idom、ドラマ『競争の番人』主題歌「GLOW」がチャート好調の背景は? 自身の生き様ともリンクする壮大なスケール感
idomの「GLOW」が8月8日の先行配信後、即座にiTunesのJ-POPチャートトップ10入りを果たした。
同曲は現在、月曜21時に放送中のドラマ『競争の番人』(フジテレビ系)の主題歌としてオンエアされており、idomは音楽活動を開始して2年で抜擢されるに至った。ドラマは、坂口健太郎演じる小勝負勉、杏演じる白熊楓らが所属する公正取引委員会・第六審査、通称“ダイロク”を中心に描いたエンタメミステリー。「『競争の番人』の世界をより一層色鮮やかにしてくれるような曲」(坂口)、「作中で、映像と組み合わさった時の格好良さがとても好きです」(杏)とそれぞれコメントしている通り、主題歌が毎話絶妙なタイミングで流れることでも話題を呼んでいる。
以前、別の記事でその急速なステップアップについては述べたが(※1)、今回は「GLOW」の魅力とチャート好調の背景を紐解いていきたい。
荘厳なストリングスの音色、スナップ音、そして歌声が渾然一体となり耳を捕らえるオープニング。ビートが加わると同時に鍵盤が鳴り始め、次々に音が展開していくシンフォニックなトラック。セルフプロデュースですでに多彩なジャンルの楽曲を生み出してきたidomだが、「GLOW」のスケール感はこれまでにないものに仕上がっている。SixTONESの楽曲などを手がけるNaoki Itai、Little Glee Monsterらに曲を提供するCarlos K.を共同アレンジャーに迎えて練り上げた音像は、メジャーシーンのど真ん中で戦うための強度を誇っている。
しかしあくまで中心にあるのは美しいメロディラインだ。親しみやすいポップスとしての普遍性を持ちつつ、セクションごとにテイストを変えながら進んでいく旋律は、一筋縄でいかない。時にバラード、時にトラップに接近しながら独創的な歌の運びを聴かせてくれる。1サビでは熱量を落とすことなく立て続けに異なるメロディを連ねており、その後もラストに向かうにつれ力強く駆け上がっていき、昂ったままクライマックスを迎える。3分間という短い曲尺ながらうねるように景色を変えていく劇的な1曲と言えるだろう。
そしてその歌声も、縦横無尽に動くメロディに呼応して限りなく解き放たれているように思う。繊細さや憂いを感じさせる歌い出しから、かつてない程に逞しく声を張るサビに至るまで幅広い表現力が炸裂している。甘くしなやかというこれまでのイメージを更新し、エネルギッシュなアプローチを獲得したのだ。最後のサビでの英詞まじりの歌唱、間奏やアウトロ付近での見事なファルセットによるフェイク、また多重録音によるクワイアなど声を用いた多彩なアレンジで楽曲のスケールを何倍にも膨らませている。
「聴く人を勇気づける“応援歌”のような曲」というオーダーで作られたという「GLOW」。ドラマの中でもピークに近い場面で流れ、そのシーンにおける登場人物の姿を支えるように作用している。弱さと向き合い、仲間とともにそれを乗り越えて、輝く未来を掴み取ろうとする。強い信念を持ちながらそれぞれの役割と向き合う人々を描くドラマの内容とのシンクロ率も抜群だからこそ、好調なチャートアクションに繋がっているのだろう。