稲垣吾郎が万人から愛される理由 ニューヨークらもネタにした、“素材”としての面白さ

熟成させたイメージを裏切っていく新鮮味

 長年活動を共にしてきた香取慎吾は、そんな稲垣が自らをイジっていくスタイルを誰よりも理解している1人だ。3月の『ななにー』で披露されたニューヨークのネタについても、「案外、吾郎ちゃんが好きなやつ」とニヤリ。

 思い返せば、香取は稲垣のイメージを率先してイジってきた側でもある。物静かで大人な印象を持つ稲垣に対して、本当は段取りの悪い進行に「イラチ(イライラしやすい)」という話も、『ななにー』で香取がイジりだしてから広まってきた。

 稲垣のずっと変わらない髪型をはじめとしたビジュアル。あたかも、ごく自然にそこにあるように感じられていたものも、実は誰よりも髪の乱れや日焼けに気を使ってきたということが明かされれば、新鮮な眼差しが生まれる。

 最近では、風や日差しが強い日のロケとなれば、稲垣がどんな言動を繰り広げるのか気になってしまうほど。その“ケアを怠らない稲垣吾郎”というだけでも面白いなんて、他の人ではなかなか成立しない笑いである。

 それも、これまでしっかりと熟成されてきたパーソナルイメージ、それを誰もが知っているという信頼と実績があればこそ。そこに目をつけたニューヨークに対して「100点」と言いたくなるのも頷ける。

 稲垣吾郎が愛される理由、それは稲垣自身が“稲垣吾郎”という素材を磨き続けてきたから。そのイメージが私たちにしっかりと定着した上で「意外な稲垣吾郎」という新鮮な笑いを届けてくれるから。そして、さらにまたその上をいく「新しい稲垣吾郎」のイメージを作り続けてくれるからだと思う。

 動画内でも「これはきっかけでしょ?」「プロローグですよ」と、むしろ稲垣のほうから持ちかける言葉も飛び出した。人間関係に関して、サラッとしてそうで、こうした人懐っこさもあるのだと驚きをくれるのも、また更新された稲垣吾郎像だ。まだまだ未知な領域を持っていそうな“稲垣吾郎という素材”に、これからも翻弄されていきたい。

※1:https://realsound.jp/2020/09/post-621922.html

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