UVERworld、TAKUYA∞が届ける言葉の確かな説得力 絶頂の瞬間を更新し続けた怒涛の日本武道館公演

UVERworld、熱狂に包まれた武道館公演レポ

 今回のライブは、まさに次から次へと絶頂の瞬間を更新していくような怒涛の2時間であったからこそ、ハイライトとなるシーンを全て挙げていくとキリがなくなってしまうのだが、その中でも特筆すべきは、8月リリースの新曲「ピグマリオン」であった。これまでTAKUYA∞は、自分のメンタルが人よりも強いからこそ歌える楽曲をいくつも歌ってきた。〈許せば進めるし 恨みは立ち止まらす/あれは僕のせいにしな それも僕のせいにしてよ/僕以外を許して進んで行きなよ/君自身のことも許してあげてよ〉と歌う「一滴の影響」や、〈ずっと君より ほんの少し強くいるよ〉と歌う「ほんの少し」が、その一例である。しかし彼は、自身の心境の変化をきっかけとして次の歌うべきテーマを見出した。この日TAKUYA∞は、「メンタルが強すぎて人の痛みが分からなかった」という心境を語ったが、そうした自分と向き合うことで生まれたのが、誰かの痛みや悲しみに優しく寄り添うためのロックバラード「ピグマリオン」である。TAKUYA∞の精神面の変化をダイレクトに反映させた同曲は、まさに、UVERworldがリスナーと共に歩み、成長し続けていることを、何よりも雄弁に物語っている。とても美しく、感動的なパフォーマンスであった。

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 その後に続く終盤の展開は、本当に凄まじいものだった。「最高の夜を、ここから迎えに行くぞ!」というTAKUYA∞の号令によって、この日一番の熱狂を生み出した「ナノ・セカンド」。かと思えば、特効の炎によって熱く彩られた「Touch off」、そして「IMPACT」によって、何度も超えたはずの限界が次々と更新されていく。

 極めつけは、「一番、今UVERworldが大切に思っている曲」として紹介された、コロナ禍で生まれた新たなライブアンセム「EN」であった。〈あれほど死ぬ事が怖かったのに/いつか君も居なくなってしまうなら俺もちゃんと死にたい〉という切実な一節が、壮絶な余韻をもたらす。あと何回、UVERworldはステージの上に立つことができるのだろう。あと何回、私たちは彼らのライブを観ることができるのだろう。たとえ6人が、これから先いつまでもライブバンドとして駆け抜け続けていくとしても、いつか必ず最期の時は訪れる。そして、その絶対的な事実から目を逸らすことなく正しく受け入れることができた時に、初めて開かれていく新しい地平がある。今、UVERworldと私たちは、その輝かしく尊い景色の中にいる。そう、強く感じた。

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誠果

 本編のラストナンバーとして、後悔のない人生を生きる覚悟をお互いに共有し合うためのロックバラード「7日目の決意」を届けた後、普段はアンコールを行わない彼らが急遽、特別にセルフアンコールとして「MONDO PIECE」を披露した。同曲は、観客の合唱が重要なピースを担う楽曲であり、筆者はこれまで『男祭り』をはじめ、この楽曲で観客同士が肩を組み合い合唱する美しい光景を何度も観てきた。しかし言うまでもなく、今回は"大合唱なし"の特別な「MONDO PIECE」である。そのあまりにも切実な響きに、そして〈自分を信じれなくなった日があった/でも この仲間を信じれなくなった日はなかった〉という言葉に込められたリスナーへの信頼の大きさに、強く心を震わせられた。

 この日の公演の終了後、8月から12月にかけて開催される全国ツアー『THE LIVE』の日程が発表された。いついかなる時もステージの上に立ち続けることこそが、彼らのライブバンドとしての至上命題であり、だからこそ6人は、これから先もその歩みを止めることはないだろう。コロナ禍における制限下の中でできる最高のパフォーマンスを幾度となく更新し続ける彼らは、いつか、かつてのような自由なライブ空間を取り戻した時、いったいどのような絶頂の景色を描き出すのだろうか。いつか必ず訪れるその時が、今から楽しみで仕方がない。

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