BTSが最新アルバム『Proof』にかける想い 3枚の収録曲や特徴にフォーカス
BTSが、6月10日(日本では6月13日)にリリースする最新アルバム『Proof』のトラックリストがついに明らかになった。「新曲3曲を含んだアンソロジー(選び集めた)アルバム」と謳われていたが、ラインナップを見ると音源化されていなかった曲にデモバージョン、アカペラなど“ほぼ新曲“と言いたくなるような楽曲が勢揃いした構成に。
単に過去曲を集めただけでは終わらないところが、実にBTSらしい。そこで今回は3枚のディスクの特徴をもとに、BTSがこのアルバムにかける想いを推察していく。
未音源曲「Born Singer」から始まるディスク1
「Dynamite」「Life Goes On」「Butter」……と、昨今のヒットソングをはじめディスク1は歴代アルバムのリード曲を収録した、いわば“BTSの年代記“と呼ばれる1枚。そのなかで彼らをデビュー当初から見つめてきたARMY(ファンの呼称)の胸を熱くさせたのが、1曲目に収録された「Born Singer」だ。
デビュー1カ月記念に発表され、公式ブログにて無料ダウンロードプレゼントされた「Born Singer」。ヒップホップミュージシャンのJ. Coleが歌う「Born Sinner」のカバーであり、デビュー前後の感情を率直に表現したオリジナルの歌詞が添えられている。ライブ『2015 BTS LIVE TRILOGY: EPISODE I. BTS BEGINS 』(2015年)および『2017 BTS LIVE TRILOGY EPISODE III THE WINGS TOUR』(2017年)のアンコールで披露された際には、メンバーが涙した思い出深い1曲でもある。
『BEGINS』では円を描くように立ったメンバーが自分たちを見つめる形で歌い、『WINGS』ではARMYのほうを向いてマイクを掲げて一緒に口ずさんだ。力強い歌詞と対照的にエモーショナルなパフォーマンス……多くのARMYにとって記憶に強く残る曲でありながらこれまでCD化されていなかった。
Twitterを振り返ると、当時SUGAが歌詞を綴ったノートを投稿していたのを見つけることができる。その勢いのあるツイートに今とはまた違ったBTSの空気を感じることができる。また撮影現場の傍らで楽しそうに口ずさむメンバーの姿を撮った「BANGTAN BOMB」も公式YouTubeチャンネルにある。
안녕하세요 슈간데요 목요일에서 금요일로 넘어가는 00:00시!! 뭐가 공개될까요..?? 응캬캬 아미 여러분 궁금하시죠?? 난 알지롱 🙂 pic.twitter.com/i9iKKn5yal
— 방탄소년단 (@BTS_twt) July 11, 2013
長年BTSを応援し続けてきたARMYにとっては様々なシーンが鮮明に蘇り、最近BTSを好きになったARMYにとっては歴史を遡ってより彼らを深く知るきっかけになる。そして、まだ誰もが聴いていない新曲「Yet To Come(The Most Beautiful Moment)」で締めくくるというのも、いつからだってBTSと共に歩むことができる、というメッセージが込められているのではないかと感じてしまう。扉はいつでも開かれている、そんなやさしさを感じられるディスク1だ。
メンバー選りすぐりの15曲を収録したディスク2
2枚目の冒頭は、またもや新曲。だが、「Run BTS」というタイトルはARMYにとって、すっかりおなじみのフレーズだ。2015年から2021年まで配信されてきたリアルバラエティ番組『Run BTS!』にて、メンバーがいつもタイトルコールをしていた声が脳内再生されるようだ。
エピソード155まで続いた人気コンテンツではありながら現在は残念ながら休止中。そんなタイミングで、このタイトルを掲げた新曲が収録されるというのも再開を待ち望むARMYにとってもうれしいサプライズではないだろうか。
また、2枚目の大きな特徴はソロ曲やユニット曲をメンバーが直接選曲している点だ。「Intro : Persona」(RMソロ曲)、「Stay」(RM、JIN、JUNG KOOKのユニット曲)、「Moon」(JINソロ曲)、「Jamais Vu」(JIN、J-HOPE、JUNG KOOKのユニット曲)、「Trivia 轉 : Seesaw」(SUGAソロ曲)、「BTS Cypher PT.3 : KILLER(Feat. Supreme Boi) 」(ラップライン:SUGA、RM、J-HOPE)、「Outro : Ego」(J-HOPEソロ曲)、「Her」(ラップライン)、「Filter」(JIMINソロ曲)、「Friends」(JIMIN、Vのユニット曲)、「Singularity」(Vソロ曲)、「00:00 (Zero O’Clock)」(ボーカルライン;JIN、JIMIN、V、JUNG KOOK)、「Euphoria」(JUNG KOOKソロ曲)、「Dimple」(ボーカルライン)と、多彩なラインナップ。
1人ひとりの個性と美声を味わえる歌もあれば、ユニットならではの意外な一面が引き出された楽曲、メンバーの関係性が反映された思い出の曲に、ラップラインのクールなナンバー、そしてボーカルラインのセクシーさが際立つ1曲も……。
「9年を一緒に走ってきたBTSが輝く理由が分かるように構成された」というディスク2(※1)。誰がどの曲をセレクトしたのかと予想するのもまたひとつの楽しみだ。以前、「Stay」がもともとJUNG KOOKのミックステープに収録される予定だったが、Vが気に入ったことでアルバム『BE』に入ることになったというエピソードが明かされているように、お互いに好きな楽曲を挙げ合ったのかもしれないと考えると実に微笑ましい。ディスク2を聴けば、きっと「BTSはこの7人だったからこそここまで輝けたのだ」と確信できる1枚になるはずだ。