Non Stop Rabbit、白熱の2年ぶりライブ 観客に音と言葉で思いをぶつけた『本気の2DAYS、4番勝負!』公演
会えない時間の分だけ大きく膨れ上がっていくお互いの思い。会えなかったからこそ育まれていく揺るぎない絆。久しぶりの再会ともなれば、緊張や照れくささはあるだろう。だが面と向かい合い、心にあたためてきた思いを交わし合えば、かけがえのない関係性は一瞬で取り戻されることとなる――。
2020年3月、『Live Tour 2020~武道館を狙うたてがみの生えたウサギ~』のファイナルとなる豊洲PIT公演が新型コロナウイルスの影響により中止に。それ以降、Non Stop Rabbitはファンの安全を第一に考え、バンドとしての大きな軸であるライブ活動を自ら封印した。2020年12月にはアルバム『爆誕 -BAKUTAN-』でメジャーデビューを果たすも、ライブは一度も開催されていない。そんな彼らがついにその封印を解くときがやってきた。約2年ぶりとなるワンマンライブ『メジャー入り初のワンマンライブ! 2年もLIVEしてなかったからリハビリさせてや! 本気の2DAYS、4番勝負!~あの日の俺らを取り戻す~(エモぉー)』。3月14、15日の2日間に渡り、合計4公演でファンとの再会を果たす。ここではライブ再開の狼煙を上げた初日の1部公演をレポートしていく。
渋谷クラブクアトロのフロアを埋め尽くすファンたちの割れんばかりの拍手に導かれ、田口達也(Gt)、矢野晴人(Vo/Ba)、太我(Dr)の3人がステージ上に現れる。笑顔を浮かべながらも、どこか照れくさそうな表情だ。だが、1曲目「私面想歌」がスタートした瞬間、紛れもないノンラビの世界が一瞬で会場を支配。止まっていたライブという名の時計の針が激しく動き出した。
「昔々、あるところにウサギとカメがいました。あの日敗れたウサギはこう思いました。俺たちはもう止まらない。止まらないウサギ、Non Stop Rabbit始めます!」(矢野)
そんなおなじみの口上に続き、「上向くライオン」「明るい歌」とキラーチューンを畳みかけていく。メジャーでリリースされた楽曲たちは当然のことながらライブ初披露となるものばかり。ノンラビが曲に込めた思い、メッセージがようやく観客たちの前で鮮やかに弾ける。その様を目の当たりにすると、グッとこみあげるものがある。
「ライブってこんな熱かった? ヤバイね。大丈夫?」(矢野)
「久しぶりだな、おまえら! ちょっと緊張したね」(田口)
「昨日は緊張しすぎて、マッサージいった。アブノーマルなやつ(笑)」(太我)
MCでは声が出せない観客に対して「ノンラビのライブをはじめて観る人?」「何度も観たことがある人?」「関東以外から来てくれた人?」といった質問を投げかけ、手を上げてもらうことで楽しいコミュニケーションを取っていく。YouTubeで見せるような軽妙なトークによって、ノンラビとファンとの間にあった緊張は跡形もなく消え去っていった。
グルーヴィなロックチューン「BAKEMONO」、ノンラビの持つ艶っぽい側面が垣間見える「TABOO」、自分らしく生きることの大切さを届ける「dress」と、バンドとしての音楽性の幅を感じさせるアッパーなナンバーが続いていく。サウンドに合わせて表現を自在に変化させながら、真っ直ぐなボーカルを力強く放っていく矢野。時に「上がってけよ!」とファンを煽るように叫んでみたり、時にお立ち台の上に立って激しいギターソロを見せたりと、エモーショナルなプレイで観る者の心をわしづかみにしていく田口。そして、シンプルなドラムセットながらも、そこから繰り出される多彩なドラミングでフロアを揺らし、オーディエンスを踊らせていく太我。まさに“TRINITY=三位一体”と呼ぶにふさわしい、息の合ったパフォーマンスが続いていく。ミディアムテンポの「大丈夫じゃない」では、〈隣にいないと困るのよ〉〈あなたを心は求めてる〉とせつなく歌われる。ラブソングとして作られた曲ではあるが、その歌詞は約2年間会えなかったファンたちに向けられたもののようにも受け取ることができた。心憎い選曲だ。