ボーイズグループの盛況、K-POPスタイルの活動がブームの鍵? SNSや動画サイトを活用した発信の重要性

 BTS、TOMORROW X TOGETHERなどをデビューさせてきた韓国の大手芸能事務所HYBEが日本で行っていたボーイズグループデビューサバイバル番組『&AUDITION - The Howling -』が9月3日に終了し、最終メンバーは12月7日に9人組グループ・&TEAMとしてデビューすることが決定した。以前から日本では、ボーイズグループといえばジャニーズに所属しているグループがメジャーだったが、ここ数年はさまざまなグループが活況を見せている。

 現在のボーイズグループムーブメントの最初のきっかけになったのは、やはり『PRODUCE 101 JAPAN』(GYAO!/TBS系)ではないだろうか。元になったのは韓国でも国民的ムーブメントとなった、デビューサバイバル番組『PRODUCE 101』シリーズ。韓国国内では『AKB48選抜総選挙』を参考にした企画として知られている。多くの練習生の中からデビューメンバーを決める「デビューサバイバル」という形式自体が、参加者に対する思い入れを強くし、番組視聴者がそのままデビューしたグループのファンにつながりやすい。特にこの“プデュ”シリーズは視聴者投票がデビューメンバーの選抜に大きく関わるという「国民プロデューサー」システムを導入したことが大きいだろう。韓国のシステムとは多少異なる部分もあるが、日本版でも韓国のアイドルシーンではよくある参加者の応援広告を出すことが許可されるなど、メンバーのプレゼンや応援を通してより没入し、団結しやすいような盛り上げ方が導入されたことは新しかったのではないだろうか。また無料で配信されていたこと、デビューメンバーが決定する最終回のみ地上波で生放送されたことも番組やファンを盛り上げたと言える。

 韓国の番組では参加者は芸能事務所に所属していることがほとんどだったために、デビューグループの活動期限が決まっており、活動が終了した後はそれぞれの事務所から再デビューすること前提だったが、日本の場合は事務所に所属していないことが参加条件となっているので、デビューしたグループは期限なくそのまま活動できている点も大きな違いだ。こういった環境下でデビューしたJO1とINIは、韓国のCJ ENMと日本の吉本興業の合弁会社であるLAPONEに所属している。CJ ENMは大規模なK-POPイベントやアワードを開催しているケーブルチャンネルのMnetを運営しており、近年はアーティストなどマネジメントも行っている企業である。これによってJO1、INI共に韓国での楽曲、パフォーマンスの制作や番組、イベント出演もしやすくなり、結果的にK-POPファンの目に留まり、グローバルな活動をしやすい環境にある。逆に日本でも一般層への認知度の鍵となりやすいバラエティ番組を含むテレビ番組への出演などのマネジメントを吉本興業が担当しており、インターネット上の活動を含むグローバルなアピールに強い韓国と、日本国内での活動における吉本興業のパワーを両方取り入れやすいという、既存のボーイズグループにはなかった利点を多く備えている。また、ファンによる誕生日広告の条件を決めて許可を出すなど、「韓国のような応援広告文化は経験してみたいが、メンバーの肖像権を侵害するような非公認のやり方には抵抗を感じる」というニーズにも応えている。

 このような、デビューサバイバル番組を通してデビュー前からファンを獲得し、SNSを活用した広報活動をファン自身により自主的に行わせるような流れに導くというK-POP特有だったファン文化を活用するスタイルは、日本のボーイズグループにも浸透してきており、先述の&TEAMのような韓国系の事務所だけではなく、SKY-HIプロデュースのBE:FIRSTなども影響を受けている部分があるのではないだろうか。

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