UVERworld、TAKUYA∞が届ける言葉の確かな説得力 絶頂の瞬間を更新し続けた怒涛の日本武道館公演

UVERworld、熱狂に包まれた武道館公演レポ

 2022年7月20日、21日の2日間にわたり開催されたUVERworldの日本武道館公演『THE LIVE』。今回は、その2日目の模様を振り返っていく。

UVERworld

 長年にわたって、ライブハウスだけではなく、アリーナ規模の会場を主戦場としているUVERworldにとって、もはや日本武道館はホームとも呼べる会場である。しかし、フルキャパシティ、つまり満員の観客を迎えた状態で行う武道館公演は久々であった。だからこそ、メンバーたちの気合いも冒頭から高まり切っていたのだろう。TAKUYA∞(Vo)の「のっけから、ばっこりぶち上がっていこうぜ!」という高らかな呼びかけを受けて、メンバーたちのプレイにグッと熱が入る。次々と放たれる轟かしいバンドサウンド、極彩色のエレクトロサウンド、そして、鋭く響くTAKUYA∞の無数の言葉たち。その気迫と情報量は凄まじく、冒頭の4曲「AVALANCHE」「I LOVE THE WORLD」「stay on」「PLOT」を通じて、いきなりクライマックス級の熱狂が生み出されていく展開は本当に圧巻であった。

 この日初めてのMCパートで、TAKUYA∞は溢れ出るような想いの全てを溢すことなく伝えるために、ゆっくりと丁寧に言葉を選びながらこう告げた。「一番はじめに俺たちが伝えるべきことは、今日来ることを選んでくれて本当にありがとう」。UVERworldは、コロナ禍に突入して以降の約2年半の中で、ブレーキを踏むどころか、むしろアクセル全開で(もちろん、感染対策のための絶え間ない試行錯誤を重ねながら)ライブ活動を続けてきた。そして彼らがライブを続けることができるのは、UVERworldの音楽を変わらずに求め続けるファンがいるからだ。この約2年半の中で、ライブの会場に足を運んでくれるファンたちへの感謝の気持ちは、日々強くなるばかりなのだろう。そうしたメンバーたちの誠実な想いに応えるように、満員の客席から大きな拍手の音が響きわたる。その光景は、そしてそこに表されるバンドとファンの絆は、言葉を失うほどに美しいものだった。そして、そのMCの後に披露されたのは、ヒップホップの要素を大胆にフィーチャーした鮮烈なミクスチャーロック「ENOUGH-1」。〈ただ見た目が良いだけの人達の言葉じゃ 心に響かなかった/歌が上手いだけの人の旋律じゃ 心までは動かなかった/報道番組の放送されないような本当の部分のこと/本気に触れたくて 俺達のことを聴くんだろ?〉という言葉が、いつも以上に深く響く。

UVERworld
TAKUYA∞

 自由に声を上げることも、TAKUYA∞と一緒に歌うことも、隣の観客と肩を組んで合唱することも、今はできない。それでもUVERworldは、そうした逆境の中においても失われることのない音楽の力、その眩い可能性を証明するために、今できる最大限のパフォーマンスを目指し、その高みを更新し続ける。TAKUYA∞が語った「こんな時こそ、音楽には力があることを証明するチャンスだと思ってる」という言葉は、深い確信と覚悟を感じさせるものだったし、「在るべき形」の中で、これまで制限されていた金テープが約3年ぶりに放出された時には、このコロナ禍においても、少しずつでも確かに、かつての自由なライブ空間の実現に向けて前進していることを強く感じた。

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 そして、この日のライブでいつも以上に強く感じたのは、TAKUYA∞が届ける言葉の力であった。「最近、この歌好きなんだよね」というTAKUYA∞の言葉を受けて披露された「シリウス」の中に、〈悲しみ受け入れなきゃいけない日々に 希望失わぬように〉という一節がある。また、「Q.E.D.」の中には、〈此処に希望はまだある/俺たちにだってまだある〉という一節が。それらは、これまで彼らがずっと鳴らし続けてきたメッセージではあるが、この〈希望〉という輝かしい言葉が、いつも以上の眩さを放っているように感じて胸がいっぱいになった。そして、「誰が言った」における〈で/あれは誰が言ったんだ?/『芸術や音楽が無力だ』って〉という一節にも、いつも以上の反骨精神が宿っていたように思う。この逆境に対して真正面から抗いながら、高らかに希望を鳴らす彼らの表現者としてのアティチュードは、とても信頼できるし、一貫したメッセージを届け続けてきたTAKUYA∞が歌うからこそ、確かな説得力をもって響く。

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