UVERworld、歌の強度が増した『30』チャート好調 ロックサウンドの解体によって見えるバンドの核とは?

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2022-01-03/

 2021年を振り返る最後のチャートになりました。今回注目するのはUVERworld『30』。約41,789枚セールスで初週2位。全国のスタジアムを余裕で制する彼らは、大人気ロックバンドにして熱いパフォーマンスに定評のあるライブバンドのひとつ。以前はミクスチャーロックやラウドロックと言われることもありました。

 過去形で書いたのも、2年ぶりとなるアルバム『30』から激しいギターの音はほぼ聴こえてこないから。そもそも生のバンドサウンドなのか、PCやシンセで作ったトラックなのか、パッと聴きで判断するのが難しい曲が多い。アッパーなロックは「SOUL (feat.青山テルマ & 愛笑む)」と「来鳥江 (feat.山田孝之 & 愛笑む)」の2曲ですが、客演&共作のコラボシングルだったことも含めて、あえての遊びという感じ。今のバンドが目指しているのは、エレキや生ドラムが遠くに聴こえるEDMやヒップホップ寄りの、しかしダンスミュージックとも言い切れない歌メインのメッセージなのでしょう。

UVERworld feat. 青山テルマ / 愛笑む 『SOUL』Short ver.
UVERworld feat. 山田孝之 / 愛笑む 『来鳥江』Short ver.

 これは近年の彼らが意識的に取り組んできた変革で、ギターを掻き鳴らせばOKなのか、低音から高音までレンジの広いR&BやEDMのサウンドを無視したままでいいのか。そんな自問自答が続いたようです。世界のポップ・スタンダードを考えると無視できない問題ですが、その流れの先には、固定メンバーで成立するバンド形態の解体が待っています。UVERworldに限らず、海外進出後のONE OK ROCKなどもこの問題に真正面から取り組んでいますね。

 これはロック界隈メインの書き手として実感を込めて書きますが、「いいのか」と言われて「よくない」と言えるバンドって、日本では本当に少数派。流行に関係なく、バンドマンはみんな目と目を合わせて「せーの!」で生音をぶつけたいし、ドラムとベースとギターの組み合わせが一番好きなはずです。それがやりたくてメンバーを集めたのだから当然ですよね。スタジオに集まり散々練習して、いざ世に出たら「ギターの音はいらない」と言われてしまう。そうですかと納得するほうが難しい話です。

UVERworld『AVALANCHE』

 では、それでもバンドサウンドの解体に舵を切れる人たちの原動力は何なのか。世界で勝負したいとか純粋なサウンドデザインへの興味だとか、人それぞれだと思いますが、UVERworldに関しては「どんな曲調でもTAKUYA∞の歌がメインならそれでいい」という共通認識がある気がします。だからどの曲も歌が強い。バンドサウンドを極力抑え気味にしながらも、ボーカルの熱量はフルで発揮されていますから。

 海外ポップス=ダイナミックな音響で快感を生む力技、J-POP=歌と歌詞で心を震わせる物語。その定義で考えてみれば、UVERworldって実はJ-POP的だと思います。例えば3曲目「えくぼ」における輪廻転生のストーリー。このロマンチックな言葉の連なり、そこから膨らむ機微の豊かさは、まさに詩情と呼ぶべきものでしょう。ド派手な快感があれば意味は二の次といった乱暴さは、彼らの歌にはまったくありません。



インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「チャート一刀両断!」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる