている。同時に、ドラマ『ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜』(フジテレビ系)の主題歌「Remember Me」をはじめとする数々の大型タイアップ楽曲を通して、お茶の間にもその認知を拡大している。先日には、新曲「More Than Words」が、4月公開の映画『劇場版 ラジエーションハウス』の主題歌となることが発表されたが、この怒涛の勢いはまだまだ衰えることはないだろう。
そしてMWAMは、ドラマやアニメ、映画といった映像作品だけでなく、ミュージシャンやロックバンドとのコラボレーションにも非常に意欲的なバンドである。miletとのコラボ曲「Reiwa feat. milet」や、メンバーのKamikaze Boyが彼女に提供した「Grab the air」が象徴的なように、MWAMのコラボの幅は非常に広く、それは5匹が音楽シーンにおいて大きな求心力を放ち続けているからこそだろう。今回は、MWAMが提供した楽曲やコラボ曲を挙げながら、5匹が様々なアーティストから求められる理由について迫っていきたい。
まず、アーティストへの提供曲について。今、大きな注目を集めているのが、木村拓哉に提供した「I'll be there」だ。もともと木村はハードロックを好んでおり、1stアルバム『Go with the Flow』においても、稲葉浩志(B'z)や川上洋平([Alexandros])とタッグを組んでいた。ロックは、彼の音楽活動における一つの軸となっており、同曲を含め、2ndアルバム『Next Destination』においてもロック路線の楽曲が複数収録されている。約2年間のコロナ禍を受けて制作された今作のタイトル『Next Destination』には、「以前のような形に戻ったら…と願うより、今はとにかく次の目的地に向かって新たな一歩を踏み出そう」(※1)という木村の強い意志が込められており、今作のラストを飾る「I'll be there」は、まさにコロナ禍の閉塞感を突き破るような壮大なロックナンバーとなっている。
なお、木村は「以前から、その音楽性に魅了されていたMAN WITH A MISSIONには、『ダメ元で訊いてみよう』と打診してみたら、快諾してくださいました」とコメントしており、今回のコラボのきっかけは、木村サイドからのラブコールであったことが分かる。対してKamikaze Boyは、「ドウカスーパースタート狼トイウ異色ノコラボレーションヲオ楽シミ頂ケマスト大変嬉シイデス!」とコメントしている(※2)。たしかに異色なコラボと見る人も多いかもしれないが、実際に楽曲を聴けば、木村拓哉とMWAMがロックを通して、非常に深く通じ合っていることが分かるはずだ。バンドサウンドとオーケストレーションの融合が非常に美しく、その上に木村の華やかなボーカルが加わることで、一気に視界が開けていくような感動を味わえる。いつか、ライブでの共演が実現する日が来ることを願う。