HOWL BE QUIET 竹縄航太、「ばかやろう」の一言に込めた本音 ラブソングに対するピュアな気持ちを明かす

HOWL竹縄航太「ばかやろう」に込めた本音

 HOWL BE QUIETから2022年第1弾配信シングル「ばかやろう」が届けられた。2020年にTikTokで反響のあった「ラブフェチ」(アルバム『Mr. HOLIC』収録)をはじめ、これまでにも数多くのラブソングを送り出してきた彼ら。昨年12月に開催されたワンマンライブでいち早く披露された新曲「ばかやろう」は、恋人に振られた女性の複雑な思いを描き出したバラードナンバー。繊細なボーカル表現、楽曲のストーリーや主人公の感情を引き立てるサウンドなど、このバンドの魅力がしっかりと凝縮された楽曲に仕上がっている。さらに先日公開されたMVには、女優・武田玲奈が出演。様々なシチュエーションを通して表現された恋人と別れた後の喪失感は、観る者を痛いほど切ない気持ちにさせる。短編映画を観た後のような強い余韻を残す映像作品が完成した。

HOWL BE QUIET - ばかやろう

 リアルサウンドでは、竹縄航太(Vo/Gt/Key)にインタビュー。「ばかやろう」の制作プロセス、ラブソングに対するスタンスなどについて語ってもらった。(森朋之)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】

大人と子供の挟間で揺れるのが恋愛

HOWL BE QUIET 竹縄航太(写真=西村満)

ーー新曲「ばかやろう」は女性目線の失恋バラード。“ラブソング×バラード”はHOWL BE QUIETの魅力であり、得意なスタイルですね。

竹縄航太(以下、竹縄):そうですね。前作『歴代の仲間入り EP』(2021年7月リリース)の収録曲は、HOWLらしさもありつつ、自分たち的には挑戦した3曲でもあったんです。100回嘔吐さんにアレンジに加わってもらった「ベストフレンド」だったり、自分たちとしては珍しく攻撃的なロックサウンドを施した「染み」(TVアニメ『迷宮ブラックカンパニー』OP主題歌)だったり。もちろん歌詞を書いているのは自分だし、ファンのみなさんも「HOWLらしいな」「いつもの竹縄だな」と思いつつ、新しいサウンドを楽しんでくれていたみたいで。いいトライだったなと思うんですが、今回の楽曲は原点回帰というか、久々にバラードを書きたくて。

ーー「ラブフェチ」がTikTokでバズったこともあって、HOWL BE QUIET=ラブソングというイメージも根強くありますからね。

竹縄:それが2年くらい前なんですけど、そこからずっと頭の片隅には恋愛バラードを作りたいという気持ちがあったんですよね。「今の若い世代には、どんな曲が届きやすいのかな?」と考えることもあったんだけど、だんだん「それはあまりよくないな」と思うようになって。邪念が混じるというか、どうしても狙っているような歌詞になっちゃうんですよ。それも楽曲制作における一つの方法だとは思うけど、今はもっと純粋に“こういうことを歌いたい”、“この音を鳴らしたい”という感覚で作りたくて。今回の制作でも、まずは邪念をそぎ落として、ピュアに曲を作ることを意識しました。

ーーなるほど。TikTokが浸透して以降、音楽の楽しみ方が“聴く”や“見る”から“使う”に広がったと言われていますが、そのこと自体についてはどう思いますか?

竹縄:めちゃくちゃ使ってほしいなと思ってますね。去年の12月で30歳になったんですけど、自分たちが学生の頃はmixiが流行っていて。中学のときは「前略プロフ」だったんですけど (笑)、世代によってコミュニケーションツールは変わっていくし、いまの世代はTikTokがスタンダードなんですよね。そこで自分たちの曲が使われるのは嬉しいし、日常のなかに混ざり込んでほしいなと思っていて。それはこの2年間で本当に実感しました。

ーーTikTokの重要性は理解しつつも、今回の「ばかやろう」に関しては、自分たちの表現欲求に従って制作したかったと。

竹縄:そうですね。TikTokをチェックしていると、流行りのタームがどんどん早くなっていて。アレンジ的なことで言えば、タイミングよくリズムが変わる曲が使われやすかったり。そういう作り方もいいなとは思うんですけど、今回はそれを抜きにして作りたかったんです。実際、「ばかやろう」は無意識のうちに浮かんできたメロディ、自然と思いついた歌詞が元になっていて。「俺はやっぱり、こういう曲が好きだな」と改めて思いましたね。どこかでこの曲が聴こえてきたら「いいな」と思うだろうし、そういうバラードが書けたのは嬉しかったです。ここまでのクリティカルヒットは、なかなかないので。

ーーHOWLには素晴らしいバラードがたくさんあるので、それを超えなくちゃいけないというプレッシャーもあったのでは?

竹縄:いや、それは意識していなかったですね。超えるかどうかは自分たちが決めることではないので。「ばかやろう」は一筆書きみたいにできた曲なんですよ。冒頭のピアノのフレーズから、流れるようにメロディが浮かんで、一気にサビまでできて。過去の曲を気にしなかったからこそ、こういう曲が書けたんだと思います。

HOWL BE QUIET 竹縄航太(写真=西村満)

ーー曲の主人公は最初から“私”、つまり女性だったんですか?

竹縄:はい。最初から女の子を主役にしようと考えていたわけではないんですけど、メロディにしても曲が持つ雰囲気にしても、歌の主人公は“僕”じゃないなと。直感というか、感覚的なものなんですけど、間違ってなかったと思います。主人公を振った相手の男性の輪郭も明確でしたね。「こうやって出会って、こんな楽しい思い出があって、こんなふうに振られて」みたいなことまでイメージしながら作りました。

ーーすごくリアルな歌詞ですよね。〈映画のCM 目にして観たい相手も〉〈全部あなただよ〉とか、〈「続きが気になるね」って 盛り上がった/ネトフリの新作 もう出てるよ〉もそうだし。

竹縄:ありがとうございます。振られたときって、相手がいなくなったこと自体が嫌というより、何かを目にしたときに思い出してしまうのが困るんじゃないかなって。たとえば1年前に「あのドラマの続編、来年の終わりくらいに配信されるらしいよ」って話をしていたとして、その続編がはじまったら、どうしても別れた相手との会話が蘇るじゃないですか。世の中にはそういうものが溢れすぎてるんです(笑)。NetflixやYouTubeのCMもそうだし、街並みもそう。どこに行っても、相手のことを思い出してしまう。まきびしが撒かれてる感じというか、すぐ「痛っ!」って(笑)。その感じも表現したかったんですよね。

ーー〈ネトフリ〉という言葉を歌詞に入れるかどうか、迷いませんでした?

竹縄:それはちょっと考えました。具体的すぎるかなとも思ったんだけど、そのほうがリアルに伝わるだろうなと。映画の題名を入れると感情移入できないリスナーがいるかもしれないけど、〈ネトフリの新作〉は多くの人が共有しているし、日常的に使われるキーワードじゃないですか。共感や親近感をはらんでいる言葉だと思ったから、ちょっと迷いつつも、このまま使うことにしました。

ーー歌詞の最後、彼女が〈精一杯 一生分の 愛を込めて「ばかやろう」〉と胸のなかで呟く構成も印象的でした。タイトルも「ばかやろう」ですが、めちゃくちゃインパクトがありますね。

竹縄:最初は「さようなら」だったんですよ、じつは。でも、仮歌を入れて聴いてるときに「そんなにきれいに終われる?」と自分にツッコんじゃって。いろいろ考えて、「最後に言いたいのは『ばかやろう』だな」と自分のなかで結論が出たというか。ちょっと言い過ぎかな? とも思ったけど、やっぱり「さようなら」じゃなかったんですよね。自分にとっても挑戦でした。かなり語気が強い言葉なので。

ーー確かに強い言葉だし、振られた側の生々しい感情が滲み出ているなと。

竹縄:ただ、主人公の女の子は相手に直接言ってるわけじゃないんですよ。別れるときってたぶん、相手に「ありがとう」と言われたら「こちらこそ」って言っちゃうんです。なんだけど、家に帰ってから「なにが『ありがとう』だよ。ふざけんな、勝手に終わらせんなよ」って思うんじゃないかなって。本音と建前というか、年齢を重ねた今だから書けた歌詞だと思いますね。

ーー20代前半だったら、この曲の終わりも別の終わり方にしていた?

竹縄:たぶん相手に直接言葉をぶつける歌詞にしたでしょうね(笑)。大人になると、人との付き合い方、人間関係を学ぶじゃないですか。たとえば誰かに嫌なことを言われても、その場で言い返したりしないですよね。中学、高校くらいまでは反射神経で「は? なに言ってんの?」って牙を剥いてたけど、この年齢になると「そういうことを言う人なんだな」って受け入れて、自分の感情を上手く処理してしまう。いちいち反応していると疲れるし、しんどいですから。ただ、恋愛って限りなく大人になりづらい部類に入ってると思うんです。大人になってもケンカするし、嫌なことを嫌って言うし。でも、別れ際はそこまで言わない人が多いと思うんです。大人と子供の挟間で揺れるのが恋愛だし、そのことも「ばかやろう」のテーマになっていますね。

HOWL BE QUIET 竹縄航太(写真=西村満)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる