BTS RM、グループの頭脳で楽曲の要としての役割 ソロ曲やミックステープで伝えてきた心の内
K-POPグループの中には、“アイドル”でありクリエイティブチームであるグループがいくつも存在する。BTSもそのひとつで、ラップラインの3人、RM・SUGA・J-HOPEは特にデビュー当時から多くの楽曲の制作に関わったり、ソロのミックステープをリリースしたりしている。それだけでなく、近年は他のメンバーも自作曲を発表するなど、全員がパフォーマンス以外の面でも音楽的なスキルを見せている。
6月13日に発売のアンソロジーアルバム『Proof』のトラックリストが発表されると、そこにはこれまでの歴史を辿るようにたくさんの曲が並んでいた。そして、そのほとんどの曲のクレジットに“RM”の名前があることがファンの間で話題になった。
RMの音楽のルーツはアメリカのポップスやヒップホップだというが、彼の音楽に表れているのはそれだけではない。ミックステープに顕著だが、彼の曲はどこか内省的なものが多い。音楽に自分の中にある苦労や葛藤を含ませているが、デビュー当時のものと今の音楽にはその想いの変化も記録されているように思う。
今回はグループの頭脳、そしてBTSの楽曲の要にもなっているRMについて言及したい。彼について考えたとき、多くのファンが彼のこれまでの努力を思い返すのではないだろうか。
Rolling Stone誌のインタビューでも、自身のことを「良い成績を取ろうと必死に努力する、典型的な優等生タイプでしたね」と語っていたRM(※1)。自他共に認める努力家だ。母国語である韓国語のほかに、英語や日本語も流暢にこなす。英語力を駆使して行った国連でのスピーチもファンの記憶にはしっかりと刻まれているだろう。
国連で行ったスピーチは、BTSがユニセフのキャンペーンに参加した2021年が初回。以降、これまでに3度のスピーチを行っており、世界中の若者にとってリーダーのような存在になっている。それ以外にも、RMが制作に関わった2ndフルアルバム『WINGS』収録の「21世紀少女」では、固定観念として存在する既存の女性像から抜け出す21世紀の女性たちへエールを送っている。この頃からBTSは若い世代をエンパワーする存在になった。
しかし、RMは初めから完璧な存在だったわけではない。多くの人に愛される存在になること、多くの人の見本になることは容易ではない。ここまで来るのに、彼にはたくさんの葛藤があり、その度に何かを得てきた。それが今、世界中にファンを持つRMを作り出したのだと思う。