稲垣吾郎が万人から愛される理由 ニューヨークらもネタにした、“素材”としての面白さ

 稲垣吾郎が3月18日、お笑いコンビ・ニューヨークのYouTubeチャンネルに登場。稲垣を題材にしたニューヨークのネタを振り返りながら、「稲垣吾郎のイジり方としては100点ですよ」とノリのいいトークを展開して視聴者を楽しませた。

【稲垣吾郎】M1敗者復活で漫才やったらご本人登場!稲垣吾郎さんがニューヨークchにやってきた!【7.2 新しい別の窓】

 2017年に新しい地図を広げて以降、Twitterやブログをスタートさせた稲垣吾郎。だが、芸能人のYouTubeチャンネルへの出演は、そう多くはないことから大きな注目を集めた。ニューヨークと話が盛り上がる姿に、意外な一面を見たという人も少なくないかもしれない。そこで今回はニューヨークとの交流をきっかけに、稲垣吾郎の愛される理由を改めて紐解いていく。

ゲストを迎えるホストとしての器

 稲垣のキャリアを振り返ると、『ゴロウ・デラックス』(TBS系)を筆頭にゲストを迎えてトークを繰り広げる番組が好評だった。落ち着いてゲストの話に耳を傾け、じっくりと会話を楽しむ……そんな貴族のサロンを思わせるような雰囲気は稲垣ならでは。そのスタイルは現在、稲垣がパーソナリティを務めるラジオ『THE TRAD』(TOKYO FM)や、毎月のレギュラー番組『7.2 新しい別の窓』(ABEMA、※以下『ななにー』)内のコーナー『インテリゴロウ』に引き継がれている。

 ニューヨークとの初対面も『THE TRAD』だった。2020年10月、ニューヨークがゲストとしてやってきた際、稲垣は彼らが得意とする有名人ネタシリーズも見たという。これまで多くの作家や映画監督、ミュージシャンをゲストに迎えてトークをしてきた稲垣。ニューヨークに対しても、これまでの作品に目を通しておくというマナーを徹底していたことが窺える。音楽好きで意気投合し、トークが盛り上がった稲垣とニューヨーク。そこから「僕、結構イジり甲斐があると思うんですよ、キャラクター的に」と稲垣のほうからニューヨークに申し出たことで、この“稲垣吾郎ネタ”が生まれた。

 これまでも「稲垣を主人公にするならどんな作品に?」という質問を見てきただけに、「僕のネタも」となるのはごくごく自然のことだったのかもしれない。小説、映画、音楽、そしてお笑い……ジャンルを問わず、稲垣から醸し出される、ものづくりに励む人たちへの変わらぬリスペクトと真摯な姿勢。「ここにあるものは遠慮なく好きに使ってもらってかまわない」とでも言うような稲垣の器の大きさに、ニューヨークものびのびと“稲垣吾郎ネタ”を作ることができたのではないだろうか。

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徹底したパーソナルイメージ、という財産

 「みなさんが飽きずに僕のブレない価値観みたいなものを、“稲垣吾郎”という素材を必要として面白がってもらえるのがうれしいんです」とは、2020年9月にフォトエッセイ『Blume』をリリースした際にインタビューで答えていた稲垣の言葉だ(※1)。

 私たちの中にある“稲垣吾郎はこういう人”というイメージは、一朝一夕では完成しない。それはSNSをスタートし、ブログで私生活の一部を公開したとしても、それでも“稲垣吾郎の私生活=ミステリアス”という印象は変わらなかった。

 ベッドメイキングから始まる気持ちのいい朝。生けられた花が生活を彩り、早朝の澄んだ空気の中、公園に足を運ぶ。ときにはカメラ越しに見つけた風景を切り取り、自宅の暗室で現像する。その仕上がりに満足しながらくゆらせるワイン……。「そんな生活をしている人がいるのか? いや、稲垣吾郎ならしているだろう」と思わせる説得力。それが、“素材としての稲垣吾郎”の面白さだ。

 動画内でもニューヨークが「プライベートがずっとベールに包まれてる。だから何してもOK。何してもボケになる」と話せば、稲垣は「だから稲垣吾郎のイジり方がわかってる」「やっぱ謎な感じしましたか? プライベート。でもそっちのほうが面白いでしょ?」と、うれしそうに返していたのが印象的だった。そのみんなの中に定着した“稲垣吾郎”像を、きっと稲垣自身が最も楽しんでいるのかもしれない。

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