TOOBOEが作り上げたカルチャーの融合の場 PEOPLE 1 Deuも迎えたパーティーイベント『宴』レポ
音楽クリエイター johnによるプロジェクト・TOOBOEが、パーティーイベント『宴』を7月12日、恵比寿リキッドルームにて開催した。
今年4月に1st配信シングル『心臓』にてメジャーデビューしたTOOBOEは、ボカロPとしての活動を経て現在はアーティストへの楽曲提供など、幅広い才能を発揮している。その一方で5月には初のワンマンライブを成功させ、6月に2nd配信シングル『oxygen』をリリースと、ソロ活動も活発化。「心臓」のMVは早くも600万回以上再生されており、デビューイヤーを勢いよくスタートさせている。ボカロに出自がありながらも、ロック文化からの強い影響を受けており、バンド編成での熱いライブ作りにこだわる点で、シーンにおける異端児ぶりが面白い。開演すると、まずDJコーナーから始まった。今回DJを担当するのはhigmaとyuigotの2人。ボカロ作品を中心に、多種多様な作品が一本のビートでシームレスに繋げられていく。こうしたイベント構成自体も、TOOBOEの特異性を表すものに他ならない。ボカロ文化、クラブカルチャー、ロックシーン……日本において分断されている個々のシーンが、TOOBOEを中心に混ざり合っている。DJが繰り出す数々の技に、観客からは多少の驚きも見られたが、時間が経つにつれ少しずつ馴染み、最終的には心地良さそうに身体を揺らしているのを感じた。
1時間ほど経ったところで、いよいよTOOBOEが登場。すでに会場の空気が温まっているためか、1曲目の「oxygen」からオーディエンスが拳を突き上げている。TOOBOEはいつも通り裸足で登場し、カジュアルな格好で歌い上げていた。間髪入れずに「変」と「心臓」を披露。今回はステージのバックスクリーンにMVが流れる舞台セットのため、視覚的にも楽しめる。アニメ作家兼イラストレーター 擬態するメタが担当した「心臓」のMVは、現実と2次元がごっちゃになった作品で、まさに複数の文化圏を横断するTOOBOEらしい映像だ。間奏では、会場が一体となって三三七拍子をハンドクラップで応対。オーディエンスの熱も、この曲で急上昇したのを感じた。
ここで一旦MCタイム。荒々しいパフォーマンスとは裏腹に、「改めましてTOOBOEのパーティーイベント『宴』にお越しくださりありがとうございます」と普段の言葉は丁寧なのが彼らしい。
次に披露したのは、yamaに提供した「桃源郷」。この曲でシークレットゲストとしてyamaが出演する予定だったとのことだが、体調不良により今回はあいにくの欠席。急遽TOOBOEが歌唱することとなったが、セルフカバーの披露はファンにとっては貴重な機会になっただろう。
歌い終えたTOOBOEが「ここから2曲続けて僕のクリエイター史の中では比較的古い曲をやります」と話すと、「憂鬱」と「春嵐」を歌唱した。印象的なフレーズを楽しそうにプレイするギターや、一筋縄ではいかないTOOBOE楽曲を再現するキーボード、独特のリズムをキープするリズム隊といったバンドメンバーたちとのコンビネーションも抜群だ。