flumpool、温かいアンサンブルで伝えた15年分の感謝 新たなスタート切った初のビルボード公演

flumpool、初のビルボード公演レポート

 flumpoolが大阪・横浜・東京で初のビルボード公演にあたるアコースティックライブ『ROOF PLAN 〜Acoustic in Billboard Live〜』を開催した。今年3月にコンセプトアルバム『A Spring Breath』をリリースするflumpool。同作はアコースティックアレンジのアルバムで、新曲に加え既存曲のリアレンジバージョンも収録予定とのことで、来たる新作の内容を踏まえてのライブコンセプトだったと思われる。

 つまり、慣れ親しんだ曲たちがどのような装いで登場するかというのが一番の見どころ。この記事ではBillboard Live TOKYOで行われた12月31日の1stステージを振り返りたい。今回のライブでは山村隆太(Vo)は楽器を持たず歌に専念。阪井一生(Gt)が全編アコースティックギターでの演奏だった一方、尼川元気(Ba)はいつものライブ同様エレキベース、小倉誠司(Dr)もカホンなどではなく通常のドラムセットでライブに臨んだ。山村・阪井・尼川はハイチェアに腰掛けながらの演奏だ。サポートメンバーとしてWEAVERの杉本雄治(Pf)が参加していて、杉本はグランドピアノとキーボードを弾き分けていた。flumpoolにとってWEAVERはレーベルの後輩で付き合いも長い。近しい間柄ということもあり、杉本は当日の演奏だけではなくアレンジにも参加したとのことだ。

 ピアノのメロディをきっかけにライブは「two of us」から始まった。初めは歌とピアノを中心にしっとりと聴かせるが、ジャズの風味をちらつかせながら5人の奏でるフレーズ・リズムが有機的に絡んでいき、観客は身体を揺らしたり手拍子したりしている。そこに続くのは「Hydrangea」で、まずはライブ定番曲をビルボード仕様で披露。3曲目の「証」はもともと『第78回NHK全国音楽コンクール』中学校の部の課題曲として制作された曲だけに、山村の歌とメンバーのコーラスによるハーモニーを際立たせるアレンジだった。歌+アコギのアルペジオ+キーボードによるアンサンブルを経てやがてバンドイン。ドラムのフィルインを機にリズムも生まれ、少しずつ景色が開けていくような展開がドラマティックだ。

 「夜は眠れるかい?」「どんな未来にも愛はある」のように洒落たリフをメインに進行していく曲もあれば、「HELP」のように1曲かけて丁寧にグラデーションを描いていく曲も。そんななか、客席を見渡したり観客に手を振ったりしつつ、気持ちよさそうに歌う山村の姿が印象に残った。ロングトーンもよく伸びていて、バンドの演奏に安心して身を預けられているようだ。途中で観客に「なかなか慣れないですよね」と語りかけつつ、「僕たちにとっても新鮮」「高級レストランでのデートのようで緊張する」と話していたが、とはいえ大阪・横浜公演を終えていたこともあり、メンバーはリラックスできている印象。MCの空気感もいつも通りで、山村と阪井があれこれ言い合い、杉本もちゃっかり先輩をイジり(尼川と小倉はそんな3人を見守っているというよりも気にしていなさそうな感じ)、最終的には「こんなやりとりビルボードにいらないですよ(笑)」と笑い合っていた。

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