Sexy Zoneの挑戦的な新境地 80’s&90’sレトロコンセプトのアルバムがチャート好調

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2022-06-20/

 4週前に書いたMr.Childrenのベスト盤二枚が今もロングセールスを続けていること(1位2位→3位5位→7位8位→7位11位→7位8位と粘り強い!)、先週8位で登場したSEVENTEENの新作『Face The Sun:SEVENTEEN Vol.4』が今週38.4万枚と驚異のセールスで首位を奪取したこと(水曜日に発売されることの多い国内盤とは違う、輸入盤ゆえの結果)。そんな今週のチャートは驚くほど新着の作品が少なめ。粘り強く20位圏内に入っていた『トップガン マーヴェリック:オリジナル・サウンドトラック』が5位まで上昇しているところが、実に今っぽいトピックです。

 さて、今週取り上げるのは4位、Sexy Zoneの『ザ・ハイライト』。こちらは先週初登場で1位に輝き、今週の数字も合わせればセールスは15万枚近く。療養のため一時期活動から離れていたメンバー 松島聡が復帰したものの、今度はマリウス葉が体調不良のため活動休止。3連続で4人体制でのオリジナルアルバム制作になるのですが、売上にダメージは感じられません。ジャニーズ最年少グループだった時期を経て、デビュー10周年も超えて、今は余裕を持ってさまざまな活動に挑めている時期なのでしょう。

 余裕を持って、と書きました。『ザ・ハイライト』の第一印象は無理に尖っていないポップス。聴きやすく、馴染みやすく、どこか懐かしい感じもします。国際的な流行を意識した低音重視の楽曲は「Eliminator」一曲くらいで、基本は明るいJ-POP、もしくはチャーミングなディスコナンバーなど。そこまで把握して再度ジャケットを見れば……なるほど、タイトルのデザインは昔の音楽番組『ザ・ベストテン』オマージュ。グループ名もカタカナ表記にした本作のコンセプトは、あえてのレトロ感なのです。

 80’sテイストは1曲目「Forever Gold」から炸裂。当時の洋楽ヒットナンバーに寄せたシンセの使い方に頬が緩みます。現代のシンセが「迫力と快楽を限界まで追求するマシン」として使われるならば、80’sのそれはもっと無邪気にキラキラしている。なんというか、「ステキな未来の予感」のような気分とセットになっていました。もちろん半分は根拠のない楽観でしたが、それゆえ80’sのヒットソングは楽天的な雰囲気のものが少なくない。Sexy Zoneはその無邪気さ、キラキラした気分を、非常に上手くアレンジしています。

Sexy Zone 「Forever Gold」 (YouTube Ver.)

 80’sの次は90’sテイストへ。2曲目「Desideria」はユーロビートを今風にアップデートした涼やかなダンスナンバーで、さらに3曲目「THE FINEST」ではアシッドジャズが蘇ります。こちら、作詞作曲はNulbarichのJQ(作詞はRyan Octavianoとの共作)。現代に寄せすぎないベースやギターの使い方、ベタなハンドクラップの挿入など、塩梅が最高ですね。昔のテレビアニメをイメージしたMVも超いかしてます。

Sexy Zone 「THE FINEST」 (YouTube Ver.)

 続く「夏のハイドレンジア」は秦 基博が作詞作曲。正攻法の歌謡路線で、「あぁ、名曲のツボってまさにこういう感じだ」と懐かしい気持ちになれました。ちなみに「ハイドレンジア」とは西洋アジサイのこと。この単語を冒頭に、いきなりサビのメロディから始まる展開も胸をぐっと掴みます。

Sexy Zone 「夏のハイドレンジア」 (YouTube Ver.)

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