Non Stop Rabbit、念願のアニメOPテーマで発揮したバンドの強み シングル『無自覚の天才』は聴き応えある1枚に
Non Stop Rabbitが、7月20日に2ndシングル『無自覚の天才』をリリースした。本作にはTVアニメ『転生賢者の異世界ライフ』オープニングテーマの表題曲をはじめ、大切な人からの卒業をテーマにした重厚なロックバラード「恋愛卒業証書」やライブでも盛り上がること間違いなしのユニークなナンバー「豆知識」を収録。彼らの多面的な音楽性が楽しめる聴き応え満載のシングルに仕上がった。バンドの目標の一つでもあったアニメのオープニングを飾るタイアップに“ノンラビの王道”とも言えるサウンドで勝負できた達成感、本作の初回盤DVDにも収録された2年ぶりのライブの振り返りなど、コロナ禍でさらに結束力の高まった3人の軽快なトークを楽しんでほしい。(編集部)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】
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念願のアニメ主題歌は「バンドであること」を打ち出したサウンドに
――少し時間が経ってしまいましたが、3月14、15日に渋谷クラブクアトロで開催された『メジャー入り初のワンマンライブ! 2年もLIVEしてなかったからリハビリさせてや! 本気の2DAYS、4番勝負!~あの日の俺らを取り戻す~(エモぉー)』について聞かせてください。コロナ禍でライブを封印していたNon Stop Rabbitにとって、約2年ぶりとなったワンマンライブはいかがでしたか?田口達也(以下、田口):久しぶりすぎてライブに向かうテンションの作り方を忘れていて。一切緊張感がなかったのが逆に怖い点でしたね。お客さんが目の前にいる景色が思い出せなかったりもしたので、直前まで「誰もいないんじゃないか」っていう不安もありましたし。ただ、いざライブが始まってしまえば、もういつも通りというか。
矢野晴人(以下、矢野):うん。ステージに立ってパフォーマンスする感覚は、いい意味で2年前と変わらなかったよね。「あ、衰えてないな」って思いました。
田口:コロナ禍でライブができなくなった分、そこで何ができるかをずっと考えながら徹底的に動き続けてきたからね。それがライブバンドとして衰えなかった理由かもしれない。
――オーディエンスはマスク着用で声が出せない状況でしたけど、めちゃくちゃ盛り上がっていましたよね。
矢野:正直、声が出せないライブなんて、お客さんも僕らも全然おもしろくないじゃんって思ってたんですよ。楽しいわけがないって。でも、始まっちゃったら全然そんなことなくて。想像を軽々と超える楽しさがあったし、コロナ禍前のライブともそんなに違いを感じなかったんですよね。それは大きな発見でした。だからこそもっともっと声を出したいっていうもどかしさもありましたけど、それは今後のライブに生かしていけたらいいなと思ってます。
――太我さんはどうでした?
太我:僕は2年間空いたことでドラムを叩くことに対しての感覚が0になっちゃってて。もちろん叩けはするんだけど、ドラムを始めた高校生の頃みたいな感覚に戻っちゃってたんですよ。リハを重ねる中で、その感覚を戻していくのにめっちゃ時間がかかりました。しかもクアトロがある渋谷に行くのも久々だったので。
矢野:それは関係ないだろ。
田口:買い物みたいに言うなよ。
太我:なんかめっちゃそわそわしちゃって。ドラムの感覚は高校生だし、渋谷に対しては初めて上京した頃の感覚になっちゃってた。ステージに出たら普段通りに戻りましたけどね。2年前の感覚にすぐ戻れました。ただ、僕的にはドラムを叩きながら客席のカワイイ子を探すっていうのがひとつのモチベなんですよ。それがマスクのせいでできなくて。気になった子を指名してマスクを外してもらうコーナーとかやってもよかったかもしれないですね。
田口:お前集中しろよ、ライブに(笑)。
太我:いやー(笑)。でもライブはめっちゃ楽しかったですよ。やっぱライブはいいなって。声が出せないとかコロナ禍のことも全然大丈夫。気にならなかったです。
――その渋谷クラブクアトロのライブで情報がいち早く解禁されていたメジャー2枚目となるニューシングル『無自覚の天才』がついにリリースされました。表題曲は、オンエア中のTVアニメ『転生賢者の異世界ライフ~第二の職業を得て、世界最強になりました~』のオープニングテーマになっています。
田口:はい。『転生賢者の異世界ライフ』は少年が間違いなくワクワクする作品なんですよ。王道とも言える強い主人公がいて、どんどんモンスターを倒していく姿に男子っていうのはいくつになっても惹かれてしまうもの。で、僕らはそんなアニメの主題歌がやりたくてバンドを始めたようなものなので、作っていて本当に楽しかったですね。もちろんプレッシャーもありましたけど、「夢が叶うわ!」という思いのほうが強かったかな。
矢野:僕もアニメが昔からめちゃめちゃ好きなので、その土俵にバンドとして上がれることが最初は信じられなかったというか。実際、まだどこか他人事みたいな感覚があって。そういう意味では主題歌を歌う人間として“無自覚”な感じなんですけど。
――さっそくタイトルに引っ掛けて(笑)。
矢野:はい。ありがとうございます(笑)。
田口:そんなに上手くはないけどね。
――ちなみにノンラビは2021年に発表されたデジタルシングル「静かな風」でもアニメタイアップを経験していますよね。
矢野:そうですね。あのときは『ドラゴン、家を買う。』というアニメのエンディングを担当させていただいて。それもめちゃくちゃ嬉しかったんです。ただ、エンディングということもあって、アニメにグッと寄せた曲調になっていたんですよね。
田口:エンディングで使われることを意識して書いたからね。それもすごくいい経験だった。
矢野:うん。でも今回はオープニングだし、少年漫画的な内容の作品でもあったので、自分たちの強みを思いきり出せるなっていう感覚があったんですよ。だからより嬉しさが強かったというか。すごく気合いが入りましたね。
――ノンラビの王道とも言えるサウンドをぶつけられることにやりがいを強く感じたということなんでしょうね。
田口:そうですね。実際、僕らが先方に提示させてもらった楽曲が一発でOKをもらえたので。嬉しかったです。
太我:ノンラビはオープニングテーマが似合うタイプかなって勝手に思ってるところがあって。しかも今回はイケメンの主人公が活躍するバトルアニメなので、いいマッチングなんじゃないかなと。この曲がきっかけで女性ファンがたくさん流れてくるんじゃないかなって期待してますけどね。
矢野:流れてくるか(笑)?
太我:いや、そうなったらよさげだぞ、みたいな(笑)。一番かっこいいノンラビを詰め込めた楽曲になったと思うので、反応はめっちゃ楽しみです。
――先方から曲の雰囲気に関してのオーダーはあったんですか?
田口:いや、それがまったくなかったんですよ。なので原作を読みこみつつ、とにかく今の自分たちのやりたいことを詰め込んだ感じで。僕らはYouTubeをやったり、自分らでMVを撮ったりしてきているので、今回の楽曲は映像をイメージしながら作ることができて。オープニング映像を想像しながら曲を書いていけたのがすごく楽しかったですね。
――サウンド面で重視したのはどんな部分ですか?
田口:僕らの楽曲の場合、サビ始まりでメロディの良さを売りにする王道のパターンがひとつあるんですけど、今回はそこではなく、僕らがバンドであることをしっかり見せたいと思ったんですよね。ギターから始まって、そこにベース、ドラムが入ってきて……みたいな流れを通して、ロックバンドがオープニングテーマを手掛けたんですよっていうことをしっかり提示したかった。さらにサビ前では一瞬、ギターと時計の針の音だけになって、ちょっと勢いが止まるパートをあえて入れてみたのも今まであまりやってこなかったこだわりですね。そのパートがあるからこそ、サビのインパクトがより出るだろうなっていう。そこはサビで主人公がバーンと必殺技を出すみたいなイメージですね。僕ららしいバンドサウンドではあるけど、アニメのおかげで今までにない引き出しを開けられた実感もあります。
矢野:めちゃくちゃロックしてる仕上がりなので、この曲はライブでやるのが楽しみですね。多分、今度のツアーではやることになると思うんですけど。
太我:ライブは絶対楽しいと思いますよ。ドラムに関しては自分の一番得意なテンポ感なので、何も考えずに叩けるところがありました。レコーディングもわりとすぐ終わった記憶があります。
田口:こういう曲は2人(矢野と太我)とも絶対に好きだってことはもうわかってたので、どれだけ気持ちよく演奏してもらえるかを考えながら作ってましたからね。太我が楽しそうに叩いて一発OKを出してたりとか、いいスピード感でレコーディングが進んでいくのを見て、「あ、この曲は上手いこと作れたな」って思えたところもありましたね。
――歌詞には、誰もが“無自覚の天才”であるからこそ立ち上がり、立ち向かうことが重要だというメッセージが込められていますね。
田口:アニメの主人公・ユージに引っ張られてテーマが決まった感じで。ユージは元々、社畜だったけど、異世界に転生したことで天才として活躍するわけですよ。そういうことって実際、よくあると思うんです。ネットが普及したことで、自分は好きなことをやってるだけなのに、周囲からは「お前、天才じゃね?」って言われるみたいな。僕ら自身もそう。4年前までは路上ライブをして飯も食えなかったのに、今こうやってメジャーで活動させてもらえてたり、アニメのオープニングテーマをやらせてもらえてたりする。要は、自分に合った場所で自分なりの力を持っているのであれば誰しもが天才なんだよってことを言いたかったんですよね。
――そんなメッセージを放つ矢野さんのボーカルも力強いですね。
矢野:アルバム(2021年12月リリースの『TRINITY』)のレコーディング時期とかぶってたので、そこで勉強したものをこの曲に活かせた部分はけっこうあったと思います。ものすごくパワーのある歌詞なので、気持ちはしっかり込めつつ、声がグッと前に出るような歌い方をしましたね。サビは特に、頭から一言、一言がはっきり前に出るように意識しながら。
――少し景色が変わる大サビでの表情もいいですよね。
矢野:少し落ちるところですよね。サウンド的にゆったりしてる分、声が目立つパートでもあるので、より丁寧に、より繊細に声を出していきました。
田口:現場では僕がボーカルのディレクションもするんですけど、ハル(矢野)はだいたい僕のイメージから外れることはないので。今回も特に何も言うことなく進んでいきましたね。ただ、本人的なこだわりが強いから、こっちが「もうええやん」って言っても、「いやもう1回」みたいなことはけっこうあって。
矢野:まだいいテイクがあるんじゃないかなと思って、ついテイクを重ねちゃうんです。しかも今回は念願のアニメ主題歌ですから。いつも以上に歌っちゃいましたね。