ドラマ『競争の番人』主題歌に抜擢のニュースター idom 活動開始から2年、急速に示すジャンルレスな存在感
本日7月11日21時より放送がスタートする坂口健太郎&杏W主演ドラマ『競争の番人』(フジテレビ系)。その主題歌を歌うのはidom(イドム)という新人アーティストだ。ここ最近の月9ドラマと言えば折坂悠太やyama、eill、Tani Yuukiといったニューカマーを積極的に主題歌やオリジナルナンバーに起用していたが、今回のidomは音楽制作活動たった2年、ライブ活動も全く行っておらず、知名度からすると格段に異例の大抜擢と言えるだろう。しかし彼はわずか2年の活動期間でSNSやバイラルチャートでは急速に存在感を示してきている。本稿では驚異のスピードで駆け上がってきたジャンルレスなニュースター・idomについて紹介していきたい。
idomは兵庫県生まれ、岡山県在住の24歳。デザイナーを志望し、2020年にはイタリアのデザイン事務所への就職が決まっていたが、コロナ禍によって渡伊を断念したという経歴を持つ。そんな挫折を味わったコロナ禍をきっかけに、以前から興味があった楽曲制作に初めて挑戦した。それが彼の音楽活動のスタート地点である。
2020年の活動初期に届けられたのは「neoki」や「soap.」といったチルアウトを促すローファイなヒップホップナンバーだ。この2曲は端正で細やかに作り込まれたデスクトップミュージックであり、この時点で楽曲制作の未経験者とは思えないクオリティに仕上がっている。また、トラックメイクや歌唱のみならずジャケットやMVまでを自ら手掛ける活動スタンスはデザインを学んできた経験値が活きており、セルフプロデュース力も当初から遺憾なく発揮されている。そして、それ以降は作る楽曲の幅をどんどん広げていく。攻撃的なテイストの「DOLL」やアコギの調べが軽妙なポップソング「二人」など様々なタイプの楽曲を創出し、ジャンルレスな音楽性を強調していく。
2021年からはSixTONESやTHE RAMPAGE from EXILE TRIBEなどの楽曲を手掛けるTOMOKO IDAを共同制作者に迎え、サウンド面に大きな変革をもたらした。2021年7月リリースの「Awake」は荘厳なコーラスから幕を開け、エモーショナルに駆け抜けるナンバーであり、これまでの楽曲とは一線を画すスケール感を誇る。また「Moment」はたっぷりとしたビートに雄大な歌唱が乗り、スタジアムや大きなフェス会場を想起させる楽曲に仕上がっている。徐々に大きなフィールドで鳴ることを意識するような楽曲が生まれ始めたのだ。
個人的には「Freedom」が特に彼の楽曲のジャンルレスさを象徴しているように思う。2021年10月にリリースされた同曲は、矢継ぎ早に繰り出されるリリックと小気味良いラップが特徴的なアグレッシブな楽曲だが、2022年2月リリースのEP『i’s』には別アレンジの「Freedom(PLANET ver.)」を収録。こちらはレトロなシンセが印象的なダンスチューンとなっており、1曲を軸にして全く別方向の楽曲に仕上げているのだ。この自在なアプローチ力は今後も伸び続けていくことだろう。